コラム一覧/空き家の火災保険はどうする?補償内容・解約・切替のポイント
古い空き家の外観と保険書類をイメージした写真

2026-06-18 更新

空き家の火災保険はどうする?補償内容・解約・切替のポイント

空き家になると火災保険の補償内容が変わったり、解約・切替が必要になる場合があります。空き家状態での保険の扱い、専用商品への切替、解約リスクをわかりやすく解説します。

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1. 空き家になると火災保険はどうなるのか

実家が空き家になったとき、多くの方がまず戸惑うのが「今加入している火災保険をそのままにしていいのか」という問題です。結論から言えば、住宅用の火災保険は「居住を前提とした商品」であるケースが多く、空き家になった時点で補償内容や契約条件が変わる可能性があります。

一般的な住宅火災保険や住宅総合保険は、居住者がいる建物を対象として設計されています。保険会社によって対応は異なりますが、居住実態がなくなった場合には「告知義務」や「通知義務」が発生し、速やかに保険会社へ連絡することが求められます。連絡せずに空き家状態を続けた場合、万が一の火災や損害が発生したときに保険金が支払われないリスクがあります。

空き家は居住中の建物に比べて管理が行き届きにくく、火災・水漏れ・不法侵入などのリスクが高まります。そのため保険会社側も空き家の状況を重要な情報として扱います。空き家になることが分かった段階で、まず現在加入している保険会社に相談することが大切です。

2. 居住用保険を空き家に適用し続けるリスク

空き家になったにもかかわらず、居住用の火災保険を継続しているケースは少なくありません。しかし、これには大きなリスクが伴います。

告知義務違反になる可能性がある

保険契約では「重要事項の変更があった場合には速やかに通知する」という義務(通知義務)が定められています。空き家になることは住宅の用途が変わることを意味するため、多くの保険会社ではこれを「通知すべき事項の変化」と位置づけています。黙って放置した場合、保険会社が「告知義務違反」または「通知義務違反」として保険金の支払いを拒否したり、契約を解除したりする可能性があります。

保険料の見直し・保険の継続拒否

保険会社に空き家状況を報告した場合、リスク実態に合わせて保険料が引き上げられたり、居住用商品の継続が困難として契約解除を求められる場合があります。

特定空家・管理不全空家への指定リスク

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は過去最多の900万戸、空き家率は13.8%に達しています。空家等対策特別措置法の改正(2023年)により、適切に管理されていない空き家は「管理不全空家」として指定を受け、固定資産税の住宅用地特例を外される可能性が生じました。さらに深刻な状態になると「特定空家」として行政から指導・勧告・命令・代執行の対象になる場合もあります。こうした状況では保険のカバー範囲にも影響が出かねません。

空き家になった時点で保険会社に連絡し、現状に即した保険に切り替えることが、将来の損害・トラブルを防ぐ第一歩です。

3. 居住用火災保険と空き家専用保険の主な違い

項目居住用火災保険(一般)空き家専用保険(一般的な例)
対象建物の状態居住者がいる建物無人・空き家状態の建物
補償の継続性空き家になると継続困難な場合あり空き家状態でも補償継続
保険料水準居住前提のため比較的低い傾向リスク実態を反映し高くなる傾向
不法侵入・いたずら補償対応していない場合が多い対応している商品が多い
管理者要件居住者が管理遠隔管理・委託管理を想定した設計

保険商品によって内容は異なります。加入検討時は各保険会社の最新パンフレットや約款を必ず確認してください。

出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」を背景に、保険商品で確認すべき項目は編集部作成

4. 空き家専用保険への切替を検討すべきタイミング

居住用の保険を空き家にそのまま適用し続けることのリスクを踏まえると、以下のタイミングで空き家専用保険への切替を検討することが望ましいとされています。

1. 居住者が転出した直後

実家の親御さんが施設に入居した、相続が発生して誰も住まなくなった、自分が引越して持ち家を空けたなど、住む人がいなくなったタイミングが最初の検討時期です。

2. 管理人が現地に常駐しなくなったとき

近くに管理できる親族がいる場合は比較的リスクが低いとも言われますが、遠方に住んでいて定期的な管理が難しい場合は専用商品を検討する意義が増します。

3. 空き家の期間が長期化しそうなとき

売却・解体・賃貸の見通しが立たず、空き家状態が1〜2年以上続きそうな場合は、早めに専用の保険へ切り替えておくことで、万一の時も補償を受けやすくなります。

空き家専用保険でカバーできること

空き家専用保険は、一般的な居住用保険と比べて以下のような補償に対応している商品が多いです。

  • 火災・落雷・爆発などの基本的な損害
  • 台風・水害・雪害などの自然災害(商品による)
  • 不法侵入・いたずら・窓ガラス破損
  • 建物の汚染・異臭などの処置費用(商品による)

ただし、具体的な補償範囲は商品・保険会社によって大きく異なります。複数社に見積もりを依頼し、実際の補償内容・免責事項・保険料を比較して選ぶことが重要です。

5. 現在加入中の火災保険を解約するときの注意点

空き家専用保険への切替や、解体・売却などで保険が不要になった場合には、現在の保険を解約する手続きが必要になります。解約にあたって確認すべき点を整理します。

解約返戻金について

長期契約の火災保険は、解約時に「解約返戻金」として残余期間分の保険料が返ってくる場合があります。ただし、返戻金の有無や計算方法は保険会社・商品によって異なります。解約前に必ず保険証券や約款で確認してください。

