コラム一覧/解体業者の選び方と注意点|見積もり比較から契約まで
解体工事の見積もり書類と許可証をイメージした写真

2026-06-18 更新

解体業者の選び方と注意点|見積もり比較から契約まで

解体業者を選ぶ際の確認ポイント・相見積もりの取り方・悪質業者を避けるチェックリストを解説。許可証の確認方法、廃材処理の適法性、契約書で確認すべき項目もまとめます。

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1. 解体業者選びで後悔しないために、最初に知っておくこと

実家の空き家をいよいよ解体しようと決意したとき、多くの方が最初に直面するのが「どの業者に頼めばよいか分からない」という問題です。インターネットで検索すれば無数の業者が出てきますが、解体工事は日常的に発注する機会が少なく、比較のための基準を持ちにくいのが実情です。

総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は900万戸を超え、空き家率は13.8%に達しています。老朽化した空き家の解体需要は今後も継続すると見込まれますが、その裏で「格安をうたって受注し、廃材を不法投棄した」「工事後に追加費用を請求された」などのトラブルも散見されます。

解体工事は、安全・適法に廃材を処理する専門知識と設備が必要な工事です。業者を選ぶ際には価格だけでなく、許可・資格・廃材処理の方法・契約書の内容を総合的に確認することが重要です。この記事では、解体業者を選ぶ上での具体的なチェックポイントを順を追って解説します。

2. 解体工事に必要な許可と資格を確認する

解体業者を選ぶ際に最初に確認すべきは、工事に必要な法的許可・資格を持っているかどうかです。許可を持たない業者に依頼すると、廃材の不法投棄や手抜き工事のリスクが高まり、施主(依頼者)も責任を問われる場合があります。

建設業許可(解体工事業)

解体工事を専門に行う業者には、建設業法に基づく「解体工事業」の許可が必要です(請負金額が税込500万円以上の場合)。許可業者かどうかは、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」または各都道府県の建設業課で確認できます。名刺や会社案内に許可番号が記載されているかも確認しましょう。

解体工事業登録

請負金額が税込500万円未満の小規模な解体工事を行う業者は、建設業許可の代わりに、工事を行う都道府県への「解体工事業登録」が必要です(建設リサイクル法に基づく)。建設業許可を持つ業者は登録が不要ですが、どちらも持たない業者への依頼は避けるべきです。

廃棄物処理に関する許可

解体工事で出る廃材は産業廃棄物として扱われます。廃材を適法に処理するためには、業者または委託先が「産業廃棄物収集運搬業許可」「産業廃棄物処分業許可」を持っている必要があります。見積もり依頼時に「廃棄物はどこで処理するか」「マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行するか」を確認しましょう。

技術者・主任技術者の配置

工事現場には適切な資格を持つ主任技術者の配置が義務づけられています。見積もり・打ち合わせの段階で、現場責任者の資格についても確認しておくと安心です。

3. 解体業者に確認すべき許可・資格の一覧

確認項目根拠となる法令・制度確認方法
建設業許可(解体工事業)建設業法許可番号を業者に提示してもらい、国交省のシステムで検索
解体工事業登録建設リサイクル法都道府県の建設業課または業者に登録番号を確認
産業廃棄物収集運搬業許可廃棄物処理法委託契約書・マニフェスト発行の有無を確認
アスベスト事前調査者大気汚染防止法(2023年10月以降)有資格者による事前調査結果報告書を受け取る

※ 各制度の詳細・最新情報は国土交通省または各都道府県の担当窓口でご確認ください。

出典:国土交通省 建築・住宅関係統計データおよび関連法令を参考に編集部作成

4. 相見積もりの取り方と比較するポイント

解体工事の費用は業者によって大きく異なります。少なくとも3社以上から相見積もりを取ることを推奨します。金額だけでなく、内訳・撤去範囲・廃材処理方法・工期などを比較することが重要です。

相見積もりを取る際の手順

①現地確認を依頼する:解体する建物を実際に見てもらった上で見積もりを作成してもらいましょう。現地を見ずに電話やメールだけで出された見積もりは正確性に欠ける場合があります。

②見積書の内訳を確認する:「一式」でまとめられた見積もりは、何が含まれているか分かりにくいため注意が必要です。以下の項目が明示されているか確認しましょう。

  • 建物本体の解体・撤去費
  • 基礎コンクリートの撤去費(どこまで撤去するか)
  • 廃材搬出・処分費(産業廃棄物処理費)
  • 養生費(飛散防止シートなど)
  • アスベスト調査・除去費(該当する場合)
  • 残置物処分費(含まれる場合)
  • ③追加費用の条件を確認する:見積もり提出後に「地中埋設物が見つかった場合」「残置物が想定より多かった場合」などに追加費用が発生する条件が記載されているか確認しましょう。

