クラッソーネ家じまいコラム
コラム一覧/アスベストが使われている家の見分け方|健康リスク・費用目安・解体前調査の流れ
古い日本家屋の外壁材を点検する作業員の後ろ姿

公開:2026-08-31更新:2026-09-01

アスベストが使われている家の見分け方|健康リスク・費用目安・解体前調査の流れ

アスベスト(石綿)が使われやすい家の築年数・建材、健康リスク、レベル分類と費用目安、解体前の事前調査の流れを図解で解説します。

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1アスベストは何年頃の家に使われている?見分け方から知っておきたい理由

実家の解体や家じまいを考え始めたとき、築年数の古さから「もしかしてアスベスト(石綿)が使われているのでは」と不安になる方は少なくありません。アスベストは解体費用への影響も気になりますが、まず知っておきたいのは「どこに使われている可能性があるのか」「体にどんなリスクがあるのか」「解体前にどんな調査が必要になるのか」という3点です。この記事では費用の詳細ではなく、見分け方・健康リスク・事前調査の流れに絞って解説します。費用の目安を先に知りたい方は「アスベスト含有の家を解体するといくらかかる?調査から費用の流れ」もあわせてご覧ください。

2アスベストとは何か、家のどこに使われている可能性があるのか

アスベストが使用されている可能性がある住宅の部位を1〜10の番号で示した断面イラスト(外壁サイディング、煙突まわり、屋根の化粧スレート、外壁塗材、和室の砂壁、キッチンのビニル床タイル、フロアシート、配管のガスケット・パッキン、天井・壁の石膏ボード、軒天のけい酸カルシウム板)
アスベストが使用されていた可能性がある住宅部位の例(1〜10)

出典:株式会社クラッソーネ社内資料をもとに作成

使われていた年代の目安

アスベスト(石綿)は、耐熱性・耐久性に優れた繊維状の鉱物で、高度経済成長期の建材として広く使われていました。規制は一度にすべて禁止されたわけではなく、1975年に吹付け材の使用が制限され、1995年に規制が強化された後、2006年(平成18年)に含有率0.1%を超える建材の使用が原則として全面禁止となりました[1]。段階的に規制が進んだ経緯があるため、「2006年以前に建てられた建物や増改築部分は注意が必要」というのが基本的な目安になります[2]

家のどこに使われている可能性があるのか

「アスベストが使われている建物」と聞くと古いビルや工場をイメージしがちですが、一般の戸建て住宅にも下記のような10箇所前後の建材にアスベストが使われている可能性があります[2]。上の図の番号と対応しています。

  • ①外壁サイディング(窯業系サイディング、使用期間の目安は1960〜2004年頃)
  • ②煙突まわりの配管保温材
  • ③屋根の化粧スレート(使用期間の目安は1961〜2004年頃)
  • ④外壁やブロック塀の仕上塗材(使用期間の目安は1970〜2005年頃)
  • ⑤和室の砂壁(聚楽壁など)
  • ⑥キッチンまわりのビニル床タイル
  • ⑦フロアシート(1990年頃まで)
  • ⑧配管・ダクトのガスケット・パッキン
  • ⑨天井や壁の石膏ボード(使用期間の目安は1970〜1986年頃)
  • ⑩軒天や外壁のけい酸カルシウム板(2004年頃まで)

いずれも「使われていることが多かった」建材であり、必ず含有しているという意味ではありません。築年数や建材の種類だけで自己判断せず、次に紹介する事前調査で確認することが重要です。

3使われ続けるとどんな健康リスクがあるのか

アスベストは、耐火性や保温性に優れた繊維状の鉱物で「石綿」とも呼ばれ、高度経済成長期には建材として盛んに使用されていました。しかし、大気中に飛散したアスベストが人体への健康被害を及ぼすことが報告され、2006年以降[1]、日本国内では全面使用禁止となったものの、まだ問題は解決したわけではありません。当時建てられた建物が寿命を迎えようとしている今、解体の際の飛散防止対策が新たな課題となっています。

肺がん・中皮腫・びまん性胸膜肥厚・石綿肺の発症部位と潜伏期間の目安を示した人体図
アスベストに関連する主な疾患と潜伏期間の目安

出典:株式会社クラッソーネ社内資料をもとに作成

なぜ危険なのか

アスベストそのものに触れても直ちに健康被害が出るわけではありません。問題になるのは、解体や改修で建材を壊した際に微細な繊維が空気中に飛散し、それを吸い込んでしまうケースです。飛散したアスベストを長期間吸引すると、重篤な疾患を引き起こす可能性があることが明らかになっています[1]

