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遠方から実家を訪れた様子を示す、玄関先のスーツケースとノートパソコンが置かれた日本家屋の写真

公開:2026-07-15

遠方の実家が空き家に…まず何から決める?選択肢の整理

実家が遠方にあり空き家になったとき、何から検討すればよいか迷う方向けに、売却・賃貸・解体・管理継続の4つの選択肢と、遠方であることが意思決定・手続きをどう難しくするかを整理します。

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1. 遠方の実家が空き家に…まず何から決める?(選択肢の全体像)

実家が遠方にあり、誰も住まなくなって空き家になった――という状況は、相続や転居のタイミングで急に訪れることが少なくありません。総務省の令和5年住宅・土地統計調査(2023年調査)によれば、全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%と、過去最多の水準で推移しています。

実家が空き家になったときに検討する選択肢は、大きく分けると「売却」「賃貸」「解体」「管理継続(そのまま維持する)」の4つです。ただし実家が遠方にある場合は、この4択そのものより先に『遠方であることが意思決定や手続きをどう難しくするか』を理解しておく必要があります。現地に頻繁に行けない、内見や査定の立会いが難しい、書類のやり取りや押印をどう進めるか、といった実務面の負担は、近くに住んでいる場合と比べて大きく変わってきます。

この記事では、4つの選択肢の全体像を整理したうえで、遠方であることが具体的にどこで負担になりやすいか、そしてオンライン査定・リモート相談に対応する業者をどう探すかに絞って解説します。管理を続けると決めた場合の管理委託・定期訪問・早期処分の費用比較は、記事後半で紹介する関連記事で詳しく扱っています。

2. 4つの選択肢を「遠方での対応のしやすさ」で比較する

概要遠方での対応のしやすさ(目安)向いているケース
売却(仲介・買取)買主を探して契約する仲介と、不動産会社が直接買い取る買取がある内見や重要事項説明の一部でオンライン対応が広がっているが、鍵の引き渡しや境界確認など現地対応が残る場面もある相場感を確認しながら価格を重視したい場合
賃貸賃貸に出して収益化する方法管理会社に運用を任せれば日常対応の多くを委託できるが、入居者対応の窓口をどう持つか事前確認が必要将来使う可能性を残しつつ収益も得たい場合
解体建物を取り壊して更地にする方法アスベスト事前調査など現地確認が必要になる場合があるが、写真・オンライン相談に対応する解体業者も増えている老朽化が進み、そのままでは売却・活用が難しい場合
管理継続建物を維持したまま所有し続ける方法管理委託・定期訪問など具体的な手法によって遠方での対応のしやすさが変わる将来の利用予定が明確な場合。手法の詳細比較は関連記事を参照

各選択肢の対応のしやすさは一般的な傾向を編集部が整理したものであり、実際の対応可否は事業者や自治体、物件の状態によって異なります。

出典:国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページ等を参考に編集部整理

3. 遠方だからこそ難しくなること①:現地に頻繁に行けない

実家が遠方にあると、まず「気づくのが遅れる」というリスクがあります。近隣に住んでいれば数週間に一度は様子を見に行けても、片道数時間以上かかる距離では、訪問の頻度そのものが限られます。雨漏りや庭木の越境、郵便受けの状態など、小さな異変に早く気づけないまま時間が経つと、修繕費用がかさんだり、近隣とのトラブルにつながったりする場合があります。

また、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正により、管理が行き届いていないと判断された空き家は「管理不全空家等」として指導や勧告の対象になる可能性があります。遠方であっても、所有者としての管理責任がなくなるわけではない点は押さえておく必要があります。管理を続けると決めた方はこちら。管理委託・定期訪問・早期処分をどう比較するかは、「遠方の空き家を管理する方法|委託・訪問・早期処分を費用で比較」で詳しく整理しているので、あわせて確認してみてください。

4. 遠方だからこそ難しくなること②:内見・査定・現地調査の立会い

売却であれ解体であれ、実際に手続きを進める段階では、多かれ少なかれ「現地の状態を確認する」工程が入ります。売却(仲介)では買主候補の内見に、買取では査定担当者の訪問に、解体ではアスベスト事前調査などの現地調査に、それぞれ立会いや確認作業が発生しやすいのが実情です。

遠方に住んでいると、そのたびに帰省するのは負担が大きくなります。近年は写真や動画、オンライン会議を使った査定・相談に対応する不動産会社や解体業者が増えており、初期の相談や概算見積もりまでは現地に行かずに進められるケースも出てきています。ただし、契約や重要事項の説明、鍵の引き渡しなど、どこかのタイミングで現地対応や書類の授受が必要になることも多いため、『どの工程からどの工程まではオンラインで進められるか』を早い段階で事業者に確認しておくと、帰省の回数や日程の見通しを立てやすくなります。

5. 遠方だからこそ難しくなること③:書類のやり取り・押印・相続登記

実家が相続によって空き家になった場合、手続きの起点として避けて通れないのが名義(登記)の確認です。法務省の案内によれば、相続登記の申請は2024年4月1日から義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があるとされています。名義が亡くなった親のままになっている場合、売却や解体の契約主体を誰にするかを先に整理しておく必要があります。

