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狭い路地の奥にある、古い木造の空き家

空き家先生 | 川口哲平

公開:2026-11-03

再建築不可の空き家はどうする?売却・解体・活用の判断と、まず確かめたいこと

川口哲平

全国空き家対策コンソーシアム 代表理事 川口哲平

再建築不可の空き家は、まず接道義務と2項道路から「本当に再建築不可か」を確かめ、売る・解体する・建物を残して使うの3つから選びます。接道義務の特例、解体で建て直せなくなること、更地にしたときの固定資産税、大きなリフォームの建築確認まで、国土交通省の資料と建築基準法をもとに整理します。

1再建築不可の空き家、まず決めたいこと

相続した実家や空き家のことを調べていて、「再建築不可」と言われて戸惑う方がいます。再建築不可とは、今ある建物を壊すと、同じ場所に新しい建物を建てられない土地のことで、法律上の用語ではなく通称です。国土交通省の実態調査では、今後5年程度、空き家として所有しておく意向の世帯のうち、その理由に「再建築不可(道路付けの悪さなど)」を挙げた世帯が6.9%、今後5年程度に賃貸または売却する意向の世帯のうち、その課題に挙げた世帯が7.6%でした(いずれも複数回答)[1]。当てはまる場合は、売る・壊す・使うのどれにも影響する大きな条件です。

大切なのは、先に「本当に再建築不可か」を確かめることです。前の道が狭いだけで再建築不可と決まるわけではなく、条件によっては建て替えられる場合や、特例が使える場合があります。そのうえで、売る・解体する・建物を残して使うの3つから選びます。

この記事では、再建築不可になる理由と調べ方、3つの選択肢の違い、売却・解体・活用それぞれの注意点を整理します。

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2再建築不可とは?まず「本当にそうか」を確かめる

再建築不可になる主な理由は、接道義務を満たしていないこと

建築基準法第43条は、建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならないと定めています[2]。ここでいう道路は、第42条で、原則として幅員4メートル以上のものとされています[2]。国土交通省の資料では、この接道義務は、都市計画区域内で建築物を建築する場合の決まりとして説明されています[3]。

敷地が道路に接していない、接していても2メートルに足りない、接している道が建築基準法上の道路ではない、といった場合は、接道義務を満たさず、原則として建て替えが認められません。これが「再建築不可」と呼ばれる状態です。ただし、あとで説明する認定・許可の特例が使える場合があります。

狭い道に面していても、「2項道路」なら建て替えられることがある

幅員が4メートルに満たない道でも、昔から建築物が立ち並んでいて、特定行政庁が指定した道は、「2項道路」として道路とみなされます[2]。この場合、原則として、基準時の道の中心線から両側2メートルの範囲が道路とみなされ、建て替えの際は門や塀も後退させる「セットバック」が必要です[3]。実際の後退線は、自治体で確認してください。

つまり、前の道が狭いだけで再建築不可とは限りません。セットバックをすれば建て替えられる場合があるため、「再建築不可」と言われたら、どの条件に当たるのかを確かめることが出発点になります。

調べ方は、自治体の指定道路図と窓口で確かめる

道路の種別は、自治体が公開する資料で確かめます。たとえば横浜市では、建築基準法上の道路の種別は「指定道路図」で確認するよう案内していて、ネット上の地図でも見られます[4]。同市では、間違いが生じた場合の影響が大きいため、電話での問い合わせは受け付けていません[4]。確認の方法や窓口は自治体によって違うため、空き家がある市区町村の建築の担当窓口の案内を確かめましょう。不動産会社から「再建築不可」と説明された場合も、道路の種別と、敷地が道路に接している幅を自分でも確かめておくと、あとの判断が確かになります。

接道条件の違いを比べた模式図。敷地が道路に十分接していれば接道義務を満たし、道路に接する幅が足りないと原則として再建築不可になることを表している
接道条件の違いを示す模式図です。実際の建て替え可否は、道路の種別、認定・許可の特例、その他の法令上の条件も含めて確認します。

3再建築不可の空き家:売る・解体する・残して使うの比較

選択肢向いている状況必要なこと注意点
売る建物を使う予定がなく、早めに手放したい道路の種別と接道の状況を確かめ、条件を理解して買う相手(買取業者、隣の土地の所有者など)に相談する一般の買い手は限られやすい。再建築不可であることは、最初に伝える
解体して更地にする建物の傷みが大きく、倒壊や近隣への影響が心配接道の特例が使える見込みと、更地にしたあとの使い道を確かめてから進める解体すると、同じように建て直せない可能性がある。住宅用地の特例が外れ、固定資産税が上がることがある
建物を残して使う建物の状態がよく、住む・貸す予定がある小規模な手入れで使えるかを確かめる。大きなリフォームは、建築確認が必要かを事前に確認する主要構造部の過半に及ぶ修繕などは、建築確認が必要になる場合がある

