クラッソーネ家じまいコラム
コラム一覧/建物滅失登記とは|解体後1か月以内の手続き、亡くなった親名義の家と固定資産税の関係
古い家を解体した後に整地された空き地と、隣家の塀

公開:2026-10-24

建物滅失登記とは|解体後1か月以内の手続き、亡くなった親名義の家と固定資産税の関係

家を解体したら、建物滅失登記を取り壊しの日から1か月以内に申請します。親が亡くなり名義がそのままの実家でも、相続人の1人から申請できます。必要な書類、登録免許税がかからないこと、法務局から市町村への通知と固定資産税の関係、未登記の建物や申請を忘れていた場合の対応まで解説します。

1家を解体したら、1か月以内に建物滅失登記を申請する

空き家になった実家を解体すると、工事が終わったあとにも手続きが残ります。そのひとつが「建物滅失登記」です。建物がなくなったことを法務局の登記記録に反映する手続きで、取り壊しの日から1か月以内に申請する義務があります[1]。

全国の空き家は2023年に約900万戸あり[2]、親から相続した家を解体するケースも少なくありません。登記記録の名義が亡くなった親のままの家でも、相続人の1人から滅失登記を申請できます[3]。

この記事では、建物滅失登記の期限と必要な書類、名義人が亡くなっている場合の申請、登記と固定資産税の関係、登記されていない建物や申請を忘れていた場合の対応を、法務局の資料と法律の条文をもとに整理します。

LINE公式アカウント

解体後の手続きや実家の片付けをLINEで相談

滅失登記や固定資産税など、解体の前後に必要な手続きをまとめて整理しましょう。

LINEで友だち追加

2建物滅失登記とは:期限・過料・費用

建物がなくなったことを登記記録に反映する手続き

建物の登記記録には、所在や家屋番号、種類・構造・床面積などが記録されています。解体して建物がなくなっても、登記記録は自動では消えません。建物滅失登記は、建物の物理的な状況を記録する「表示に関する登記」のひとつで、建物がなくなったことを登記記録に反映させます。

期限は取り壊しの日から1か月、怠ると10万円以下の過料

建物がなくなったときは、登記記録に所有者として載っている人が、なくなった日から1か月以内に滅失登記を申請しなければなりません[1]。正当な理由がないのに申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になります[1]。解体工事の完了が近づいたら、申請の段取りを決めておきましょう。

登録免許税はかからない

登録免許税は、登録免許税法の別表第一に載っている登記にかかる税で、建物の滅失の登記はこの表に含まれていません[4]。そのため、自分で申請する場合にかかるのは、登記事項証明書の取得や郵送の費用など、書類をそろえるための実費が中心です。専門家に依頼する場合は、その報酬が別にかかります。

3建物滅失登記:場面ごとの申請する人と主な書類

場面申請する人主な添付書類注意点
登記の名義人が自分で、存命登記記録の名義人本人解体業者が出す建物滅失証明書(業者が会社なら、会社法人等番号を書くと代表者の資格証明書を省略でき、代表者の印鑑が現在登記所に登録されていれば印鑑証明書も省略できる)登記記録の住所が今と違う場合は、住民票の写しなどで住所の移り変わりを示す
名義人の親が亡くなっている相続人の1人(相続登記をしていなくても申請できる)建物滅失証明書に加え、名義人が亡くなったことと申請人が相続人であることが分かる戸籍、住所と本籍のつながりが分かる戸籍の附票など、申請人の住民票など必要な戸籍は家族の状況で変わるため、事前に管轄の法務局で確認する
建物が登記されていない滅失登記はできない市町村の税務担当への届出(家屋滅失届など)届出の方法や期限は自治体によって異なる

必要な書類は、登記記録の内容や家族の状況によって変わります。申請の前に、不動産の所在地を管轄する法務局で確認してください。未登記の建物の届出は、千葉市は家屋滅失届出書の提出、鹿児島市は取り壊した年の年末までの連絡など、自治体によって異なります。