登記手続きは、権利に関する登記(相続登記など)を司法書士が、建物滅失登記など表示に関する登記を土地家屋調査士が担当するという役割分担になっています。遠方に住んでいる場合、実印の押印が必要な書類は郵送でやり取りし、本人限定受取郵便などを使って確認する運用も一般的です。事前にどの書類に実印・印鑑証明書が必要かを専門家や仲介会社にまとめて確認しておくと、郵送の往復回数を減らせます。

6. オンライン査定・リモート相談に対応する業者の見極め方

遠方から売却・賃貸・解体を検討する場合、まず確認したいのが『オンライン査定・リモート相談にどこまで対応しているか』です。具体的には、電話やビデオ通話での相談窓口があるか、写真・動画・図面の共有だけで概算見積もりを出せるか、契約や重要事項説明の一部をオンラインで進められるか、といった点を複数の事業者に同じ条件で確認すると比較しやすくなります。

国土交通省が運営する全国版の空き家・空き地バンクのように、自治体の空き家情報を横断的に検索できる仕組みも整備されており、遠方からでも地域の相談窓口や登録業者の情報を確認しやすくなっています。また、国土交通省の地価公示でも、住宅地の価格動向は地域や都市圏によって差があることが示されており、全国一律の相場観だけで判断すると、実際の査定額と想定にずれが生じる場合があります。遠方だからこそ、現地の相場に詳しい事業者を含めて複数社に相談し、条件をそろえて比較することが実務的です。

売却・賃貸・解体のどれが合うか判断がつかない場合は、家じまい全般の相談窓口に一度まとめて相談し、状況を整理してから個別の業者に絞り込む進め方も選択肢になります。

7. よくある質問

Q遠方に住んでいても、実家の売却手続きはリモートだけで完結できますか?

A事業者によって対応範囲は異なります。重要事項説明の一部にオンライン対応(IT重説等)が広がっていますが、鍵の引き渡しや境界確認など、現地対応が残る場面もあります。事前にどこまでオンラインで進められるかを仲介会社・買取業者へ確認してください。

Q内見や査定のたびに帰省しないといけませんか?

A写真や動画、オンライン会議での査定・相談に対応する事業者は増えており、初期相談や概算見積もりは現地に行かずに進められる場合があります。ただし、正式な査定やアスベスト事前調査など、現地確認が必要な工程が残ることもあります。

Q実印や印鑑証明書はどうやり取りすればよいですか?

A実印の押印が必要な書類は郵送でやり取りするのが一般的です。本人限定受取郵便などを使う運用もあるため、司法書士や仲介会社の案内に従って準備すると安心です。

Q相続した実家の登記は、売却や解体の前にどこまで急ぐ必要がありますか?

A相続登記の申請は2024年4月1日から義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があるとされています。売却・解体を進める前に、まず登記(名義)の状況を確認しておくと、その後の手続きがスムーズになります。

Q管理を続けると決めた場合、次に何を確認すればよいですか?

A管理委託・定期訪問・早期処分のそれぞれについて、費用と手間、リスクを比較したうえで方針を固めることをお勧めします。詳しい比較は「遠方の空き家を管理する方法|委託・訪問・早期処分を費用で比較」で解説しています。

Q売却・賃貸・解体・管理継続のどれから相談すればよいですか?

A判断材料がまだ揃っていない段階では、複数の選択肢に対応できる相談窓口に一度まとめて相談し、状況を整理してから個別の事業者に絞り込む進め方が実務的です。

8. あわせて読みたい関連記事

9. まとめ:遠方の実家は「対応のしやすさ」を軸に選択肢を整理する

実家が遠方にあり空き家になったときは、売却・賃貸・解体・管理継続の4つの選択肢に加えて、『遠方であることがどこで負担になるか』を先に把握しておくと、動き出しやすくなります。現地に頻繁に行けないこと、内見・査定・現地調査の立会い、書類のやり取りや押印・登記手続きは、いずれも近くに住んでいる場合より負担が増えやすいポイントです。オンライン査定・リモート相談に対応する事業者を複数比較しながら、無理のない範囲で現地対応が必要な工程を見極めていくことが、遠方からの家じまいを進めるうえでの実務的な一歩になります。

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参考資料

  1. 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 全国の空き家数は約900万戸(令和5年/2023年調査)、空き家率は13.8%と過去最多の水準で推移している

  2. 令和7年地価公示 / 国土交通省 / 2025-03-18

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html

    根拠: 地価公示では住宅地の価格動向は地域や都市圏によって差があることが示されている

  3. 空き家・空き地バンク総合情報ページ / 国土交通省

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html

    根拠: 全国版の空き家・空き地バンクは自治体の空き家情報を横断的に検索できる仕組みである

  4. 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 相続登記の申請は2024年4月1日から義務化されている、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要がある

  5. 司法書士・土地家屋調査士制度について / 山口地方法務局

    原典URL: https://houmukyoku.moj.go.jp/yamaguchi/static/asihou.htm

    根拠: 権利に関する登記(相続登記など)は司法書士、表示に関する登記(建物滅失登記など)は土地家屋調査士が担当するという役割分担がある

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

空き家先生 川口哲平(監修)

全国空き家対策コンソーシアム 代表理事 / 株式会社クラッソーネ 代表取締役CEO

空き家先生のX

経歴

空き家先生・全国空き家対策コンソーシアム代表理事・クラッソーネCEO。名古屋出身、京都大学卒業後、セキスイハイムを経てクラッソーネを設立。その後、全国空き家対策コンソーシアムを設立。

著者:クラッソーネ編集部