1解体してはじめてわかる「地中」のこと
解体工事の見積もりを取ったあと、「地中から埋設物が見つかり追加費用が発生しました」という説明を受けて驚く方は少なくありません。地中埋設物は地表からは見えないため、工事で掘り起こして初めて発見されることが多く、費用の増加や工期の延長につながるケースがあります。総務省「住宅・土地統計調査(2023年)」によると、空き家は全国で約900万戸に達し、老朽化した「その他の空き家」も増加傾向にあります[1]。築年数が古く増改築を繰り返してきた建物ほど、過去の建て替えや地盤処理の履歴が分かりにくくなる傾向があり、地中埋設物が見つかるリスクも相対的に高くなりがちです。「聞いていなかった」「そんなに費用がかかるとは」といったトラブルを避けるためには、どんな埋設物があり得るのか、見つかったときにどう対応が進むのかを事前に知っておくことが大切です。この記事では、地中埋設物の種類、発見時の対応フロー、実際にあった事例、契約時に確認しておきたいポイントを整理します。
2解体現場でよく見つかる地中埋設物の例

出典:株式会社クラッソーネ社内資料をもとに作成
図の8種類の地中埋設物は、次のとおりです。
- 地中基礎:建物の土台として残ったコンクリート。木造でも鉄筋コンクリート並みの「深基礎」が残っているケースがある
- 地中杭:地盤補強のために埋められたコンクリート杭・鋼管杭など。撤去は大掛かりになりやすく費用が増大しやすい
- 浄化槽・便槽:生活排水処理のために埋められた設備。未使用でも撤去が必要な場合がある
- 地中配管:ガス管・水道管・排水管など。残置するか撤去するかの判断が必要で、誤って破損するとトラブルにつながることがある
- 古井戸・井戸跡:使用されなくなった井戸の痕跡。閉鎖する際に配慮が必要になることがある
- ガラ・瓦礫:瓦やモルタル片などの建材ごみ。混在物が多く分別・処分にコストと時間がかかる場合がある
- 湧き水:地中から水が湧き出る現象。ポンプ排水や地盤処理が必要になり工期が伸びる要因になる
- 改良材・油まみれの廃材:過去の地盤改良で使われた薬剤や油汚染建材など。特別な処理が必要になり処分費が高額化することがある
これらは代表的な例であり、実際に何が埋まっているかは掘削してみるまで分かりません。
※ 地中埋設物は現場ごとに状況が異なります。
地中埋設物とは何か
建物を取り壊すと、その下には過去に使われた構造物や設備、廃材などが埋まっていることがあります。これが「地中埋設物」です。地盤調査や現地調査である程度の推測はできても、実際に掘削してみるまで正確な位置・規模・状態を確定することは難しく、解体工事で初めて発見されるケースが多いのが実情です。特に、増改築を繰り返してきた住宅や、過去に建て替えを行った土地では、古い基礎や配管がそのまま残されていることがあります。
3地中埋設物が見つかったときの対応の流れ

出典:株式会社クラッソーネ社内資料をもとに作成
地中埋設物が見つかった場合、一般的には図の①〜⑥の流れで対応が進みます。
- ①現場で発見:掘削中に埋設物を発見します。
- ②施主に報告・相談:発見した内容を施主に報告し、対応の方針を相談します。
- ③深さ・範囲の確認:どこまで埋設物が広がっているかを、試掘して確認します。
- ④概算確認・撤去:撤去にかかる概算費用を確認し、必要な範囲を撤去します。
- ⑤追加の見積もり:確定した追加費用の見積もりを提出します。
- ⑥完了の報告:撤去の完了を報告します。
想定される影響
想定される影響としては、撤去や施主との協議のあいだ一時的に作業が中断し、工期が延びることがあります。追加費用は、ガラや瓦などであれば10万円以下で済むことが多い一方、湧き水への対応などではそれ以上かかることもあります[2]。杭や深基礎の撤去のように規模が大きい場合は、さらに高額になることがあります。実際の事例は次の節で紹介します。
4実際にあった地中埋設物の事例
クラッソーネが関わった解体工事で、実際に地中埋設物が見つかった3つの事例です。追加費用と工期への影響は、埋設物の種類や量、現場の状況によって大きく変わります。

コンクリート片の残置物を撤去
追加費用 約30万円
工事中にコンクリート片などの残置物が見つかり、試掘してみると地中にも散在していました。撤去作業と廃棄物処理の追加で、約30万円の費用が発生しました。工期は、掘削調査や施主との打ち合わせ、追加の撤去作業などで4日ほど延びました。

