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空き家の買取査定を依頼するシーンをイメージしたメインビジュアル

公開:2026-06-11更新:2026-08-13

空き家の買取価格の相場はいくら?査定前に確認すべきポイント

空き家の買取価格は立地・築年数・建物状態・接道条件で大きく変わります。査定前に確認すべき書類と複数社比較のポイントをわかりやすく解説します。

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1空き家の買取価格はなぜ「一概に言えない」のか

相続や引っ越し後に空き家を抱えた方から「買取価格の相場を教えてほしい」という声は多く寄せられます。しかし、空き家の買取価格は「市場価格の○割」という単純な公式では表せません。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、2023年時点の全国空き家数は約900万戸・空き家率は13.8%に達しており[1]、流通していない物件が大量に存在します。一方で、同じ空き家でも立地・接道状況・建物の状態・残置物の有無によって買取価格は大きく異なります。「相場感」を持つことは大切ですが、まずは自分の物件の条件を整理することが、損のない査定につながります。

2中古住宅市場における価格のばらつき

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家900万戸のうち「売却用の住宅」は約29.7万戸(空き家総数の約3.3%)。市場に出回る空き家は全体のごく一部であり、立地条件・建物状態・築年数によって取引価格は地域ごとに大きく異なります。「全国一律の買取相場」は存在せず、個別の査定が価格判断の出発点になります。

3買取と仲介の違い:スピードと価格のトレードオフ

不動産の売却手段は大きく「仲介」と「買取」の2種類に分かれます。仲介は不動産会社が買い手を探し、成約すれば手数料が発生しますが、市場価格に近い価格での売却が期待できます。一方、買取は不動産会社が直接買い取る方式で、現金化のスピードが速く、売り主側の手続き負担が少ない点が特徴です。ただし、買取業者は転売や賃貸などで利益を出すことを前提に価格を設定するため、一般的に仲介よりも売却価格が低くなる傾向があります。空き家の場合は「管理コストや税負担を早期に止めたい」というニーズが強いことも多く、価格と時間のトレードオフをどう評価するかが判断のポイントになります。

4買取価格を左右する5つの条件

空き家の買取価格は主に以下の条件で変わります。

①立地・エリア:駅近・都市部ほど需要が高く、買取価格は高くなりやすい。再建築後の市場性が価格に反映されます。

②建物の状態・築年数:雨漏りや腐食など著しく劣化した建物は、解体費が見込まれるため買取価格が下がる場合があります。築年数は旧耐震(1981年以前)か新耐震かどうかも影響します[2]

③接道条件:建築基準法上の接道義務(幅4m以上の道路に2m以上接すること)を満たさない物件は再建築できないため[3]、買取価格が大きく下がることがあります。

④残置物の有無:家財や不用品が大量に残っている場合、撤去費用が買取価格から差し引かれることがあります。

⑤権利関係の複雑さ:共有持分や借地権、測量未了などの問題があると売却手続きが長期化するため、価格交渉に影響します。

5買取と仲介の主な違い

項目買取仲介
売却相手不動産会社(直接)一般個人・法人
売却スピード数日〜数週間が多い数ヶ月〜1年以上になることも
価格水準条件次第で変動幅大市場価格に近い傾向
仲介手数料なし成約価格×3%+6万円(上限)
内覧対応不要必要な場合が多い
契約不適合責任免除条件が多い買主保護が強い傾向

※ 価格・期間はあくまで一般的な傾向であり、物件・地域・買取会社の方針によって異なります。

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」の空き家流通実態を参考に、業界慣行との対比を編集部が整理

6査定前に用意しておくべき書類と情報

買取査定を依頼する前に、以下の書類・情報を手元に揃えておくと手続きがスムーズになります。

  • 登記事項証明書(法務局またはオンラインで取得可):所有者・権利関係の確認に必須
  • 固定資産税納税通知書または評価証明書:課税標準額の把握に役立つ
  • 建物図面・間取り図:建物の規模・構造を伝えるために必要
  • 土地境界確認書・測量図(あれば):境界が未確定だと売却手続きに影響する場合がある
  • 建築確認済証または検査済証:建物の適法性の確認に使用される
  • 接道状況がわかる資料:位置指定道路や私道の場合は特に重要

これらが揃っていない場合でも査定自体は受けられますが、情報が多いほど査定精度が上がり、後から追加確認が発生するリスクを減らせます。

7複数社比較が欠かせない理由

空き家の買取価格は、買取業者によって異なります。同じ物件でも、業者の得意エリア・活用プランの違いによって査定額に差が出ることがあります。2025年公示地価データ(国土交通省)は公示地価を地域別に公開しており[4]、エリアの地価水準を把握する参考になりますが、実際の買取価格は地価だけでなく建物状態・権利関係・業者の事業計画によっても左右されます。

