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アスベスト含有建材を含む古い日本家屋の外観と解体作業のイメージ

公開:2026-06-11更新:2026-07-28

アスベスト含有の家を解体するといくらかかる?調査から費用の流れ

アスベスト(石綿)含有の建物を解体する際の調査義務・費用目安・補助金活用まで、2022年改正法への対応を含めて解説します。

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1アスベスト含有の家を解体するとき、費用はどう変わるのか

空き家の解体を検討し始めたとき、「この家にはアスベストが含まれているかもしれない」という不安を感じる方は少なくありません。総務省「住宅・土地統計調査(2023年)」によると、空き家は全国で約900万戸に達し、過去最多を更新しています[1]。そのなかには高度経済成長期に建てられた建物も多く含まれます。2006年の原則全面禁止[2]以前に建てられた住宅や増改築部分では、屋根材・外壁材・床材などにアスベスト(石綿)が使われていた可能性があります。アスベストを含む建物を解体する場合、法律に基づく事前調査が必要で、含有建材が見つかると通常解体よりも費用が増加するケースがあります。この記事では、調査の義務内容、費用の目安、補助金の活用、手続きの流れについてわかりやすく解説します。

2アスベスト有無による解体費用の目安比較

項目アスベストなし(通常解体)アスベストあり(飛散性・低飛散性)
事前調査費用数万円程度(書面調査のみで完了するケースも)書面調査+現地調査+分析調査で数万〜十数万円程度
解体本体費用(木造・30坪目安)100万〜180万円程度150万〜250万円程度以上(除去・処理費用が加算)
アスベスト除去・処理費なし使用建材の種類・量・飛散性により数十万〜数百万円程度
廃棄物処分費通常の産業廃棄物として処分石綿含有産業廃棄物として法定の管理処分が必要(割高になりやすい)
工期一般的な戸建てで2〜4週間程度除去作業・養生期間が加わり、さらに1〜3週間程度延長する場合がある
補助金自治体によって解体補助ありアスベスト除去に特化した補助金が別途ある自治体もある

※ 費用は公的統計から直接算出した単価ではなく、見積もり前に概算を把握するための参考目安です。建物構造・地域・調査結果によって大幅に異なります。

出典:国土交通省 建築・住宅関係統計データと石綿事前調査制度を参考に編集部作成

3なぜアスベストが問題になるのか――健康リスクと規制の背景

アスベスト(石綿)は、繊維状の天然鉱物で、かつては耐熱性・断熱性・耐久性の高さから建築材料として広く使われていました。しかし、微細な繊維が空気中に飛散して吸引されると、肺がん・中皮腫・石綿肺などの重篤な疾患を引き起こす可能性があることが明らかになり、日本では2006年に原則全面禁止となりました[2]。問題は、解体時にアスベスト含有建材を適切に処理せず破砕・崩壊させると、周辺環境に繊維が飛散するリスクがある点です。そのため、建物解体に際しては法律による厳格な手順が課せられており、無許可での処理や飛散防止措置の不備は行政処分の対象となります。

アスベスト含有建材は「飛散性」と「低飛散性(非飛散性)」の2種類に分類されます。飛散性は吹き付け材など繊維が容易に空気中へ広がるもので、除去には完全密閉養生・負圧隔離など厳しい措置が必要です。低飛散性はスレート・窯業系サイディングなど成形板が代表例で、通常使用では繊維が飛散しにくい一方、解体時の破砕で飛散リスクが生じるため専門的な処理が求められます。費用は飛散性の方が大幅に高くなる傾向があり、この分類が解体費用の見積もりを大きく左右します。

42022年改正・大気汚染防止法によるアスベスト事前調査の義務化

2022年4月施行[3]の改正大気汚染防止法により、建築物の解体・改修作業を行う前には、石綿含有建材の使用有無を調査する「事前調査」が必要になりました。調査は、①建築物の設計図書等による書面調査、②現地での目視調査、③必要に応じた分析調査(サンプリングによる成分分析)の順で実施します。2023年10月以降は[4]、原則として建築物石綿含有建材調査者等の有資格者による調査が求められます。

調査結果は所定の書式で記録・保存します。さらに、解体部分の床面積が80㎡以上の工事や、請負金額が100万円以上の改修工事などは、事前調査結果を行政へ報告する必要があります[3]。事前調査を実施せずに解体工事を始めることは法令違反となるため、解体業者の選定にあたっては有資格者が在籍しているか、報告対象の場合の手続きを誰が行うかを確認することが重要です。