主な疾患と潜伏期間の目安

アスベストには複数の種類があり、代表的なものにクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、クリソタイル(白石綿)があります。ちゃんとした対策を講じずにアスベスト含有の建物を解体すると、肺がん・中皮腫・びまん性胸膜肥厚・石綿肺といった重篤な疾患を引き起こす恐れがあります[1]。これらの疾患は吸引してからすぐに発症するわけではなく、種類によって数十年単位の潜伏期間を経て発症することがあるとされ、対策の必要性が長期にわたって続く点が特徴です。個人差があるため、画像の年数はあくまで目安として捉えてください。

4アスベストのレベル分類と公表されている除去費用の目安

項目レベル1(飛散性が著しく高い)レベル2(飛散性が高い)レベル3(飛散性が比較的低い)
主な建材吹付けアスベストなどの吹付け材保温材・断熱材・耐火被覆材スレートや岩綿吸音板などの成形板
公表単価の扱い国土交通省Q&Aに、吹付けアスベスト含有建材の処理面積別単価の目安あり同Q&Aにレベル2単独の全国単価目安は示されていない同Q&Aにレベル3単独の全国単価目安は示されていない
除去費用の目安300㎡以下:2.0万〜8.5万円/㎡、300〜1,000㎡:1.5万〜4.5万円/㎡、1,000㎡以上:1.0万〜3.0万円/㎡現地条件・建材・処分方法により個別見積りで確認現地条件・建材・処分方法により個別見積りで確認

※ 国土交通省Q&Aの費用は、2007年1月〜12月の施工実績データに基づく吹付けアスベスト含有建材の除去単価です。レベル2・3の全国一律の公表単価としては扱わず、現地調査後の見積りで確認してください。

出典:国土交通省「アスベスト対策Q&A」(Q8・Q40)を基に編集部作成

5解体前に必要なアスベスト事前調査の流れ

解体工事の見積り依頼から現地調査、事前調査(設計図書の有無による第一スクリーニング、建材サンプル採取・検体分析による第二スクリーニング)、二次見積り、工事請負契約、各種届出、着工までの8ステップを示したフロー図
アスベスト事前調査から着工までの流れ

出典:株式会社クラッソーネ社内資料をもとに作成

事前調査の全体フロー

2022年4月に施行された改正大気汚染防止法により、建築物の解体・改修工事の前には石綿事前調査が義務化されています[3]。大まかな流れは次のとおりです。

  • 解体工事の見積り依頼→現地調査→1次見積りの提出
  • アスベスト調査を実施(設計図書があれば建材データベースと照合、なければ現場を目視チェックする「第一スクリーニング」。含有が不明な場合は建材サンプルを採取して検体分析するか、建材裏面を調査して照合する「第二スクリーニング」)
  • アスベスト調査報告→二次見積りの提出→工事請負契約の締結→各種届出→着工

2023年10月以降は、原則として建築物石綿含有建材調査者等の有資格者による調査が求められます[4]。また、解体部分の床面積が80㎡以上の工事や、請負金額が100万円以上の改修工事などは、調査結果を行政へ報告する義務があります[3]。建材サンプルを採取する場合は建物に10cm程度の穴が開くことがあり、検体分析の費用は1箇所あたり3〜5万円程度が目安です[2]。調査費用は解体工事の着工・未着工にかかわらず所有者側の負担となるのが一般的なので、見積もり時に内訳を確認しておきましょう。

費用やリスクを具体的に確認したい方へ

アスベストが含有していた場合の解体費用・工期の目安は「アスベスト含有の家を解体するといくらかかる?調査から費用の流れ」で詳しく解説しています。また、自分の家がアスベスト・地中埋設物でどの程度追加費用のリスクがあるか気になる方は、解体費用が「思ったより増える」原因をチェックできる無料診断(別ウィンドウで開きます)も活用できます。

6よくある質問

Q1アスベストが使われているかどうかは、見た目だけで分かりますか?
A

見た目だけでの判断は困難です。同じような建材でもアスベストを含む場合と含まない場合があり、2023年10月以降は原則として有資格者による事前調査が必要とされています[4]。設計図書があれば建材データベースとの照合がスムーズになるため、可能な範囲で用意しておくと安心です。