複数社(最低でも2〜3社)に同条件で査定を依頼し、価格だけでなく引き渡し条件・残置物対応・スケジュールも含めて比較することで、自分の物件に適した買取先を選びやすくなります。また、複数社に査定依頼すること自体は、各社に交渉の緊張感を持たせる効果もあります。

8「相場」の考え方:断定できない理由

よく「買取は市場価格より一定割合安くなる」などと言われますが、その割合は地域や物件条件によって幅があり、空き家の場合は一律の目安が当てはまらないことも多くあります。特に接道不可・再建築不可の物件、著しく老朽化した建物、境界未確定の土地、大量の残置物がある場合は、より低い査定になることがあります。逆に、駅近・整形地・人気エリアで建物状態が比較的良好な場合は、仲介に近い水準での買取が成立するケースもあります。

「○割が相場」という情報を鵜呑みにせず、自分の物件の具体的な条件を整理した上で複数社の査定を集めることが、損のない売却への第一歩です。

9よくある質問

Q1買取の査定は無料ですか?
A

ほとんどの不動産会社では買取査定は無料で受け付けています。ただし、詳細な測量や建物調査が必要な場合は別途費用が発生することがあるため、事前に確認してください。

Q2残置物がたくさんあっても買取してもらえますか?
A

残置物があっても買取自体は可能なケースが多いですが、撤去費用が査定額から差し引かれることがあります。買取会社によっては残置物込みで対応しているところもあるため、条件として確認してください。

Q3築50年以上の古い家でも買取できますか?
A

築年数が経過していても買取は可能です。ただし建物の価値よりも土地の価値が主な評価対象となるため、立地・接道・土地形状が価格に大きく影響します。解体費が見込まれる場合は、その分が査定額に反映されることがあります。

Q4買取と仲介、どちらを先に試すべきですか?
A

一般的には、急いでいない場合は仲介から始め、一定期間売れなければ買取を検討するという順序が多いです。ただし管理負担や税負担が大きい場合は、最初から買取を比較対象に入れることも有効です。

Q5境界確定ができていない土地でも売却できますか?
A

境界未確定でも売却・買取は進められるケースがありますが、手続きが複雑になる場合や、価格交渉に影響することがあります。測量士や司法書士に相談して現状を把握した上で進めることをお勧めします。

Q6共有持分の空き家はどう対応すればいいですか?
A

共有持分がある場合、他の共有者全員の同意が原則必要です。一部の共有持分だけを売却する「共有持分買取」に対応した業者もありますが、最終的には全員合意による整理が望ましいです。

Q7相続した空き家を買取してもらう手続きは?
A

相続登記を済ませたうえで[5]、買取業者に査定を依頼します。提示された金額や条件に納得できれば売買契約を結び、引き渡して完了です。相続税や譲渡所得税の具体的な取り扱いはケースによって異なるため、税理士等の専門家に確認することをお勧めします。

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11まとめ:査定を有利に進めるための3つのステップ

空き家の買取価格は「相場の○割」という単純な式では決まりません。立地・建物状態・接道条件・残置物・権利関係という5つの条件が複合的に影響するため、まずは自分の物件の条件を整理することが重要です。

査定を有利に進めるための3つのステップをまとめます。

①書類を揃える:登記事項証明書・固定資産税通知書・建物図面など、査定精度を上げる情報を事前に準備する。

②複数社に依頼する:最低2〜3社に同条件で査定を依頼し、価格だけでなく引き渡し条件や残置物対応も比較する。

③仲介との総コストを比較する:買取は価格が低くなる傾向がある一方、売却後の維持費・税負担・仲介手数料がかからない場合もある。トータルの手残りで比較することが大切です。

家じまいや空き家売却で迷ったときは、まず複数の選択肢を並べて比較することから始めましょう。

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参考資料

  1. [1] 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 2023年時点で全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%

  2. [4] 令和7年地価公示 / 国土交通省 / 2025-03-18

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html

    根拠: 2025年公示地価は地域ごとに公表されており、買取価格の参考指標として活用できる

  3. [2] 住宅・建築物の耐震化について / 国土交通省

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html

    根拠: 旧耐震基準は1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物を指す

  4. [3] 建築基準法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201

    根拠: 建築基準法上の接道義務は、幅員4m以上の道路に2m以上接することを求めている

  5. [5] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 相続登記は2024年4月1日から義務化された

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部