1相続した空き家を売ると税金はどうなる?
親が亡くなって実家を相続し、使い道がないまま空き家になってしまった場合、売却を検討する方は少なくありません。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると全国の空き家は過去最多水準にのぼり、その多くが相続によるものとされています。
空き家を売却すると、売却で得た利益(譲渡所得)に対して「譲渡所得税(所得税・住民税)」がかかる可能性があります。ただし、一定の条件を満たす場合は「空き家特例(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除)」として原則最大3,000万円の控除を受けられます[1]。相続人が3人以上の場合など控除上限が変わるケースもあります[1]。この記事では税金の仕組みと節税のポイントを整理します。なお、具体的な税額計算や申告については税理士にご相談ください。
2空き家売却時にかかる主な税金の種類
| 税金の種類 | 税率・概要 | 納付タイミング |
|---|---|---|
| 所得税(譲渡所得) | 所有5年超:長期 15.315%、5年以下:短期 30.63%(復興特別所得税含む) | 確定申告後(翌年3月15日まで) |
| 住民税(譲渡所得分) | 長期譲渡:5%、短期譲渡:9%(地方税法に基づく) | 翌年6月以降の特別徴収または普通徴収 |
| 印紙税 | 売買契約書の記載金額に応じた定額(例:1,000万円超5,000万円以下は1万円) | 売買契約書作成時 |
※ 税率は2026年6月時点の一般的な水準を示したものです。軽減税率・特例適用後の税率は異なります。正確な税額は税理士にご確認ください。
出典:e-Gov 地方税法(道府県民税・市町村民税の規定)を基に編集部作成
3譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税の課税対象となるのは「譲渡所得」です。譲渡所得は次の式で計算します。
譲渡所得 = 売却価格 ー 取得費 ー 譲渡費用 ー 特別控除
「取得費」は、もとの所有者(被相続人)が購入した当時の価格(購入代金+仲介手数料など)が基本です。相続した場合も被相続人の取得費を引き継ぎます。購入時の資料がない場合は、売却価格の5%を概算取得費として使うことができます[2]。
「譲渡費用」には、売却時の仲介手数料・測量費・建物解体費用などが含まれます。これらを差し引いたうえで、さらに特例を活用すれば課税額を大幅に圧縮できる場合があります。
4空き家特例(3,000万円控除)とは
5空き家特例の主な適用要件
空き家特例を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります(2026年6月時点の一般的な要件の概要。詳細は国税庁の公式情報や税理士にご確認ください)。
1. 相続または遺贈で取得した家屋・土地であること
2. 被相続人が相続直前まで一人で住んでいたこと(老人ホーム入居の場合など一定の例外あり)
3. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準の建物)であること[1]
4. 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること[1]
5. 売却価格が1億円以下であること[1]
6. 売主が譲渡時までに耐震改修または取壊しを行うこと、または2024年以降の改正により、買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを行うこと[1]
7. 相続人が複数いる場合、それぞれの控除額に上限あり(原則最大3,000万円、相続人が3人以上の場合は最大2,000万円)[1]
要件を満たさない場合や一部の要件に不安がある場合は、早めに税理士に相談することが大切です。
6税金を減らすための手順と注意点
空き家売却の税負担を軽減するためには、次の手順と注意点を押さえておきましょう。
【手順1】取得費の資料を確認する
被相続人の売買契約書・登記済証・通帳記録などを探し、取得費の根拠を整理します。資料がない場合は概算取得費(売却価格の5%)を用いることになりますが[2]、概算取得費は実際の取得費より低くなりやすく、税額が増える可能性があります。
【手順2】空き家特例の適用可否を早期に確認する
旧耐震建物かどうか、相続開始日から3年以内かどうか、相続人の人数によって控除上限が変わらないかを確認します[1]。期限を過ぎると特例が使えなくなるため、相続後は早めに確認することが重要です。
【手順3】解体か耐震改修かを検討する
特例の要件として、耐震基準への適合または取壊しが求められます。2024年以降は買主が譲渡後の期限内に対応するケースも対象になり得ますが[1]、契約条件や証明書類の確認が必要です。解体費用がかかる場合も、節税効果と比較して判断しましょう。
【注意点】相続税の取得費加算の特例との併用は不可
相続税の申告をした場合、相続税額の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」があります。ただし、この特例と空き家特例(3,000万円控除)は原則として同時に適用できません。どちらが有利かを税理士と相談してください。
7空き家特例(3,000万円特別控除)の制度概要
相続により取得した被相続人居住用家屋及びその敷地等を一定の要件のもとに売却した場合には、その譲渡所得の金額から最高3,000万円を控除する特例を受けることができます。
8確定申告の必要性と手続きの流れ
空き家を売却して譲渡所得が発生した場合は、翌年の確定申告(原則として翌年2月16日〜3月15日)が必要です[3]。特例を適用する場合も、申告書への記載と必要書類の添付が求められます。申告を怠ると特例が適用されず、加算税・延滞税が生じる可能性もあります。
確定申告に必要な主な書類の例:
書類は売却前から計画的に収集しておくと、申告時の手間が軽減されます。国税庁のウェブサイトでも手続きの詳細を確認できます。
9よくある質問
Q1空き家を売却した場合、必ず確定申告が必要ですか?
売却益(譲渡所得)が発生した場合は確定申告が必要です。仮に特例を使って課税額がゼロになる場合でも、特例を適用するためには確定申告が必要となります。
Q2被相続人が老人ホームに入居していた場合、空き家特例は使えますか?
一定の要件(介護保険法等に規定する施設への入居かつ家屋が空き家になっていたことなど)を満たす場合は特例の対象となる場合があります。詳細は税理士または国税庁の公式情報をご確認ください。
Q3兄弟で共有している実家を売却した場合、それぞれ3,000万円控除を使えますか?[1]
持分ごとに特例を申請できる場合がありますが、適用には各人が要件を満たす必要があります。共有名義の売却は手続きが複雑なため、事前に税理士に相談することをお勧めします。
Q4空き家を更地にして売った場合と建物付きで売った場合で税金は変わりますか?
解体費用は譲渡費用として差し引くことができるため、課税所得を減らす効果があります。また、空き家特例の要件として更地売却または耐震改修が必要なケースもあるため、特例適用の観点からも解体を検討することがあります。
Q5売却が赤字(譲渡損失)だった場合、税金はかかりますか?
空き家の売却で損失が出た場合、原則として他の所得との損益通算はできません(マイホームの特例とは異なります)。ただし確認すべき例外規定もあるため、税理士にご相談ください。
Q6相続した空き家を買取してもらう手続きは?
相続登記を済ませたあと、買取業者に査定を依頼し、条件に納得できれば契約・引き渡しという流れが一般的です。売却益には譲渡所得税がかかります。要件を満たせば空き家特例[1]による控除も使える場合がありますが、適用要件や具体的な税額は個別事情により異なるため、税理士に確認することをお勧めします。
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11まとめ
空き家を売却した際には譲渡所得税・住民税・印紙税などの税金がかかる可能性があります。ただし、相続した実家が旧耐震基準の建物であるなど一定の条件を満たす場合は、空き家特例を活用することで税負担を大幅に軽減できます。
重要なポイントを整理すると:
税金の手続きは複雑で、要件の確認ミスが思わぬ税負担につながることがあります。売却を検討し始めた段階で税理士に相談し、取得費の資料整理や特例の適用可否を早めに確認しておくことを強くお勧めします。crassoneでは空き家・家じまいに関する相談窓口もご用意しています。まずはお気軽にご相談ください。









