1アスベストは何年頃の家に使われている?見分け方から知っておきたい理由
アスベスト(石綿)は、2006年(平成18年)に含有率0.1%を超える建材の使用が原則として全面禁止されるまで、段階的な規制のもとで使われてきました[1]。そのため、2006年以前に建てられた家や増改築した部分は注意が必要です[2]。ただし、見た目や築年数だけで含有の有無は判断できません。解体・改修工事の前には石綿の事前調査が義務づけられており[3]、2023年10月以降に着工する工事では、原則として有資格者が調査を行う必要があります[4]。
実家の解体や家じまいを考え始めたとき、築年数の古さから「もしかしてアスベスト(石綿)が使われているのでは」と不安になる方は少なくありません。アスベストは解体費用への影響も気になりますが、まず知っておきたいのは「どこに使われている可能性があるのか」「体にどんなリスクがあるのか」「解体前にどんな調査が必要になるのか」という3点です。この記事では費用の詳細ではなく、見分け方・健康リスク・事前調査の流れに絞って解説します。費用の目安を先に知りたい方は「アスベスト含有の家を解体するといくらかかる?調査から費用の流れ」もあわせてご覧ください。
2アスベストとは何か、家のどこに使われている可能性があるのか

図の①〜⑩は、次の建材です[2]。
- ①外壁サイディング(窯業系サイディング。製造時期の目安は1960〜2004年)
- ②煙突まわりの配管保温材
- ③屋根の化粧スレート(製造時期の目安は1961〜2004年)
- ④外壁やブロック塀の仕上塗材
- ⑤和室の砂壁(聚楽壁など)
- ⑥キッチンまわりのビニル床タイル
- ⑦フロアシート(製造時期の目安は1990年まで)
- ⑧配管・ダクトのガスケット・パッキン
- ⑨天井や壁の石膏ボード(製造時期の目安は1970〜1986年)
- ⑩軒天や外壁のけい酸カルシウム板(製造時期の目安は2004年まで)
製造時期は、国土交通省の資料でアスベストを含む建材が製造されていた時期です[5]。この時期の建物に必ず使われているわけではありません。
使われていた年代の目安
アスベスト(石綿)は、耐熱性・耐久性に優れた繊維状の鉱物で、高度経済成長期の建材として広く使われていました。規制は一度にすべて禁止されたわけではなく、1975年に吹付け材の使用が制限され、1995年に規制が強化された後、2006年(平成18年)に含有率0.1%を超える建材の使用が原則として全面禁止となりました[1]。段階的に規制が進んだ経緯があるため、「2006年以前に建てられた建物や増改築部分は注意が必要」というのが基本的な目安になります[2]。
家のどこに使われている可能性があるのか
「アスベストが使われている建物」と聞くと古いビルや工場をイメージしがちですが、一般の戸建て住宅にも、上の図のような10箇所前後の建材にアスベストが使われている可能性があります[2]。
いずれも「使われていることが多かった」建材であり、必ず含有しているという意味ではありません。築年数や建材の種類だけで自己判断せず、次に紹介する事前調査で確認することが重要です。
3使われ続けるとどんな健康リスクがあるのか
アスベストは、耐火性や保温性に優れた繊維状の鉱物で「石綿」とも呼ばれ、高度経済成長期には建材として盛んに使用されていました。しかし、大気中に飛散したアスベストが人体への健康被害を及ぼすことが報告され、2006年以降[1]、日本国内では全面使用禁止となったものの、まだ問題は解決したわけではありません。当時建てられた建物が寿命を迎えようとしている今、解体の際の飛散防止対策が新たな課題となっています。

出典:厚生労働省「アスベスト(石綿)に関するQ&A」、環境再生保全機構「石綿(アスベスト)関連疾患」をもとに編集部作成
なぜ危険なのか
アスベストそのものに触れても直ちに健康被害が出るわけではありません。問題になるのは、解体や改修で建材を壊した際に微細な繊維が空気中に飛散し、それを吸い込んでしまうケースです。飛散したアスベストを長期間吸引すると、重篤な疾患を引き起こす可能性があることが明らかになっています[1]。
主な疾患と潜伏期間の目安
アスベストには複数の種類があり、代表的なものにクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、クリソタイル(白石綿)があります。ちゃんとした対策を講じずにアスベスト含有の建物を解体すると、肺がん・中皮腫・びまん性胸膜肥厚・石綿肺といった重篤な疾患を引き起こす恐れがあります[1]。これらの疾患は、吸い込んでからすぐに発症するわけではなく、上の図のように長い潜伏期間を経て発症します。何十年もたってから発症することがあるため、解体の際に飛散させない対策が重要です。
4アスベストのレベル分類と公表されている除去費用の目安
| 項目 | レベル1(飛散性が著しく高い) | レベル2(飛散性が高い) | レベル3(飛散性が比較的低い) |
|---|---|---|---|
| 主な建材 | 吹付けアスベストなどの吹付け材 | 保温材・断熱材・耐火被覆材 | スレートや岩綿吸音板などの成形板 |
| 公表単価の扱い | 国土交通省Q&Aに、吹付けアスベスト含有建材の処理面積別単価の目安あり | 同Q&Aにレベル2単独の全国単価目安は示されていない | 同Q&Aにレベル3単独の全国単価目安は示されていない |
| 除去費用の目安 | 300㎡以下:2.0万〜8.5万円/㎡、300〜1,000㎡:1.5万〜4.5万円/㎡、1,000㎡以上:1.0万〜3.0万円/㎡ | 現地条件・建材・処分方法により個別見積りで確認 | 現地条件・建材・処分方法により個別見積りで確認 |
※ 国土交通省Q&Aの費用は、2007年1月〜12月の施工実績データに基づく吹付けアスベスト含有建材の除去単価です。レベル2・3の全国一律の公表単価としては扱わず、現地調査後の見積りで確認してください。
出典:国土交通省「アスベスト対策Q&A」(Q8・Q40)を基に編集部作成
5解体前に必要なアスベスト事前調査の流れ

