クラッソーネ家じまいコラム
コラム一覧/空き家を放置するとどうなる?固定資産税・特定空家・近隣への影響
放置された空き家のリスクをイメージした草木が伸びた日本家屋の写真

公開:2026-06-08更新:2026-07-29

空き家を放置するとどうなる?固定資産税・特定空家・近隣への影響

空き家を放置し続けると、固定資産税の優遇がなくなる可能性や特定空家への指定、近隣への損害賠償リスクが生じます。3つのリスクを整理して解説します。

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1空き家の放置は「じわじわと」リスクが積み重なる

親から相続した実家や、転勤で誰も住まなくなった家。「いずれ何とかしよう」と思いながら、気づけば数年が経過しているケースは少なくありません。総務省の2023年住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家数は約900万戸[1]に達しており、過去最多水準となっています。放置期間が長くなるほど、建物の劣化は進み、行政や近隣からの問題が複雑になる傾向があります。このコラムでは、空き家を放置し続けた場合に起こりやすい3つのリスクを順に整理します。

2空き家を放置したときに起こりやすいリスク

リスク起こりうることまず確認すること
税負担管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けると、住宅用地特例の対象外となる可能性がある固定資産税通知書、土地の評価額、自治体からの通知・指導履歴
行政対応自治体から助言・指導、勧告、命令、代執行などの措置を受ける場合がある市区町村の空き家担当窓口、現地調査の有無、改善を求められている箇所
近隣トラブル外壁・屋根材の落下、樹木の越境、不法侵入、防犯・衛生面の問題が起きやすくなる外観の劣化、庭木や雑草、隣地・道路への越境、火災保険の補償範囲
売却・活用劣化が進むほど、賃貸・売却・活用の選択肢が狭まり、解体や片付けが前提になりやすい建物状態、残置物量、接道条件、買取査定、解体見積もり

※ 実際の指定・税額・費用負担は、建物状態、自治体の判断、土地評価額、管理状況により異なります。

出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」および政府広報オンラインを参照し、確認項目は編集部作成

3リスク①:固定資産税の「住宅用地特例」が外れる可能性

住宅が建っている土地は「住宅用地特例」により、固定資産税や都市計画税が大幅に軽減されています。小規模住宅用地(200㎡以下の部分)では固定資産税が評価額の6分の1に軽減される仕組みです[2]。ただし、空家等対策特別措置法に基づき「特定空家等」として勧告を受けた場合、この特例の適用が外れる場合があります。その結果、税負担が最大で数倍になるケースもあるとされています。空き家を長期放置することは、税コスト面でも大きなリスクを生む可能性があります。

4リスク②:「特定空家等」または「管理不全空家等」に指定される

2023年の空家等対策特別措置法改正により[3]、行政が介入できる対象が広がりました。従来の「特定空家等」(倒壊の危険や衛生上の問題がある状態)に加え、「管理不全空家等」という類型が新設されています。管理不全空家等に認定されると、自治体から改善の指導・勧告を受ける流れとなります。勧告を受けても対応しない場合、固定資産税の住宅用地特例が解除されるほか、さらに放置を続けると命令・公表・代執行といった行政措置が段階的に取られる場合があります。

5リスク③:近隣への迷惑と損害賠償リスク

管理されていない空き家は、建物の外壁や屋根の一部が落下したり、樹木が越境したりすることで、隣接する住宅や通行人に被害を及ぼす可能性があります。民法上、建物の瑕疵によって他人に損害を与えた場合、所有者が賠償責任を問われる場合があります。放火や不法侵入の被害を受けやすくなるという防犯上の問題も指摘されています。「誰も住んでいないから問題ない」という認識は、法的・金銭的なリスクを見落とすことにつながりかねません。

6政府広報も注意を呼びかける空き家放置のリスク

空き家を適切に管理しないでいると、建物の老朽化が進み、近隣住民への迷惑や、所有者自身の法的・経済的リスクにつながる可能性があります。

7放置期間が長いほど「選べる選択肢」が減る

空き家の状態が悪化すればするほど、売却・賃貸・活用といった選択肢は狭まっていく傾向があります。建物の傷みが激しくなると、買い手がつきにくくなったり、解体費用が高額になったりすることも少なくありません。また、特定空家等への指定がなされた物件は、買取や賃貸の交渉でも条件が厳しくなる場合があります。早期に状態を把握し、対処方針を検討することが、結果的に費用と手間を抑えることにつながるケースが多いです。