選択肢の整理(向いている状況・必要なこと)は編集部によるものです。公的資料が根拠になっているのは、接道義務と2項道路、建築確認の対象、住宅用地の特例が外れる仕組みです。敷地の条件によって結論が変わるため、空き家がある市区町村の建築の担当窓口や専門家に確認してください。

出典:国土交通省「接道規制のあり方について」、建築基準法(e-Gov法令検索)、柏市「土地に対する課税のしくみ」を基に編集部作成

4売却するとき:買い手が限られる前提で、相談先を選ぶ

条件を理解して買う相手に相談する

再建築不可の土地は、建て替えができないため、一般の買い手が限られやすくなります。まず、買取業者に、現状のまま査定してもらう方法があります。建物の傷みや残置物があっても相談できるかは業者によって違うため、再建築不可であることを最初に伝えたうえで、複数の業者に確かめましょう。現状のまま買い取ってもらえるかは、空き家 そのまま買取 現状渡しはあり?費用と注意点を解説で整理しています。業者の選び方は、空き家買取業者の選び方と注意点|免許確認から契約までで確認できます。

隣の土地の所有者に打診する

隣の土地の所有者が、再建築不可の土地を買い足すと、敷地の形や道路に接する幅が変わることがあります。隣とあわせて使えば条件がよくなる場合があるため、隣の所有者に、買う意向がないかを聞いてみる価値があります。ただし、あわせた敷地が接道義務を満たすかは、土地の形や道路の状況によって変わります。話を進める前に、自治体の建築の窓口や専門家に確かめましょう。

接道義務の特例が使えないか確かめる

接道義務には、特定行政庁が認めた場合や、許可した場合に適用しない特例があります(建築基準法第43条第2項)[2]。国土交通省の資料によると、認定は、幅員4メートル以上の農道などに2メートル以上接する、利用者が少数の小規模な建築物が対象で、令和5年度の実績は全国で1,232件です。許可は、敷地の周囲に広い空地があるなど国土交通省令の基準に適合し、建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可するもので、同じ年度の実績は6,579件でした[3]。

どちらも、建物の用途や規模、敷地の周りの状況で認められるかが決まるため、必ず使えるものではありません。使える可能性があるかは、敷地の状況が分かる資料を持って、自治体の建築の担当窓口や建築士に相談しましょう。

5解体するとき:建て直せなくなる前に確認すること

解体すると、同じ場所に建て直せない可能性がある

接道義務を満たさない敷地は、原則として建築物を建てられません[3]。再建築不可の土地で建物を解体すると、あとから「やはり建て替えたい」と思っても選べなくなることがあります。建物の傷みが大きくて解体を考える場合も、先に接道の特例が使える見込みを確かめ、解体後の土地の使い道を決めてから進めましょう。

更地にすると、固定資産税が上がることがある

建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例が外れ、翌年度から固定資産税が大きく増えることがあります[5]。税の変わり方は、解体後の固定資産税はどう変わる?更地にする前に確認することで解説しています。更地にして売る場合の費用や手間の比較は、空き家 解体 買取 どちらがお得?費用・手間・税金で比較で確認できます。

更地にしたあとの使い道を、先に考える

実態調査では、今後5年程度、空き家として所有しておく意向の世帯が、取り壊さない理由として「さら地にしても使い道がない」を挙げた割合が34.8%でした(複数回答)[1]。建物を建てない使い方(駐車場、家庭菜園、資材置き場など)や、隣の土地の所有者への売却・賃貸が考えられるかを、解体の前に確かめておきましょう。使い道が見つからないまま更地にすると、税金だけが増えることになりかねません。

6建物を残して使うとき:大きなリフォームは建築確認に注意

大規模な修繕・模様替えは、建築確認が必要になることがある

建築基準法では、2階建て以上、または延べ面積が200平方メートルを超える建築物で、大規模の修繕や大規模の模様替えをするときは、工事の前に建築確認を受けるよう定めています[2]。大規模の修繕とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいいます[2]。

再建築不可の家で大きなリフォームを考えるときは、工事の前に、自治体の建築の担当窓口や建築士に、確認が必要な工事に当たるか、必要な場合に手続きを進められるかを確かめましょう。壁紙の張り替えや設備の交換のように、主要構造部に手を入れない工事かどうかは、工事の内容によって判断が分かれるため、業者にも確認します。

住む・貸すなら、まず小規模な手入れで使えるかを見る

住む・貸す予定があるなら、まず、小規模な手入れで使える状態かを確かめます。雨漏りや傾きなど大きな傷みがある場合は、リフォーム費用が見合うかを、解体や売却と並べて比べましょう。比較の考え方は、空き家はリフォームするか解体するか?費用・税金・活用可能性で比較と、空き家は賃貸か解体か?費用・収益で比較してわかる向き不向きで解説しています。

7よくある質問

Q1再建築不可かどうかは、どうやって調べますか?
A

空き家がある自治体の、指定道路図などで道路の種別を確かめ、敷地が道路に接している幅も確認します。たとえば横浜市では、道路の種別は「指定道路図」で確認するよう案内していて、電話での問い合わせは受け付けていません[4]。確認の方法は自治体によって違うため、建築の担当窓口の案内を確かめてください。