5アスベスト調査にかかる費用の目安

アスベスト事前調査の費用は、建物の規模・築年数・図面の有無によって変わります。書面調査だけで石綿含有建材の使用がないと確認できた場合は費用を抑えられる傾向がありますが、現地目視調査・分析調査まで必要になると、建物の延べ床面積や図面の有無、依頼先の業者によって費用は大きく異なります。調査費用は解体費用の見積もりに含める業者と、別途請求する業者に分かれますので、見積もり取得時に「事前調査費用の内訳はどうなっていますか」と確認することをお勧めします。なお、調査の結果「アスベストなし」となれば、追加の除去費用は発生しません。

6アスベスト除去・処理費用が高くなる理由

アスベスト含有建材が確認された場合、除去作業には飛散防止のための養生・隔離・負圧管理などの特別な措置が必要となり、通常解体とは大きく工程が異なります。また、除去後の廃棄物は「石綿含有産業廃棄物」として厳格に管理・輸送・処分しなければならず、通常の産業廃棄物よりも処分費用が高くなりやすい傾向があります。飛散性の高い「レベル1・レベル2」建材(吹付け石綿、石綿含有断熱材など)は特に除去難度が高く、費用が大きくなる場合があります。一方、「レベル3」と呼ばれる石綿含有成形板(サイディング・スレートなど)は、破砕しないように取り扱うことで一定のコスト抑制が可能な場合があります。見積もりを複数業者から取り寄せ、対応範囲と費用の根拠を確認することが大切です。

7補助金で費用を軽減できるケース

アスベスト含有建物の解体や除去については、国・都道府県・市区町村がそれぞれ補助金や助成制度を設けている場合があります。地方自治体によっては、①老朽化した空き家の解体補助(解体費用の一部を助成)、②アスベスト含有建材の除去に特化した助成、③アスベスト事前調査費用への補助、が別々に用意されていることもあります。補助額・対象要件・申請手続きは自治体ごとに異なり、予算に上限があるため年度早期に申し込むと有利な場合があります。補助金の活用を検討する場合は、解体工事の着工前に必ず自治体の担当窓口(住宅課・環境課など)に確認し、申請タイミングを把握しておくことが重要です。工事完了後に申請できないケースもあるため、スケジュール管理に注意してください。

8アスベスト含有の家の解体を進める手順

アスベスト含有の疑いがある建物を解体する場合、一般的な流れは以下のとおりです。

【ステップ1:建物の確認】建築年・構造・増改築歴を整理し、設計図書・検査済証・固定資産税課税明細書などの書類を手元に用意する。

【ステップ2:石綿事前調査者への依頼】調査有資格者が在籍する解体業者または専門調査会社に事前調査を依頼する。書面調査→現地調査→分析調査の順に進み、結果を書面で受け取る。

【ステップ3:複数業者への見積もり依頼】事前調査結果をもとに、2〜3社以上から解体・除去・廃棄物処分を含む総額見積もりを取得する。費用の内訳(調査費・除去費・廃棄物処理費・本体解体費)を項目別に確認する。

【ステップ4:補助金の確認と申請】自治体窓口で解体補助・アスベスト除去助成の有無を確認し、着工前に必要な申請を済ませる。

【ステップ5:工事着工・完了】着工前に行政への報告が必要な場合は業者が手続きを代行することが多いが、発注者として確認する。除去作業→養生撤去→本体解体の順で工事が進む。完了後に廃棄物処理証明書・マニフェストを受け取り保管する。

9よくある質問

Q1築年数がわからない建物でもアスベスト調査は必要ですか?
A

はい。建築年が不明な建物は、アスベスト使用の可能性を排除できないため事前調査が必要です。設計図書がない場合でも現地目視・分析調査によって確認できます。

Q2木造の古家でもアスベストが使われていることはありますか?
A

はい。木造住宅でも屋根材(スレート・カラーベスト)、外壁材(窯業系サイディング)、床材(ビニル床タイル)、断熱材などにアスベスト含有建材が使われていた事例があります。2006年の原則全面禁止[2]以前に建てられた建物や増改築部分は特に確認が重要です。

Q3アスベストが見つかった場合、解体をやめることはできますか?
A

解体を中止・延期することは可能です。ただし、調査費用はすでに発生していること、建物が老朽化している場合は自然崩落リスクも考慮する必要があります。費用面で迷う場合は補助金制度の活用や、複数業者への再見積もりを検討してください。