8空き家を放置した場合の費用は「見えにくい」

固定資産税・都市計画税は毎年かかり続けます。建物の自然劣化を防ぐための最低限の維持管理(換気・通水・草刈りなど)を行う場合も、費用が積み重なります。さらに、万一近隣に損害を与えてしまった際の賠償や、行政代執行による強制解体費用(後日所有者に請求される場合があります)なども考慮が必要です。これらの費用は表に出にくいため、「何もしなければ費用はかからない」という誤解が生じやすいです。放置のコストを一度整理して考えることをおすすめします。

9よくある質問

Q1空き家を放置すると必ず特定空家等に指定されますか?
A

指定されるかどうかは、建物の状態や自治体の調査・判断によって異なります。倒壊の危険や周囲への影響が大きいと判断された場合に指定される仕組みです。放置期間が長いほど指定されるリスクが高まる傾向があります。

Q2特定空家等に指定されたら、すぐに解体しなければなりませんか?
A

指定後すぐに解体が義務付けられるわけではありません。まず自治体から指導・勧告が行われ、その後も改善されない場合に命令・公表・代執行へと段階的に移行します。ただし、勧告を受けた時点で住宅用地特例が外れる場合があります。

Q3住宅用地特例が外れると、固定資産税はどれくらい増えますか?
A

土地の面積や評価額によって異なりますが、小規模住宅用地では最大で6倍程度になる場合があります[2]。具体的な金額は市区町村の課税資料や税理士への相談で確認することをおすすめします。

Q4空き家を放置していると近隣から損害賠償を求められることはありますか?
A

建物の一部が落下して隣家や通行人に損害を与えた場合、民法上の工作物責任として所有者が賠償を求められる場合があります。保険への加入状況によって対応が異なるため、火災保険の補償範囲を確認しておくことが重要です。

Q5遠方に住んでいて空き家を管理できない場合はどうすればよいですか?
A

地元の不動産会社や空き家管理専門業者に管理を委託する方法があります。費用は依頼する業者やサービス内容(巡回・通水・草刈りなどの頻度)、地域によって幅があるため、複数社から見積もりを取って比較することをおすすめします。

Q6管理不全空家等と特定空家等は何が違いますか?
A

特定空家等は倒壊の危険や衛生上の著しい問題がある状態を指します。管理不全空家等は2023年の法改正[3]で新設された類型で、放置すれば特定空家等になるおそれのある管理不十分な空き家が対象です。管理不全空家等への指定でも、勧告を受けると住宅用地特例の解除対象となる場合があります。

Q7相続した空き家を買取してもらう手続きは?
A

まず相続登記を済ませたうえで[4]、買取業者に査定を依頼し、提示された条件に納得できれば売買契約を結んで引き渡す、という流れが一般的です。ここまで見てきた固定資産税の負担増や行政対応、近隣トラブルといった放置のリスクは時間とともに大きくなりやすいため、相続後は早い段階で買取を含めた選択肢を検討することが有効です。特例の適用可否や税額など税務の具体的な判断については、税理士に確認することをお勧めします。

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11まとめ:放置のリスクは時間とともに大きくなります

空き家を放置した場合のリスクは、①固定資産税の住宅用地特例が外れる可能性、②特定空家等・管理不全空家等への指定、③近隣への損害賠償リスクの3つが主なものです。いずれも、放置期間が長くなるほど状況が複雑になりやすく、対処できる選択肢も減っていく傾向があります。「まだ大丈夫」と思っていても、気づかないうちにリスクが積み重なるケースがあります。現在の空き家の状態を確認し、売却・活用・管理委託など、自分に合った選択肢を早めに検討することをおすすめします。

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参考資料

  1. [3] 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 / 国土交通省

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html

    根拠: 特定空家等・管理不全空家等の定義と行政の措置権限(勧告・命令・代執行)、住宅用地特例の解除が特定空家等への勧告によって適用される仕組み、2023年(令和5年)12月13日施行の空家等対策特別措置法改正により「管理不全空家等」の類型が新設された

  2. 空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を! / 政府広報オンライン / 2024-09-19

    原典URL: https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html

    根拠: 空き家を放置することで発生し得るリスクと対策の必要性、管理不全な空き家に対する行政の関与強化の背景

  3. [1] 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 全国の空き家数は2023年時点で約900万戸に達し、過去最多水準

  4. [2] 地方税法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226

    根拠: 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は固定資産税の課税標準が評価額の6分の1に軽減される住宅用地特例の対象、住宅用地特例が外れると、小規模住宅用地部分の課税標準は最大6倍程度になり得る

  5. [4] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 相続登記は2024年4月1日(令和6年4月1日)から申請が義務化された

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部