Q22006年以降に建てられた家なら心配いりませんか?
A

2006年に含有率0.1%を超える建材の使用が原則として全面禁止となりました[1]が、規制自体は1975年・1995年と段階的に強化されてきた経緯があります[2]。増改築部分や在庫材が使われた例外的なケースもゼロとは言い切れないため、築年数だけで断定せず事前調査で確認することをおすすめします。

Q3アスベストの潜伏期間はどのくらいですか?
A

疾患の種類によって潜伏期間の目安は異なり、数十年単位で発症するケースがあるとされています。個人差があるため、健康面で気になる症状がある場合は自己判断せず医療機関に相談してください。

Q4どんな工事でも行政への報告が必要になりますか?
A

解体部分の床面積が80㎡以上の工事、または請負金額が100万円以上の改修工事などが対象です[3]。小規模な工事でも事前調査自体は必要になる点に注意してください。

Q5レベル1〜3の分類は、費用以外にどんな違いがありますか?
A

国土交通省Q&Aでは、レベル1は吹付け材、レベル2は保温材・断熱材・耐火被覆材、レベル3はそれ以外のアスベスト含有建材(主にスレートなどの成形板)と整理されています[5]。費用について同Q&Aで処理面積別の目安が示されているのは吹付けアスベスト含有建材で、レベル2・3は現地条件による見積り確認が前提です。

Q6アスベストが疑われる相続した空き家を、解体せず買取してもらうことはできますか?
A

相続登記を済ませたうえで[6]、買取業者に査定を依頼する方法があります。アスベスト含有が疑われる建物でも、事前調査・除去をせず現状のまま買い取ってもらえる場合があり、調査・除去費用の負担を避けられることがあります。

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8まとめ:見分け方を知り、事前調査で確認してから判断する

アスベストは1975年・1995年・2006年と段階的に規制が強化されてきた歴史があり、目安としては2006年以前に建てられた建物や増改築部分で注意が必要です[1]。外壁材や屋根材、床材など住宅の10箇所前後にアスベストが使われている可能性がありますが、見た目だけでの判断は難しく、最終的には有資格者による事前調査で確認することになります[4]。健康リスクは長期的な視点で考える必要がありますが、過度に不安がる必要はありません。まずは事前調査の流れを理解し、費用が気になる場合は関連記事やリスクチェックも活用しながら、一歩ずつ準備を進めていきましょう。

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参考資料

  1. [1] 石綿パンフレット等(建築物・工作物・船舶の解体・改修工事に対する石綿対策の規制) / 厚生労働省

    原典URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/other/pamph/index.html

    根拠: 石綿は2006年(平成18年)に原則として全面禁止となったこと、アスベストの飛散を吸引すると重篤な疾患を引き起こす可能性があること

  2. [2] 【画像で確認】アスベストが入っている建物の年代は? / 株式会社クラッソーネ

    原典URL: https://www.crassone.jp/faq/12983

    根拠: アスベストは1975年に吹付けが制限され、1995年に規制が強化された段階的な規制の変遷があること、窯業系サイディング・配管保温材・化粧スレートなど10箇所以上の建材にアスベストが使用され得ること、アスベストの分析調査費用は1箇所あたり3〜5万円程度が目安であること

  3. [5] アスベスト対策Q&A / 国土交通省

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/Q%26A/index.html

    根拠: アスベスト含有建材は発じんの度合いによりレベル1〜3に分類されること、吹付けアスベスト含有建材の除去費用について、処理面積別の目安が示されていること

  4. [3] 石綿事前調査結果の報告について / 環境省

    原典URL: https://www.env.go.jp/air/asbestos/post_87.html

    根拠: 2022年4月施行の改正大気汚染防止法により、解体・改修工事前の石綿事前調査が義務化されたこと、解体部分の床面積が80㎡以上の工事や、請負金額100万円以上の改修工事等では、事前調査結果を行政へ報告する義務があること

  5. [4] 石綿総合情報ポータルサイト / 厚生労働省

    原典URL: https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/

    根拠: 2023年10月以降は、原則として建築物石綿含有建材調査者等の有資格者による石綿事前調査が求められること

  6. [6] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 相続登記は2024年4月1日から義務化された

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部