クラッソーネ家じまいコラム
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古い木造住宅の玄関先で、鍵を手渡す手元

公開:2026-10-26

空き家をすぐ現金化するには?買取で早く進めるための準備と、時間がかかる原因

空き家をすぐ現金化したいなら、業者が直接買い取る「買取」が近道です。ただし、相続登記がまだ、相続人の合意がない、家財が残っている、境界があいまいといった状態では、買取でも時間がかかります。相続税の申告期限なども踏まえ、前もってできる準備と現金化までの流れを解説します。

1空き家をすぐ現金化したいときに、まず知っておきたいこと

相続した実家を早く手放してお金に換えたい、固定資産税や管理の負担を早く終わらせたい。そう考えて、空き家をすぐ現金化する方法を探している方は少なくありません。全国の空き家は2023年に約900万戸あります[1]。

空き家を早く現金化したいなら、不動産会社が直接買い取る「買取」が近道です。ただ、買取でも、相続登記がまだ済んでいない、相続人どうしの話し合いがまとまっていない、家財が残っている、土地の境界がはっきりしないといった状態だと、契約や引き渡しまでに時間がかかります。

この記事では、買取で早く進めるために前もってできる準備と、時間がかかりやすい原因、現金化までの流れを、相続の手続きの期限とあわせて整理します。

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2すぐ現金化するなら、まず「買取」を検討する

業者が直接買うので、買主を探す時間がいらない

仲介は、不動産会社に買主を探してもらう売り方で、買主が見つかるまでの期間が読みにくいのが難点です。買取は、不動産会社自身が買主になるため、条件がまとまれば、買主を探す時間をかけずに契約へ進めます。売り出しの準備や内覧の対応もいりません。

仲介手数料はかからない

仲介手数料は、不動産会社が売買の仲介で受け取る報酬で、上限が国の告示で決められています[2]。買取は、不動産会社が直接の買主になる取引で、仲介ではないため、仲介手数料はかかりません。そのぶん、受け取れる金額の見通しも立てやすくなります。

その代わり、価格は仲介より低めになりやすい

買取業者は、買い取ったあとの修繕や解体、再販の費用とリスクを見込んで価格を出すため、一般に仲介で売れる価格より低めになります。早さと価格のどちらを優先するかは、空き家は買取か仲介か?価格・期間・手間を比較して選ぶで比べ方を整理しています。

3現金化が遅れやすい原因と、前もってできる準備

遅れやすい原因時間がかかる理由前もってできること
相続登記がまだ名義が亡くなった人のままでは、売買による名義の移転ができない相続人を確定し、相続登記を先に申請する(2024年4月から義務)
相続人の合意がない遺産分割がまとまるまで、家は相続人の共有になる売るかどうか、誰が窓口になるか、代金の分け方を先に話し合う
家財が残っている片付けの手配や、買取価格での差し引きの調整に時間がかかる残す物・処分する物を家族で決め、家財が残ったままでも買い取るかを査定の時点で確認する
土地の境界があいまい隣地との境界の確認や測量が必要になることがある測量図や境界標の有無を確かめ、分かる資料を査定の時点で出す

必要な準備や時間は、物件の状態や相続の状況によって変わります。どこまで準備してから査定を頼むかは、買取業者と相談しながら決めてください。

出典:法務省「相続登記の申請義務化について」、民法(e-Gov法令検索)第898条、法務省「筆界特定制度」を基に編集部作成

4相続した空き家は「名義」と「相続人の合意」を先にそろえる

売るには、相続登記で名義を変えておく

登記の名義が亡くなった人のままでは、買主へ名義を移す売買の登記ができません。相続登記は2024年4月1日から義務になっていて、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請し、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。2024年4月1日より前から相続による取得を知っていた場合は、2027年3月31日までが期限です[3]。すぐ現金化したいなら、査定の相談と並行して、相続登記を早めに進めましょう。期限や手続きは、空き家の相続登記義務化にどう対応する?期限・過料・手続きを解説で整理しています。

相続人が複数なら、売る前に合意をそろえる

相続人が複数いると、遺産分割がまとまるまで、家は相続人の共有になります[4]。誰が相続して売るのか、全員で売って代金を分けるのかが決まらないと、契約に進めません。共有のまま買取に出す場合の注意点は、共有名義の空き家を買取に出すには?で解説しています。