Q4解体業者が「アスベストなし」と口頭で言っていれば調査しなくて大丈夫ですか?
A

口頭での説明だけでは不十分です。法律上、事前調査は書面で結果を記録・保存し、報告対象工事では行政への報告も必要です。有資格者による正式な調査を実施し、調査報告書を必ず受け取ってください。

Q5解体費用を分割払いや後払いにすることはできますか?
A

業者によっては分割払いや工事後精算に対応している場合があります。ただし、条件は業者ごとに異なります。費用の支払い方法についても見積もり時に確認することをお勧めします。

Q6アスベスト調査や除去工事を自分でやってもいいですか?
A

事前調査は原則として有資格者が行う必要があり、除去作業も法令に基づいた専門業者に依頼するのが前提です。無資格・無対策での作業は健康被害のリスクがあるだけでなく、法令違反になる場合があります。

Q7飛散性と低飛散性のアスベストで解体費用はどのくらい違いますか?
A

飛散性は除去時に負圧隔離・完全養生・専門防護装備が必要なため、低飛散性と比べて除去・処理費用が数倍以上になる場合があります。吹き付けアスベストが確認された場合、除去費用は使用箇所の範囲や飛散防止措置の規模によって大きく増加する傾向があります。事前調査の結果を受けて必要な工法を業者に確認し、費用の内訳を明確にしたうえで見積もりを取ることが重要です。

Q8アスベストが疑われる相続した空き家を買取してもらうことはできますか?
A

相続登記を済ませたうえで[5]、買取業者に査定を依頼する方法があります。アスベスト含有が疑われる建物でも、解体・調査をせず現状のまま買い取ってもらえる場合があり、事前調査・除去費用の負担を避けられることがあります。提示条件に納得できれば売買契約・引き渡しという流れです。

10あわせて読みたい関連記事

11まとめ:アスベスト含有の家の解体は「調査→見積もり→補助金確認」の順で動く

アスベスト(石綿)を含む建物の解体は、2022年改正大気汚染防止法[3]により事前調査が義務化され、通常解体よりも費用・工期・手続きの面で追加の対応が必要になります。費用の増加額は建材の種類・量・飛散性によって大きく異なるため、「アスベストがあるかもしれない」という段階で焦る必要はありません。まずは石綿事前調査者がいる業者に相談し、正式な調査結果をもとに複数業者から見積もりを取ることが出発点です。補助金については自治体窓口で着工前に確認し、申請期限を守ることで費用負担を軽減できる場合があります。アスベスト含有建物の解体は専門性が高い分野ですが、適切な手順を踏めば安全・適法に進めることができます。不安な点は解体業者や自治体の窓口に相談しながら、一歩ずつ進めていきましょう。

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参考資料

  1. 建築・住宅関係統計データ / 国土交通省

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/statistics/details/jutaku_list.html

    根拠: 国土交通省の建築・住宅関係統計において、1970〜1990年代に建設された建物にアスベスト含有建材が多く使用されていたことが示されている、国土交通省がアスベスト含有建材の使用実態に関する調査・統計データを公表している

  2. [1] 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 2023年時点で空き家数は900万戸を超え、総務省の住宅・土地統計調査で過去最多を更新したこと、空き家のうち老朽化した「その他の空き家」が増加傾向にあり、1980年以前建築の建物が相当数含まれること

  3. [2] 石綿パンフレット等(建築物・工作物・船舶の解体・改修工事に対する石綿対策の規制) / 厚生労働省

    原典URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/other/pamph/index.html

    根拠: 石綿は2006年(平成18年)に原則として全面禁止となったこと

  4. [3] 石綿事前調査結果の報告について / 環境省

    原典URL: https://www.env.go.jp/air/asbestos/post_87.html

    根拠: 2022年4月施行の改正大気汚染防止法により、建築物の解体・改修作業前の石綿事前調査が義務化されたこと、解体部分の床面積が80㎡以上の工事や、請負金額100万円以上の改修工事等では、事前調査結果を行政へ報告する義務があること

  5. [4] 石綿総合情報ポータルサイト / 厚生労働省

    原典URL: https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/

    根拠: 2023年10月以降は、原則として建築物石綿含有建材調査者等の有資格者による石綿事前調査が求められること

  6. [5] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 相続登記は2024年4月1日から義務化された

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部