1実家や空き家を「そのままに」していませんか
親が施設入居や老人ホームへの転居、あるいは亡くなった後、誰も住まなくなった実家をどうするか決めかねて、そのまま年月が過ぎてしまうケースが増えています。総務省「住宅・土地統計調査(2023年)」によれば、全国の空き家数は900万戸に達し、空き家率は過去最高の13.8%を記録しました[1]。7軒に1軒が空き家という計算です。空き家を放置する最大のリスクは「先延ばしにするほど選択肢が減り、費用が増える」点にあります。この記事では、家じまいをいつ始めるべきかを判断する3つの基準と、具体的な進め方を解説します。
2空き家率は過去最高の13.8%(2023年時点)
我が国の総住宅数は6502万戸(2023年10月1日現在)。このうち空き家は900万戸、空き家率は13.8%となり、いずれも過去最高を更新しました。
3家じまいが必要になる4つのきっかけ
家じまいに踏み切るきっかけは主に4つあります。①相続:親が亡くなった、または要介護状態になり施設へ移った。②老朽化:屋根や外壁の劣化、シロアリ被害など、建物の損傷が進んでいる。③費用負担:固定資産税・管理費・修繕費といったランニングコストが家計を圧迫している。④管理限界:遠方に住んでいて定期的な管理が難しく、草木の繁茂や不法投棄が心配。これらのきっかけが重なるほど、「早めに動かないと後悔する」状況に近づいています。なお、2024年4月から相続登記が義務化(法務省)されており、相続を知った日から3年以内に登記しなければ過料の対象になります[2]。相続をきっかけに家じまいを考えている場合は、まず登記の状況を確認することが最初の一歩です。
4タイミングを判断する3つの基準
| 判断基準 | 早めに動く目安 | 放置した場合のリスク |
|---|---|---|
| 建物の状態 | 雨漏り・外壁崩落・シロアリ被害が確認できる | 修繕費が急増。特定空家等に指定されると固定資産税が最大6倍になる場合も |
| 費用負担 | 毎年の固定資産税+管理費が10万円を超えてきた | 放置期間が長いほど解体費・廃棄費が増加し、費用総額が膨らむ |
| 家族の意向 | 相続人全員が「売る・貸す・解体」のいずれかで合意できている | 合意形成が遅れると共有持分のトラブルや相続放棄の期限切れにつながる |
※ 固定資産税の増加倍率は住宅用地特例の解除による最大値。物件の状況により異なります。 ※ 「固定資産税が最大6倍」は、住宅用地特例(地方税法第349条の3の2)による課税標準の6分の1軽減が解除された場合の目安です。実際の税額は土地の評価額・面積・自治体によって異なります。
5早めに動いた方がよい理由:費用と選択肢の両面から
家じまいを先延ばしにするほど、2つの意味で「損」が積み重なります。
【費用面】空き家の固定資産税・都市計画税は毎年発生します。放置する期間が長くなるほど、これらの負担は積み重なっていきます。さらに建物が老朽化すると解体費用が割高になるケースもあります。草木の除去や廃棄物の撤去費用も増え、総費用が雪だるま式に増加します。
【選択肢面】建物が良好な状態なら「古家付きで売る」「リノベして賃貸」「空き家バンクに登録」など複数の選択肢があります。しかし老朽化が進むと「解体して更地売却」か「そのまま売却(大幅値引き)」に選択肢が絞られます。また相続人が増えるほど合意形成が難しくなり、手続きコストも上昇します。
6家じまい前に確認すべき3つのポイント
家じまいを始める前に、以下の3点を必ず確認してください。
①権利関係の確認:登記簿謄本を法務局(またはオンライン)で取得し、名義人・抵当権の有無を確認します。相続が発生している場合は相続登記の手続きを優先してください(2024年4月から義務化)[2]。
②残置物の把握:家具・家電・衣類・貴重品などの残置物が多いほど片付け費用がかかります。早期に内容量を把握し、形見分けや処分の計画を立てておくと、後の費用見積もりが正確になります。
③ライフラインの確認:電気・ガス・水道が通っているか、停止手続きが必要かを確認します。未清算の料金や保証金の扱いも事前に確認しておくとスムーズです。
7家族間で合意をとるプロセス
家じまいにおいて「誰が決める権限を持つか」「費用を誰がどう負担するか」を曖昧にしておくと、後から兄弟・姉妹間でトラブルになるケースが少なくありません。円滑に進めるための合意形成の流れは次のとおりです。
