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地方の集落に建つ売れない空き家をイメージした写真

公開:2026-07-06更新:2026-07-29

地方の空き家が売れないときの選択肢|買取・活用・手放し方を整理

地方で相続した空き家が仲介で売れずに困っている方へ。売れにくい理由を人口・需要・地価の面から整理し、買取・空き家バンク・解体・国庫帰属など次の選択肢と進め方を解説します。

1「地方の実家が仲介で売れない」——それは珍しいことではない

相続した地方の実家を売りに出したのに、なかなか買い手がつかない。内覧すら入らない。そんな状況は、決して珍しいものではありません。総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家率は13.8%で過去最多の約900万戸に達し、都道府県別では和歌山県・徳島県が21.2%と最も高いなど[1]、地方ほど空き家率が高い傾向があります。人口減少が進む地域では住宅需要そのものが弱く、価格を下げても売れないケースがあります。この記事では、地方の空き家が売れにくい理由を整理したうえで、仲介以外の選択肢——買取・空き家バンク・解体・相続土地国庫帰属制度など——と進め方を解説します。

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2仲介で売れないときの主な選択肢

選択肢向いているケース注意点
買取早く手放したい、内覧が入らない仲介より価格は低め。買取不可の立地もあるため複数社に相談
空き家バンク登録移住・田舎暮らし需要が見込める地域成約は地域差が大きく、時間がかかることがある
解体して更地・活用建物が古く、土地として使い道がある解体費が先行。更地化で固定資産税が上がる可能性
相続土地国庫帰属制度土地を手放したいが売れない・引き取り手がない要件・負担金があり、建物は解体が前提。対象か事前確認が必要

※ 各選択肢の可否・費用は物件の立地・権利関係により異なります。個別の判断は専門家や自治体窓口に相談してください。

出典:総務省 令和5年住宅・土地統計調査および国土交通省の空き家・空き地バンク情報を参照し、選択肢の一般的な特徴を編集部がまとめた比較表

3地方の空き家が売れにくい3つの理由

地方の空き家が売れにくい背景には、都市部とは異なる構造的な要因があります。

①住宅需要の弱さ:人口減少・高齢化が進む地域では、住宅を買う世帯そのものが減っています。買い手の母数が小さいため、価格を下げても動かないことがあります。

②地価の下落・低迷:国土交通省の地価公示でも、地価の動向は地域差が大きく、需要の弱い地方では住宅地の価格が下落する地点があります。土地の評価が低いと、建物付きでも高値はつきにくくなります。

③建物の老朽化・再建築の制約:築年数が古い、接道が不十分で再建築が難しいといった物件は、そのままでは買い手が限られます。

これらは個人の努力だけで変えられない要因が多く、「売れない=物件が悪い」とは限りません。地域特性を踏まえ、仲介以外の出口も含めて考えることが現実的です。

4買取という選択肢の考え方

仲介で買い手がつかないとき、まず検討したいのが買取です。買取は不動産会社が直接買い取るため、内覧対応が不要で現金化が早いのが利点です。一方で、価格は仲介の相場より低めになりやすく、需要が極端に弱い立地では買取自体が難しい場合もあります。

地方の空き家を買取に出すときのポイントは、①一社の査定額だけで判断せず複数社に相談する、②建物の状態や再建築の可否など、価格に影響する条件を正直に伝える、③「現状のままの買取」と「解体後の土地の売却」で手取りを比較する、の3点です。買取が難しいと言われた場合でも、空き家バンクや後述の国庫帰属制度など別の出口が残っていることがあります。あきらめる前に、複数のルートを並行して検討しましょう。

5売却以外の出口:空き家バンク・解体・国庫帰属

買取も難しい場合は、売却以外の出口も視野に入れます。

  • 空き家バンク:自治体が運営する空き家・空き地の情報サイトで、移住希望者や田舎暮らしを望む人とのマッチングが期待できます。国土交通省の全国版バンクで横断検索もできます。ただし成約率には地域差があり、時間がかかることもあります。
  • 解体して更地化・活用:建物が老朽化して使えない場合、解体して土地を活用・売却する道があります。ただし解体費が先行し、更地化で固定資産税が上がる可能性があります。
  • 相続土地国庫帰属制度:一定の要件を満たす土地を国に引き取ってもらう制度です。建物がある場合は解体が前提で、負担金の納付など条件があります。対象になるかは事前確認が必要です。