出典:不動産登記法(e-Gov法令検索)第30条・第57条、法務局「建物の滅失の登記の申請書の記載例」、佐賀地方法務局「不動産登記申請書提出前のチェックリスト(建物滅失)」、千葉市・鹿児島市の案内を基に編集部作成

4名義人が亡くなった実家を解体した場合の申請

相続登記をしていなくても、相続人の1人から申請できる

登記記録の名義人が亡くなっている場合、相続人は、亡くなった人に代わって表示に関する登記を申請できます[1]。建物滅失登記もそのひとつで、相続人全員でなくても、相続人の1人から申請できます[3]。建物の名義を先に相続人へ変える必要はありません。

戸籍などで、自分が相続人であることを示す

名義人が亡くなっている場合は、建物滅失証明書のほかに、名義人が亡くなったことが分かる戸籍、申請する人が相続人であることが分かる戸籍、登記記録の住所と本籍のつながりが分かる戸籍の附票などをそろえます。申請する人の住民票なども必要です[3]。どこまでの戸籍が必要かは家族の状況で変わるため、集め始める前に法務局へ確認すると無駄がありません。

土地の相続登記は別に必要

建物は滅失登記で登記記録が閉じられますが、土地は残ります。相続登記は2024年4月1日から義務になっているため[5]、土地の名義を相続人に変える手続きは別に進める必要があります。土地を売る場合も、相続人の名義になっていることが前提です。相続登記の期限や手続きは、空き家の相続登記義務化にどう対応する?期限・過料・手続きを解説で整理しています。

5建物滅失登記と固定資産税の関係

解体後、建物滅失証明書をもとに法務局へ滅失登記を申請すると、法務局から市町村へ通知されて課税台帳に反映され、未登記の建物は市町村に届け出ることを表した図

滅失登記をすると、法務局から市町村へ通知が届く

法務局は、建物の滅失などの表示に関する登記をしたら、10日以内に市町村長へ通知します。市町村は、その通知をもとに、固定資産税の家屋課税台帳を直します[6]。鹿児島市のように、登記済みの家屋は滅失登記をすれば法務局から通知が届くため、市への申請は要らないと案内している自治体もあります[7]。

固定資産税は1月1日の状況で決まる

固定資産税は、その年の1月1日の状況にもとづいて課税されます。年の途中で家を取り壊しても、その年度の税は納める必要があります[8]。また、住宅が建っている土地の固定資産税を軽くする特例は、建物がなくなると外れるため、土地の税額が増えることがあります。解体後の土地の税の変化は、解体後の固定資産税はどう変わる?更地にする前に確認することで詳しく解説しています。

登記されていない建物は、市町村に届け出る

古い家では、建物が登記されていないこともあります。登記されていない建物は滅失登記ができないため[3]、市町村の税務担当に取り壊したことを伝えます。千葉市は家屋滅失届出書の提出を[8]、鹿児島市は取り壊した年の年末までの連絡を求めています[7]。方法や期限は自治体によって違うため、建物があった市町村の案内を確認しましょう。

6申請のしかたと、申請を忘れていたときの対応

解体業者から建物滅失証明書を受け取っておく

滅失登記には、建物を取り壊した解体業者が出す「建物滅失証明書」が必要です。業者が会社の場合、申請書に会社法人等番号を書くと代表者の資格証明書を省略でき、代表者の印鑑が現在登記所に登録されている場合は、印鑑証明書も省略できます[9]。解体を頼む前に、工事が終わったら証明書を出してもらえるかを業者に確認しておきましょう。解体の費用感を先に知りたい場合は、解体費用シミュレーター(別ウィンドウで開きます)で目安を確かめられます。

申請書は管轄の法務局へ。自分で難しければ土地家屋調査士に

申請書は、法務局のホームページにある様式と記載例を使って作れます。「登記原因及びその日付」の欄には、建物滅失証明書に書かれた取り壊しの日と「取壊し」を書きます[9]。提出先は、建物があった場所を管轄する法務局です[3]。書類をそろえるのが難しい場合は、表示に関する登記の申請手続きを主な業務とする土地家屋調査士に依頼できます[10]。家族に代わりに申請してもらう場合は、委任状が必要です[3]。