鋼管杭25本が地中から出てきた
追加費用 約75万円
昔の建造物の鋼管杭が地中から出てきたケースです。長さ4mの杭が合計25本見つかり、撤去・処分に約75万円が必要になりました。施主との確認がすぐに取れたため工事を止めずに進められ、工期の延長は1日で済みました。

コンクリートの深基礎が出てきた
追加費用 約197万円
地中から巨大な深基礎が見つかりました。大量のコンクリート廃棄物の処分費用が負担となり、撤去と廃棄物処分で約197万円の追加費用が発生しました。施主への確認がすぐに取れたため、大きな地中埋設物でしたが、工期の延長は2日で済みました。
出典:クラッソーネの解体工事事例(社内資料)
いずれの事例でも、施主への確認をすぐに取れたことで工事を止めずに済んだ点が共通しています。埋設物の規模が大きいほど追加費用も工期への影響も大きくなる傾向があるとイメージしておくと、見積もり時の心構えとして役立ちます。
契約書で確認しておきたいこと
地中埋設物が見つかった場合の追加費用の条件・上限の目安・施主への通知義務が契約書に明記されているかを確認しましょう。不動産の売買契約では、引き渡した土地に契約内容に適合しない欠陥があった場合、売主が責任を負う「契約不適合責任」という考え方が民法で定められています[3]。実務では「人工物は撤去したうえで引き渡す」という条件で契約されることが多い一方、法令で撤去そのものが一律に義務付けられているわけではなく、撤去範囲は契約内容によって変わります。売却や解体を検討する際は、地中埋設物が見つかった場合の扱いをどちらの当事者がどう負担するのか、契約前に確認しておくことが重要です。
見積もり依頼時の確認ポイント
見積もりを依頼する際は、「地中埋設物が見つかった場合の追加費用の計算方法」「試掘や状況写真の共有方法」「一時中断が生じた場合の工期の扱い」を業者に確認しておくと安心です。相見積もりの取り方や契約書のチェックポイントは「失敗しない解体業者の選び方」で詳しく解説しています。
追加費用のリスクを具体的に確認したい方へ
自分の家でアスベスト・地中埋設物によってどの程度追加費用のリスクがあるか気になる方は、解体費用が「思ったより増える」原因をチェックできる無料診断(別ウィンドウで開きます)も活用できます。解体全体の費用内訳を確認したい方は「解体費用の内訳と坪単価の相場」もあわせてご覧ください。
5よくある質問
Q1地中埋設物は事前調査で完全に把握できますか?
地表からの現地調査や設計図書の確認だけでは、完全に把握することは難しい場合が多いです。特に古い建物や増改築を繰り返した土地では、実際に掘削してみるまで正確な状況が分からないことがあります。
Q2地中埋設物が見つかると、必ず追加費用が発生しますか?
必ず発生するとは限りません。軽度な残置物であれば費用への影響が小さいこともありますが、杭や深基礎など規模が大きい場合は追加費用が発生しやすくなります。見積もり時に「見つかった場合の対応・費用の条件」を確認しておくことが大切です。
Q3埋設物の撤去は必ず行う必要がありますか?
法令で一律に撤去が義務付けられているわけではなく、撤去するかどうかは契約内容によって変わります。ただし、土地を売却する場合などは、契約不適合責任[3]の観点から、人工物を撤去したうえで引き渡す契約になっているケースが多く見られます。
Q4古い井戸が見つかった場合、特別な対応は必要ですか?
古い井戸や井戸跡は、閉鎖する前に宗教的・慣習的な配慮が必要になる場合があります。対応方法は業者や地域によって異なるため、発見時に相談しながら進めることをおすすめします。
Q5追加費用を抑える方法はありますか?
事前に土地の履歴(過去の建物の建て替え歴、井戸や浄化槽の有無など)を分かる範囲で業者に伝えておくと、見積もりの精度が上がりやすくなります。また、複数業者から見積もりを取り、追加費用の条件を比較することも有効です。
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7まとめ:地中埋設物は「見えないリスク」と理解し、契約前に確認する
地中埋設物は地表からは見えないため、解体工事で掘削して初めて発見されることが多く、内容によっては工期の延長や追加費用につながります。過度に恐れる必要はありませんが、「聞いていなかった」というトラブルを避けるためには、契約前に追加費用の条件や撤去範囲の考え方を確認しておくことが重要です。土地の引き渡し後に契約不適合が問題になるケースもあるため[3]、売却を検討している場合はなおさら早めの確認をおすすめします。気になる方はリスクチェックも活用しながら、見積もり段階から業者としっかりすり合わせを行いましょう。