出典:株式会社クラッソーネ社内資料をもとに作成
図の①〜⑧の流れは、次のとおりです。
- ①見積り依頼:工事内容と価格を比べられるよう、できれば複数の会社に見積りを依頼し、現地調査の日程を調整します。
- ②現地調査:工事会社の現地調査に立ち会い、解体の範囲や見積りの条件を確認します。
- ③1次見積り:工事会社から見積書を受け取ります。アスベストの調査が必要な場合は、調査費を加えた見積りになります。
- ④アスベスト調査:設計図書などの書類の確認(書類がない場合を除く)と、現地での目視の両方で調べます[8]。含有の有無が分からない建材は、サンプルを採取して分析するなどして確認します[3]。調査は資格を持つ人が行い、結果は記録として保存します[8]。
- ⑤2次見積り:調査の結果を踏まえ、アスベストの除去や飛散防止の対策を含めた見積りを受け取ります。
- ⑥工事の契約:見積りの内訳と工事の内容を確認して、工事請負契約を結びます。
- ⑦各種届出:解体部分の床面積が80㎡以上の解体工事などでは、事前調査の結果を電子システムで報告します[9]。アスベストを含む保温材などを除去する場合は、工事の14日前までに労働基準監督署へ計画を届け出ます[8]。
- ⑧着工:届出などが済んだら、飛散を防ぐ対策をとりながら工事を始めます。
事前調査の全体フロー
建築物の解体・改修工事の前には、石綿の事前調査が必要です。2021年4月施行の改正大気汚染防止法で、規制の対象がすべての石綿含有建材に広がり、事前調査の方法や記録の保存などのルールも強化されました[3]。大まかな流れは上の図のとおりです。
2023年10月以降は、原則として建築物石綿含有建材調査者等の有資格者による調査が求められます[4]。建材サンプルを採取する場合は、アスベストが含まれていそうな建材を3cm角程度切り出して分析機関に送ります。検体分析の費用は1箇所あたり3〜5万円程度が目安です[2]。調査費用は解体工事の着工・未着工にかかわらず所有者側の負担となるのが一般的なので、見積もり時に内訳を確認しておきましょう。
費用やリスクを具体的に確認したい方へ
アスベストが含有していた場合の解体費用・工期の目安は「アスベスト含有の家を解体するといくらかかる?調査から費用の流れ」で詳しく解説しています。また、自分の家がアスベスト・地中埋設物でどの程度追加費用のリスクがあるか気になる方は、解体費用が「思ったより増える」原因をチェックできる無料診断(別ウィンドウで開きます)も活用できます。
6よくある質問
Q1アスベストが使われているかどうかは、見た目だけで分かりますか?
見た目だけでの判断は困難です。同じような建材でもアスベストを含む場合と含まない場合があり、2023年10月以降は原則として有資格者による事前調査が必要とされています[4]。設計図書があれば建材データベースとの照合がスムーズになるため、可能な範囲で用意しておくと安心です。
Q22006年以降に建てられた家なら心配いりませんか?
Q3アスベストの潜伏期間はどのくらいですか?
疾患の種類によって潜伏期間の目安は異なり、数十年単位で発症するケースがあるとされています。個人差があるため、健康面で気になる症状がある場合は自己判断せず医療機関に相談してください。
Q4どんな工事でも行政への報告が必要になりますか?
解体部分の床面積が80㎡以上の工事、または請負金額が100万円以上の改修工事などが対象です[9]。小規模な工事でも事前調査自体は必要になる点に注意してください。
Q5レベル1〜3の分類は、費用以外にどんな違いがありますか?
国土交通省Q&Aでは、レベル1は吹付け材、レベル2は保温材・断熱材・耐火被覆材、レベル3はそれ以外のアスベスト含有建材(主にスレートなどの成形板)と整理されています[10]。費用について同Q&Aで処理面積別の目安が示されているのは吹付けアスベスト含有建材で、レベル2・3は現地条件による見積り確認が前提です。