何年も前に解体していた場合も、気づいた時点で申請する

親の代に解体した建物が、登記記録に残ったままになっていることもあります。1か月の期限を過ぎていても、建物がない以上、滅失登記は必要です。解体業者が分からず建物滅失証明書をもらえない場合の書類については、管轄の法務局に相談してください。登記記録に建物が残っていると、土地を売るときに手続きが進まないことがあるため、売却や相続の手続きを始める前に、取り壊した建物の登記事項証明書などで、登記記録が残っていないかを確かめておくと安心です。家屋番号などが分からない場合は、管轄の法務局に相談してください。

7よくある質問

Q1解体業者が建物滅失登記まで申請してくれますか?
A

滅失登記を申請するのは、登記記録の名義人(亡くなっている場合は相続人)です[1]。解体業者の役割は、申請に使う建物滅失証明書を出すことです[9]。手続きを専門家に任せたい場合は、表示に関する登記を扱う土地家屋調査士に依頼できます[10]。

Q2建物滅失登記をしないとどうなりますか?
A

正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になります[1]。登記記録にも建物が残ったままになるため、土地の売却などの手続きで、先に整理を求められることがあります。固定資産税の扱いも、市町村は法務局からの通知をもとに課税台帳を直すため[6]、取り壊したことが伝わっているか、市町村の税務担当に確認しておきましょう。

Q31か月を過ぎてしまいました。もう申請できませんか?
A

期限を過ぎても申請はできますし、建物がない以上、申請は必要です。気づいた時点で、建物滅失証明書などをそろえて申請しましょう。書類がそろわない場合は、管轄の法務局に相談してください。

Q4離れや物置など、建物の一部だけを取り壊した場合も滅失登記ですか?
A

母屋を残して、登記記録に附属建物として載っている離れや物置だけを取り壊した場合や、増築部分を取り壊して床面積が変わった場合は、建物全体の滅失登記ではなく、登記されている内容を変える「表題部の変更の登記」を申請します。こちらも、変更があった日から1か月以内に申請する義務があります[1]。どちらに当たるか迷うときは、登記事項証明書を取り寄せて、取り壊した建物が登記記録のどこに載っているかを確かめましょう。

Q5建物滅失登記にお金はかかりますか?
A

建物の滅失の登記は登録免許税の課税の対象に含まれていないため、登録免許税はかかりません[4]。自分で申請する場合は、登記事項証明書の取得や戸籍の取り寄せ、郵送などの実費がかかります。土地家屋調査士に依頼する場合は、別に報酬がかかります。

Q6登記されていない古い家を解体しました。何をすればよいですか?
A

登記されていない建物は滅失登記ができません[3]。固定資産税の課税台帳から外してもらうため、建物があった市町村の税務担当に取り壊したことを届け出ます。届出の方法や期限は自治体によって異なります(例:千葉市は家屋滅失届出書の提出[8]、鹿児島市は取り壊した年の年末までの連絡[7])。

Q7相続した空き家を買取してもらう手続きは?
A

一般的には、相続登記で名義を相続人に変えたうえで、買取業者に査定を依頼し、条件に納得できれば契約して引き渡します。相続登記は2024年4月1日から義務になっています[5]。建物を残したまま買い取ってもらう場合は、滅失登記は不要です。解体してから土地を売る場合は、解体後1か月以内の滅失登記と、土地の相続登記の両方が必要になります。

8あわせて読みたい関連記事

9まとめ:解体したら「1か月以内に滅失登記、土地は相続登記」

家を解体したら、取り壊しの日から1か月以内に建物滅失登記を申請します。親が亡くなり名義がそのままの実家でも、相続人の1人から、戸籍などをそろえて申請できます。登録免許税はかかりません。