    ④極端に安い見積もりには注意する:相場より著しく安い見積もりは、廃材処理費が含まれていない、または不法投棄のリスクがある場合があります。安さだけを基準に選ぶことは避けましょう。

    業者を選ぶ際の追加確認項目

    • 工事実績や施工事例を確認できるか
    • 工事保険(賠償責任保険)に加入しているか
    • 担当者の説明が丁寧で疑問に答えてくれるか
    • 見積もり後の押し売りや過度な営業がないか

    5. 悪質業者を見抜くチェックリスト

    解体工事では、施主が専門知識を持ちにくいことを利用した悪質なトラブルが発生することがあります。以下のような兆候がある業者には慎重に対応しましょう。

    契約前の危険サイン

    □ 許可番号・登録番号を提示しない、または確認を求めると態度が変わる

    □ 現地確認なしで口頭だけの見積もりを提示してくる

    □ 「すぐ決めないと値段が変わる」などと契約を不当に急かしてくる

    □ 見積書が「一式◯◯万円」としか書かれておらず、内訳がない

    □ 廃材の処理先・マニフェスト発行の有無を聞いても答えられない

    □ 会社所在地が不明確で、連絡先が携帯電話のみ

    廃材処理に関するリスク

    廃材の不法投棄は廃棄物処理法違反にあたりますが、施主側も「注意を払わなかった」として措置命令の対象になる可能性があります。産業廃棄物マニフェスト(紙または電子)は、廃棄物の排出・運搬・処分の記録を追跡するための書類です。工事完了後に担当者から「マニフェストの交付が完了した」旨を報告してもらうことで、適法処理を確認できます。

    工事中・工事後のトラブル事例

    • 工事開始後に「予想外の廃材が出た」として高額の追加請求をされた
    • 工事が終わったが基礎の撤去が不完全で、土地売却時に問題になった
    • 近隣への事前挨拶をせず、騒音・振動・粉塵で近隣トラブルが発生した
    • 工事後に連絡が取れなくなり、残代金の請求書だけが届いた

    こうしたトラブルを防ぐために、契約前には必ず書面で条件を確認し、口頭での約束だけで工事を進めないことが重要です。

    6. 契約書で確認すべき項目と署名前のポイント

    解体業者と正式に契約する前に、契約書に記載された内容を丁寧に確認しましょう。口頭でのやり取りだけでは後でトラブルになる可能性があります。

    契約書の必須確認事項

    ①工事範囲の明確化:建物本体だけでなく、基礎コンクリート・ブロック塀・庭木・外構など、撤去する範囲が明示されているかを確認しましょう。

    ②廃材処理方法:産業廃棄物の処理方法・処理先・マニフェスト発行について記載があるか確認しましょう。

    ③アスベスト対応:事前調査結果に基づいた対応方法と費用負担の条件が記載されているか確認しましょう。

    ④追加費用の条件:地中埋設物や想定外の廃棄物が見つかった場合の追加費用の計算方法・上限・通知義務について確認しましょう。

    ⑤工期と引き渡し条件:着工日・完了予定日・遅延時の対応が記載されているかを確認しましょう。

    ⑥工事保険:工事中に隣地・第三者に損害を与えた場合の賠償責任保険に加入しているかを確認しましょう。

    特約・口頭約束の書面化

    口頭で「残置物も処分してもらえる」「ブロック塀も撤去してほしい」などと話し合った内容は、必ず契約書または覚書に追記して双方が署名・押印しましょう。口頭の約束は後から「言った・言わない」のトラブルの原因になります。

    クーリングオフ・契約解除

    訪問販売で契約した場合は特定商取引法に基づくクーリングオフが適用される場合があります。ただし、自ら業者を呼んで見積もりを依頼した場合は適用されないのが一般的です。契約解除の条件と違約金の有無も事前に確認しておきましょう。

    7. よくある質問

    Q解体業者を探す方法として、どのような手段がありますか?