どれを選ぶにしても、保有し続ける限り固定資産税と管理の負担は続きます。複数の出口を比較し、負担と実現性のバランスで判断しましょう。

6よくある質問

Q1地方はなぜ空き家が売れにくいのですか?
A

人口減少で住宅需要が弱く、買い手の母数が小さいことが大きな要因です。加えて地価の低迷や建物の老朽化・再建築の制約が重なると、価格を下げても動きにくくなります。物件そのものが悪いとは限りません。

Q2買取ならどんな地方の空き家でも売れますか?
A

必ずしもそうではありません。需要が極端に弱い立地では買取が難しい場合もあります。一社で断られても他社では対応できることがあるため、複数社に相談することをお勧めします。

Q3空き家バンクに登録すれば売れますか?
A

移住需要のある地域ではマッチングが期待できますが、成約率には地域差があり、時間がかかることもあります。売却や買取と並行して検討するとよいでしょう。

Q4売れない土地を手放す方法はありますか?
A

相続土地国庫帰属制度を使い、一定の要件を満たす土地を国に引き取ってもらえる場合があります。建物があれば解体が前提で、負担金などの条件があるため、対象になるか事前に確認してください。

Q5売れないまま持ち続けるとどうなりますか?
A

保有している限り固定資産税と管理の手間が続きます。管理不全で特定空家等・管理不全空家等として勧告を受けると、税の軽減特例が外れて負担が増えることもあります。早めに出口を検討する方が負担を抑えやすくなります。

Q6解体と売却はどちらを先に考えるべきですか?
A

建物に価値が残るなら現状での売却・買取を先に検討し、老朽化して使えない場合は解体後の土地活用・売却を考えます。解体は費用が先行し税負担も変わるため、出口の見込みとあわせて判断しましょう。

Q7地方の空き家の買取を検討する場合、相続した空き家を買取してもらう手続きは?
A

まず相続登記を済ませたうえで[2]、複数の買取業者に査定を依頼し、提示条件に納得できれば売買契約・引き渡しという流れが一般的です。地方の空き家は需要や立地によって買取可否・価格差が大きいため、査定を1社に絞らず比較することが特に重要です。相続や譲渡に伴う税負担は個々の状況で異なるため、具体的な金額や特例の適用可否は税理士に確認することをお勧めします。

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8まとめ:地方の空き家は「複数の出口」を並行して検討する

地方で空き家が売れないのは、人口減少による需要の弱さ・地価の低迷・建物の老朽化など、個人の努力だけでは変えにくい要因が背景にあります。仲介にこだわらず、買取・空き家バンク・解体後の活用・相続土地国庫帰属制度といった複数の出口を並行して検討することが現実的です。

まずは、①複数の不動産会社に買取や売却の可能性を相談する、②地域の空き家バンクや自治体の支援制度を確認する、③保有を続けた場合の固定資産税・管理コストと、手放した場合の負担を比較する、という順で整理しましょう。抱え続けるほど負担は積み上がります。実現性と負担のバランスで、動ける出口から着手することをお勧めします。

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参考資料

  1. [1] 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 2023年の全国の空き家率は13.8%で、和歌山県・徳島県が21.2%と最も高いなど地方で高い傾向、全国の空き家数は約900万戸で過去最多

  2. 令和7年地価公示 / 国土交通省 / 2025-03-18

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html

    根拠: 地価は地域によって動向差が大きく、需要の弱い地方では住宅地の価格が下落する地点もある

  3. 空き家・空き地バンク総合情報ページ / 国土交通省

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html

    根拠: 全国版空き家・空き地バンクで、自治体が登録した空き家情報を横断的に検索できる

  4. [2] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 相続登記は2024年4月1日から義務化された

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部