期限のある税の手続きも並行して確認する

相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。相続した財産の合計額が基礎控除額の範囲内なら、申告も納税も必要ありません[5]。申告が必要かどうかは、特例を使う場合も含めて税務署や税理士に確認してください。納税資金のために空き家を売るなら、この期限から逆算して動く必要があります。また、相続した空き家を一定の要件で売ると、譲渡所得から最高3,000万円(家と敷地などを相続した相続人が3人以上なら2,000万円)を差し引ける特例があります。現行の制度は2027年12月31日までの売却が対象で、相続の開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることも要件の一つです[6]。使えるかどうかは、税務署や税理士に確認してください。

5家財と境界は、査定の前に状況を伝える

家財が残っていても、買い取る業者はある

国土交通省の調査では、今後5年程度のうちに空き家を売ったり貸したりする意向のある世帯が、その課題として「住宅の傷み」(43.3%)や「家財などの処理」(37.4%)を挙げています[7]。片付けが終わるのを待っていると、現金化が遅れます。家財が残ったままでも買い取る業者もあるため、残っている物の量を査定の時点で伝え、片付けを自分でするか、業者に任せて価格で調整するかを決めましょう。そのまま売る場合の考え方は、空き家のそのまま買取・現状渡しの注意点で解説しています。

境界があいまいだと、確認に時間がかかる

古い家では、隣の土地との境界を示す杭(境界標)がなかったり、測量図が見つからなかったりすることがあります。境界の確認に時間がかかると、契約や引き渡しが遅れます。隣地との話し合いで決まらない場合は、法務局の筆界特定制度で、登記上の土地の区画を示す境界(筆界)の位置を特定してもらう方法もあります。ただし、この制度は土地の所有権の範囲を特定するものではないため、所有権をめぐる争いは別に解決が必要な場合があります[8]。手元に測量図や境界の資料があれば、査定の時点で出しましょう。

査定は一度で済むように、まとめて伝える

建物の傷み、家財の量、境界の資料、相続人の状況を、最初の査定でまとめて伝えておくと、あとから条件が変わってやり直すことを防げます。空き家の買取査定(別ウィンドウで開きます)を申し込むときも、分かる範囲で伝えておくと話が早く進みます。

6買取で現金化するまでの流れ

相続登記、複数社への査定、売買契約、決済と引き渡し、代金の受け取りの順に進み、相続人の合意・家財の整理・境界の確認を前もって準備すると査定から早く進められることを表した図
査定の相談と相続登記は並行して進められます。代金の受け取りと引き渡しは、通常は決済の日に同時に行います。

複数の業者に査定を頼み、条件を比べる

急いでいるときほど、最初に提示された条件で決めたくなりますが、買取価格や引き渡しの条件は業者によって差が出ます。複数の業者に同じ条件で査定を頼み、価格だけでなく、家財の扱い、引き渡しの時期、契約の条件をあわせて比べましょう。業者を選ぶときの確認点は、空き家買取業者の選び方と注意点で整理しています。

契約では、引き渡し後の責任の範囲を確認する

売った家に、契約の内容と合わない不具合があった場合、買主は修補や代金の減額、損害賠償などを求められるのが民法の原則です[4]。買取では、この責任を売主に求めない条件にすることもあるため、契約書でどこまで責任を負うのかを確認しましょう。急いでいても、内容が分からないまま署名しないことが大切です。

決済と引き渡しで、代金を受け取る

契約のあと、決済の日に代金を受け取り、同時に鍵を渡して、買主への名義の移転の手続きを行うのが一般的な流れです。相続登記や家財の整理が済んでいれば、ここまでを短い期間で進めやすくなります。

7よくある質問

Q1買取なら、どれくらいで現金化できますか?
A

物件の状態や相続の状況によって変わるため、一律の期間はありません。相続登記が済んでいて、相続人の合意がそろい、家財や境界の状況を査定の時点で伝えられていれば、条件の調整に時間をかけずに契約へ進みやすくなります。査定を頼むときに、希望する引き渡しの時期を伝えて、いつごろ代金を受け取れるかを確認しましょう。