    A主な方法としては、①インターネットの解体業者紹介サービスや一括見積もりサービスを活用する、②自治体の「空き家・解体相談窓口」に相談して紹介してもらう、③地元の商工会議所や建設業協会に問い合わせる、④知人からの紹介を利用するなどがあります。一括見積もりサービスは複数業者を同時に比較できる点が便利ですが、参加業者の質は一定でないため、許可・資格の確認は個別に行いましょう。

    Q建設業許可と解体工事業登録はどう違うのですか?

    A建設業許可は請負金額が税込500万円以上の工事を請け負う際に必要で、都道府県知事または国土交通大臣が許可します。解体工事業登録は500万円未満の解体工事を行う業者が工事を行う都道府県に登録する制度(建設リサイクル法)です。建設業許可(解体工事業)を持つ業者は登録が不要です。どちらも持たない業者への依頼は、適法性の観点からリスクがあります。

    Q産業廃棄物マニフェストとは何ですか?なぜ確認する必要があるのですか?

    A産業廃棄物マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、廃棄物の排出・運搬・処分の経路を書面(または電子)で記録・追跡する仕組みです。廃棄物処理法に基づき、排出事業者(施主側を含む)はマニフェストによる管理が義務づけられています。工事完了後に業者からマニフェストの写しを受け取っておくと、廃材が適法に処理されたことを確認できます。

    Q見積もり後に追加費用を請求されることはありますか?

    Aあります。地中に古い浄化槽・水道管・油槽などの埋設物が見つかった場合や、アスベスト含有建材が発見された場合などは追加費用が発生する可能性があります。見積もり時に「追加費用が発生する条件」「上限の目安」「事前報告の義務」を業者に確認しておき、契約書に明記してもらうことが重要です。

    Q解体工事の近隣挨拶は業者がやってくれるのですか?

    A多くの解体業者では工事着工前の近隣挨拶を代行しています。ただし、挨拶の範囲(隣接地のみか、通りを挟んだ先まで含むかなど)は業者によって異なります。施主自身が出向くことで近隣への丁寧な印象を与えられる場合もあるため、業者と役割分担を事前に確認しておきましょう。近隣トラブルを防ぐ観点からも、工事前挨拶は欠かさないことをお勧めします。

    Q解体費用が相場より大幅に安い見積もりは問題がありますか?

    A著しく安い見積もりには注意が必要です。廃材の処理費用を見積もりに含めず、実際には不法投棄で処理するケースがあります。廃材の不法投棄が発覚した場合、施主も行政から措置命令を受ける可能性があります。安さだけを基準にせず、許可・資格・廃材処理の方法を必ず確認した上で業者を選びましょう。

    8. まとめ:解体業者選びは許可・見積もり内訳・契約書の三点確認が基本

    解体業者を選ぶ際のポイントを整理します。

    ①許可・資格の確認:建設業許可(解体工事業)または解体工事業登録の有無を確認し、廃材処理に必要な産業廃棄物処理の許可も含めて確認しましょう。

    ②相見積もりと内訳確認:少なくとも3社以上から相見積もりを取り、金額だけでなく撤去範囲・廃材処理方法・アスベスト対応・追加費用の条件を比較しましょう。

    ③契約書の確認:口頭での約束を書面に落とし込み、工事範囲・廃材処理・追加費用条件・工期・保険加入を契約書で確認した上で署名しましょう。

    解体工事は一度きりの大きな判断です。費用の目安や補助金の活用については関連記事もあわせてご参照ください。疑問や不安がある場合は、専門家や複数の業者に相談しながら慎重に進めることをお勧めします。

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    参考資料

    1. 建築・住宅関係統計データ / 国土交通省

      原典URL: https://www.mlit.go.jp/statistics/details/jutaku_list.html

      根拠: 国土交通省の建築・住宅関係統計では建物の除却数などの動向が把握できる、建物除却に伴う解体工事は毎年一定数発生しており、業者選びの重要性が高い

    2. 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

      原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

      根拠: 2023年時点の全国の空き家数は900万戸で、空き家率は13.8%に達している、老朽化した空き家の増加を背景に解体需要が拡大しており、業者選びを誤るリスクも高まっている

    監修・著者情報

    空き家先生 川口哲平

    空き家先生 川口哲平(監修)

    全国空き家対策コンソーシアム 代表理事 / 株式会社クラッソーネ 代表取締役CEO

    空き家先生のX

    経歴

    空き家先生・全国空き家対策コンソーシアム代表理事・クラッソーネCEO。名古屋出身、京都大学卒業後、セキスイハイムを経てクラッソーネを設立。その後、全国空き家対策コンソーシアムを設立。

    著者:クラッソーネ編集部