滅失登記をすると、法務局から市町村へ通知が届き、固定資産税の課税台帳に反映されます。登記されていない建物は、市町村に直接届け出ましょう。建物がなくなっても土地の相続登記は別に必要なので、解体の前に、登記と税金の手続きをまとめて段取りしておくと安心です。手続きの順番に迷ったら、家じまいの相談窓口(別ウィンドウで開きます)で全体の進め方から相談してみてください。

家じまいのお役立ちサービス

LINE公式アカウント

次に進むなら、LINEで家じまい相談

迷ったままにせず、まずは友だち追加で相談の一歩を。

LINEで友だち追加

参考資料

  1. [1] 不動産登記法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123

    根拠: 建物が滅失したときは、表題部所有者または所有権の登記名義人は、滅失の日から1か月以内に建物の滅失の登記を申請しなければならない(第57条)、正当な理由なく申請を怠ったときは10万円以下の過料(第164条)、表題部所有者または登記名義人に相続があったときは、相続人は表示に関する登記を申請できる(第30条)、建物の種類・構造・床面積や附属建物などの登記事項に変更があったときは、変更の日から1か月以内に表題部の変更の登記を申請しなければならない(第51条)

  2. [4] 登録免許税法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035

    根拠: 登録免許税は別表第一に掲げる登記等について課され、建物の滅失の登記は別表第一に含まれていない(第2条)

  3. [6] 地方税法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226

    根拠: 登記所は表示に関する登記をしたとき、10日以内にその旨を市町村長に通知し、市町村長は家屋課税台帳に異動を記載する(第382条)

  4. [9] 建物の滅失(建物滅失登記)の申請書の記載例 / 法務局 / 2024-03-29

    原典URL: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001189459.pdf

    根拠: 建物滅失登記の添付情報は、建物を取り壊した工事請負人の建物滅失証明書。法人なら代表者の資格証明書と印鑑証明書も必要だが、会社法人等番号を記載すれば資格証明書を省略でき、代表者の印鑑を現在登記所に登録している場合は印鑑証明書も省略できる、「登記原因及びその日付」欄には、建物滅失証明書に記載された取壊しの日と「取壊し」を記載する、登記簿上の住所が現在と違う場合は、住民票の写し等を添付する

  5. [3] 不動産登記申請書提出前のチェックリスト(建物滅失) / 佐賀地方法務局

    原典URL: https://houmukyoku.moj.go.jp/saga/content/001353319.pdf

    根拠: 所有者が死亡している場合は相続人の1人から申請でき、死亡の記載のある戸籍・相続人であることが分かる戸籍・住所と本籍のつながりが分かる戸籍の附票等、申請人の住民票等を添付する、登記がされていない建物は滅失の登記を申請できない、申請書は不動産の所在地を管轄する法務局へ提出する。代理人による申請では委任状が必要

  6. [8] 固定資産税:年の途中で家屋を取り壊した又は建て替えた場合はどうしたらよいでしょうか。 / 千葉市 / 2026-08-17

    原典URL: https://www.city.chiba.jp/faq/zaiseikyoku/zeimu/kazeikanri/83.html

    根拠: 固定資産税は1月1日現在の状況で課税されるため、年の途中で取り壊してもその年度分は納める、未登記家屋は家屋滅失届出書を市税事務所へ提出する(千葉市)

  7. [7] 家屋を取り壊した時 / 鹿児島市 / 2026-04-01

    原典URL: https://www.city.kagoshima.lg.jp/soumu/zeimu/shisanzei/kurashi/zekin/kote/kaoku/todoke-02.html

    根拠: 登記済みの家屋は滅失登記の完了後に法務局から市へ通知されるため、市への申請は不要(鹿児島市)、未登記の家屋は取り壊した年の年末までに市へ連絡する(鹿児島市)

  8. [10] 司法書士・土地家屋調査士制度について / 山口地方法務局

    原典URL: https://houmukyoku.moj.go.jp/yamaguchi/static/asihou.htm

    根拠: 土地家屋調査士は、依頼を受けて不動産の表示に関する登記の調査・測量・申請手続きをすることを主な業務とする

  9. [5] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 2024年4月1日から相続登記の申請が義務化された

  10. [2] 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 2023年の全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部