Q2相続登記がまだですが、査定を頼んでもよいですか?
A

査定の相談は、相続登記の前から始められることが多いです。ただし、売買による名義の移転をするには、先に相続登記が必要です。相続登記は、相続で取得したことを知った日から3年以内(2024年4月1日より前から取得を知っていた場合は2027年3月31日まで)に申請する義務があります[3]。査定と並行して進めると、全体の期間を短くできます。

Q3家財が残ったままでも買い取ってもらえますか?
A

家財が残ったままでも買い取る業者はあります。その場合、片付けの費用が買取価格に反映される場合があるため、自分で片付ける場合と比べて、手取りと手間のどちらを優先するかで決めましょう。家財の量は、査定の時点で伝えておくことが大切です。

Q4買取でも仲介手数料はかかりますか?
A

不動産会社が直接の買主になる買取は、仲介ではないため、仲介手数料はかかりません。仲介手数料は、不動産会社が売買の仲介で受け取る報酬です[2]。ただし、間に別の会社が入って仲介する場合は手数料がかかることがあるため、契約の形を確認しましょう。

Q5相続した空き家の3,000万円の特別控除は、買取でも使えますか?
A

買主が買取業者でも、要件を満たせば使えます。現行の制度は2027年12月31日までの売却が対象で、相続の開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることや、建物の建築時期、親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないことなどの要件があります[6]。自分の場合に使えるかは、売る前に税務署や税理士に確認してください。

Q6相続した空き家を買取してもらう手続きは?
A

一般的には、買取業者への査定の相談と並行して相続登記を進め、名義を相続人に変えたうえで、条件に納得できれば契約し、決済の日に代金を受け取って引き渡します。相続登記は2024年4月1日から義務になっています[3]。

8あわせて読みたい関連記事

9まとめ:買取で急ぐなら「名義・合意・家財・境界」を先に

空き家をすぐ現金化したいなら、不動産会社が直接買い取る買取が近道です。買主を探す時間がいらず、仲介手数料もかかりません。その代わり、価格は仲介より低めになりやすい点を踏まえて判断しましょう。

買取でも、相続登記がまだ、相続人の合意がない、家財が残っている、境界があいまいといった状態では、時間がかかります。相続税の申告期限や特例の期限も確かめながら、査定と並行して準備を進めると、現金化までの期間を短くできます。何から手をつければよいか迷ったら、家じまいの相談窓口(別ウィンドウで開きます)で全体の進め方から相談してみてください。

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参考資料

  1. [1] 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 2023年の全国の空き家数は約900万戸

  2. [2] 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 / 国土交通省 / 2024-07-01

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000266.html

    根拠: 仲介手数料は、宅建業者が売買の仲介(媒介)で受け取れる報酬で、上限が告示で定められている

  3. [3] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 相続により不動産を取得した相続人は、相続の開始と取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象、施行日(2024年4月1日)前に取得を知っていた場合は2027年3月31日まで、施行日以後に知った場合は知った日から3年以内に申請が必要

  4. [4] 民法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

    根拠: 相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属する(第898条)、引き渡した物が契約の内容に適合しないとき、買主は追完・代金減額・損害賠償・解除を求めることができる(第562条〜第564条)

  5. [5] 相続税の申告と納税 / 国税庁 / 2025-04-01

    原典URL: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm

    根拠: 相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内、取得した財産の合計額が基礎控除額の範囲内なら、申告も納税も必要ない

  6. [6] No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 / 国税庁 / 2025-04-01

    原典URL: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

    根拠: 相続した空き家(被相続人居住用家屋と敷地等)を平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までに売って一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる。家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上なら2,000万円まで、相続の開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないことが要件に含まれる

  7. [7] 令和6年空き家所有者実態調査結果 / 国土交通省住宅局 / 2025-08

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001907491.pdf

    根拠: 令和6年空き家所有者実態調査(図表3-44)で、今後5年程度のうちに賃貸・売却する意向の世帯が挙げた課題(複数回答)は、住宅の傷み43.3%、借り手・買い手の少なさ40.3%、家財などの処理37.4%など

  8. [8] 筆界特定制度 / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html

    根拠: 筆界特定制度は、筆界特定登記官が筆界調査委員の意見を踏まえて、現地の土地の筆界の位置を特定する制度で、土地の所有権の範囲を特定するものではない

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部