①情報共有の場を設ける:登記情報・固定資産税通知書・建物の劣化状況を全相続人が見られる形で共有します。
②選択肢を整理して提示する:売却・賃貸・解体・空き家バンク活用など、それぞれの概算費用と期間を並べた比較表を用意すると話し合いが進みやすくなります。
③費用負担の方針を決める:家じまい費用は原則として相続人全員で分担するのが基本です。立替払いした人が後で清算できるよう、合意内容を書面に残しておくことを推奨します。
④期限を設ける:「次回の固定資産税の納付期限までに方針を決める」など、具体的な期日を設けると議論が停滞しにくくなります。
8「いつでもできる」が最大の落とし穴
「いつかやろう」と思いながら10年が過ぎてしまった——これが家じまいに後悔を感じる人の最も多いパターンです。特に以下の状況では、対応を急ぐ必要があります。
- 相続登記の期限が迫っている(相続を知った日から3年以内)[2]
- 市区町村から「管理不全空家」または「特定空家等」の指導を受けた
- 台風・大雪・地震で建物が損傷し、近隣への危険が生じている
- 固定資産税の住宅用地特例が解除されそうな通知が来た
こうした状況に至る前に動き始めることが、費用と選択肢の両方を最大化するポイントです。
9よくある質問
Q1親が生きているうちに家じまいを進めることはできますか?
可能です。本人が意思能力を持っているうちに進める「生前整理・生前家じまい」は、相続後に比べて権利関係が明確で、売却・賃貸の契約もスムーズに進みます。本人の同意と協力が得られるうちに早めに話し合いを始めることをおすすめします。
Q2相続放棄すれば家の管理義務もなくなりますか?
相続放棄した場合でも、放棄時に空き家を現に占有している相続人には、他の相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで保存義務が残る場合があります(民法940条)[3]。完全に義務を免れるには家庭裁判所への相続財産清算人の選任申立てが必要なケースもあります。
Q3空き家を放置すると固定資産税が上がると聞きましたが本当ですか?
「特定空家等」または「管理不全空家等」に指定された場合、住宅用地特例(土地の固定資産税が最大1/6になる優遇)が解除されます。結果として固定資産税が最大6倍程度になる可能性があります[4]。指定される前に対処することが重要です。
Q4家じまいにかかる期間はどれくらいですか?
残置物の量・権利関係の複雑さ・家族間の合意形成の難易度によって大きく異なります。相続登記・残置物整理・解体工事・売却手続きなど、各ステップに時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを見込んでおくことをおすすめします。
Q5費用が出せない場合でも家じまいはできますか?
市区町村によっては空き家の解体費補助金や利子補給制度を設けているところがあります。また、古家付き土地として売却した売却代金を費用に充てる方法も検討できます。まず地元の市区町村や解体業者に相談して費用の概算を把握することから始めましょう。
Q6相続した空き家を買取してもらう手続きは?
相続登記を済ませたうえで[2]、買取業者に査定を依頼します。提示条件に納得できれば売買契約・引き渡しという流れで、仲介に比べて比較的短期間で完了しやすいのが特徴です。具体的な税務の取り扱いはケースにより異なるため、税理士に確認することをお勧めします。
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11まとめ:3つの基準で「今すぐ動く」かを判断しよう
家じまいのベストなタイミングは「建物の状態が悪化する前」「費用負担が重くなる前」「家族が合意できる環境があるうち」の3条件が重なるタイミングです。
- 2023年時点で空き家は900万戸・13.8%と過去最高(総務省)[1]
- 相続登記は2024年4月から義務化、3年以内に手続きが必要(法務省)[2]
- 管理不全・特定空家等に指定されると固定資産税の優遇が解除される(国土交通省)
これらのリスクを踏まえると、「まだ大丈夫」と思えるうちこそ動き始めるタイミングです。まずは登記簿の確認・残置物の把握・家族への状況共有という3ステップから始めてみてください。費用の概算を知りたい場合は、複数の業者から見積もりをとって比較することをおすすめします。