解約のタイミング

建物の解体・売却が決まった場合は、引き渡し日・工事完了日に合わせて解約手続きを進めるのが一般的です。解体工事中も火災や第三者への損害リスクがあるため、工事完了まで保険を残しておくケースが多いです。

切替時の空白期間を作らない

現在の保険を解約してから新しい保険に加入するまでの間に「無保険期間」が生じないよう注意が必要です。切替手続きは、新しい保険の開始日を確認してから旧保険を解約するのが安全です。

建物だけでなく家財保険も確認

居住用の保険には「家財保険」がセットになっていることがあります。空き家になって家財を引き払った場合は、家財保険の対象もなくなるため、この点も保険会社に確認してください。

売却・解体時は不動産会社や解体業者にも相談を

売却・解体の進め方によっては、保険の継続・切替・解約のタイミングが変わります。不動産会社や解体業者と手続きの流れを共有しながら進めるとスムーズです。

6. よくある質問

Q空き家になってからだいぶ経ちますが、今からでも保険会社に連絡できますか?

Aはい、できます。空き家状態になっていた期間が長くても、まずは現在加入中の保険会社に連絡して現状を正直に伝えることが大切です。対応方法や継続可否について案内を受けられます。連絡を先延ばしにするほど、万一の事故時に補償を受けられないリスクが高まります。

Q空き家専用保険は一般的な火災保険より高いのですか?

A一般に、空き家は居住中の建物よりも管理リスクが高いと見なされるため、保険料が高くなる傾向があります。ただし、保険会社や補償内容によって差があります。複数社に見積もりを依頼して比較することをお勧めします。

Q解体工事中も保険は必要ですか?

A解体工事中も火災・損害のリスクはあります。また、隣家や通行人への損害については解体業者の工事保険(請負賠償責任保険など)でカバーされるのが一般的ですが、建物そのものの火災リスクなどについては解約前に保険会社に確認しておくと安心です。

Q相続で空き家を引き継ぎましたが、被相続人名義の保険はどうなりますか?

A被相続人(故人)名義の保険は、相続手続きと合わせて保険会社への連絡・名義変更または解約が必要です。名義変更せずに保険金請求が発生した場合、手続きが複雑になる可能性があります。相続が発生したら早めに保険会社に連絡しましょう。

Q空き家の保険を解約すると、解約返戻金はもらえますか?

A長期一括払いの保険の場合、残余期間に応じた解約返戻金が戻ってくるケースがあります。月払いの場合は返戻金がない場合がほとんどです。保険証券や約款で確認するか、保険会社に直接問い合わせてください。

Q空き家を賃貸に出す場合、保険はどうすればよいですか?

A空き家を賃貸に出す場合は、入居者が決まった時点で「居住用の建物」として扱われるため、空き家専用保険から居住用の保険への切替が必要になる場合があります。賃貸開始前に保険会社に相談して、適切な保険に切り替えてください。

7. 空き家の保険と合わせて考えたい今後の選択肢

空き家の保険問題は、空き家をどう扱うかという大きな方針と切り離して考えることができません。火災保険の切替・解約を検討するタイミングで、空き家全体の管理方針についても整理しておくと、将来の手続きをスムーズに進めることができます。

主な選択肢の整理

  • 管理を継続する場合: 空き家専用保険に切り替えて補償の空白を防ぐ。定期的な管理体制を整える。
  • 賃貸に出す場合: 入居者決定後に居住用の保険に切り替える。賃貸管理会社への相談も並行して行う。
  • 売却を検討する場合: 売却活動中も保険の継続を検討する。売却完了後に解約する。
  • 解体を検討する場合: 解体業者に見積もりを依頼し、工事完了に合わせた解約を計画する。

どの選択肢をとるにしても、「空き家の保険はどうするか」という問題は早めに動くほど選択肢が広がります。まずは現在加入中の保険会社に状況を伝えることから始めてみてください。

また、空き家の今後の取り扱いについて迷っている場合は、空き家の管理・売却・解体などを専門的に扱う相談窓口を活用することも一つの方法です。

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参考資料

  1. 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 全国の空き家数は過去最多の900万戸に達し、空き家率は13.8%となっている(2023年時点)

  2. 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 / 国土交通省

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html

    根拠: 特定空家に指定されると市区町村から指導・勧告・命令・代執行が行われる場合がある、管理が不十分な空き家は管理不全空家として行政指導の対象になり得る

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

空き家先生 川口哲平(監修)

全国空き家対策コンソーシアム 代表理事 / 株式会社クラッソーネ 代表取締役CEO

空き家先生のX

経歴

空き家先生・全国空き家対策コンソーシアム代表理事・クラッソーネCEO。名古屋出身、京都大学卒業後、セキスイハイムを経てクラッソーネを設立。その後、全国空き家対策コンソーシアムを設立。

著者:クラッソーネ編集部