Q2再建築不可の土地は、売れませんか?
A

売れないわけではありませんが、建て替えができないため、一般の買い手は限られやすくなります。買取業者や、隣の土地の所有者に相談する方法があります。価格は土地の条件で大きく変わるため、複数の相手に確かめましょう。売れにくいときの考え方は、空き家が売れない…どうしたら?仲介で動かない物件の次の一手で解説しています。

Q3再建築不可の家を解体して更地にしたら、新しい建物は建てられませんか?
A

接道義務を満たさない敷地は、原則として建築物を建てられません[3]。ただし、特定行政庁が認めた場合や許可した場合の特例があります[2]。使えるかどうかは敷地の状況によるため、解体の前に、建築の担当窓口や建築士に確かめましょう。

Q4セットバックが必要な土地は、再建築不可ですか?
A

2項道路に面している土地は、セットバックをすれば建て替えられる場合があり、直ちに再建築不可になるわけではありません。セットバックで道路とみなされる範囲は、建築ができず、門や塀も後退させる必要があります[3]。

Q5再建築不可の空き家でも、リフォームして貸せますか?
A

小規模な手入れで使える状態なら、貸せる場合があります。一方、主要構造部の過半に及ぶような大規模な修繕や模様替えは、建築確認が必要になることがあります[2]。工事の前に、建築の担当窓口や建築士に確かめましょう。

Q6相続した空き家を買取してもらう手続きは?
A

一般的には、相続登記で名義を相続人に変えたうえで、買取業者に査定を依頼し、条件に納得できれば契約して引き渡します。相続登記は2024年4月1日から義務になっています[6]。再建築不可の場合は、査定の時点で、そのことと、道路の種別を調べた結果を伝えておきましょう。

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9まとめ:再建築不可は、まず条件を確かめてから、売る・解体する・使うを選ぶ

再建築不可の空き家は、まず「本当に再建築不可か」を、道路の種別と接している幅で確かめます。狭い道でも2項道路ならセットバックで建て替えられる場合があり、接道義務には特例もあります。そのうえで、売る・解体する・建物を残して使うのどれが合うかを、敷地の条件に合わせて選びます。

解体すると、同じ場所に建て直せない可能性があり、固定資産税も上がることがあるため、更地にしたあとの使い道を決めてから進めましょう。大きなリフォームは建築確認が必要になることがあります。どこから手をつければよいか迷ったら、家じまいの無料相談(別ウィンドウで開きます)で、全体の進め方から確認してみてください。

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参考資料

  1. [1] 令和6年空き家所有者実態調査結果 / 国土交通省住宅局 / 2025-08

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001907491.pdf

    根拠: 今後5年程度、空き家として所有しておく意向の世帯が挙げた理由(複数回答)のうち、「再建築不可(道路付けの悪さなど)」は6.9%、今後5年程度に賃貸または売却する意向の世帯が挙げた課題(複数回答)のうち、「再建築不可(道路付けの悪さなど)」は7.6%、今後5年程度、空き家として所有しておく意向の世帯が挙げた、取り壊さない理由(複数回答)のうち、「さら地にしても使い道がない」は34.8%

  2. [2] 建築基準法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201

    根拠: 建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない(第43条第1項)、道路は原則として幅員4メートル以上のもの。幅員4メートル未満でも、特定行政庁が指定した道は2項道路として道路とみなされる(第42条)、特定行政庁が認めた場合や許可した場合は接道義務を適用しない(第43条第2項)、2階建て以上または延べ面積200平方メートル超の建築物の大規模の修繕・模様替は建築確認が必要(第6条第1項第2号)、大規模の修繕は主要構造部の一種以上について行う過半の修繕(第2条第14号)

  3. [3] 接道規制のあり方について(資料3) / 国土交通省住宅局市街地建築課

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001894185.pdf

    根拠: 接道義務は、都市計画区域内で建築物を建築する場合の決まりとして説明されている、2項道路は基準時の中心線から両側2mの部分が道路とみなされ、建替え等の際は門や塀を含めセットバックが必要、第43条第2項の特例の実績は、令和5年度に認定が1,232件、許可が6,579件、接道義務を満たさない敷地は原則として建築不可

  4. [4] 建築基準法の道路について / 横浜市 / 2025-07-15

    原典URL: https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/tetsuduki/doro/doro.html

    根拠: 横浜市では、建築基準法上の道路の種別は指定道路図で確認するよう案内していて、電話での問い合わせは受け付けていない

  5. [5] 土地に対する課税のしくみ / 柏市

    原典URL: https://www.city.kashiwa.lg.jp/shisanzei/zeikin/kotei/toti/shikumi.html

    根拠: 土地の状況や特例適用の変更があった場合の負担調整の扱いにより、住宅用地特例が外れた土地は、初年度から税額が大きく増えることがある

  6. [6] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 2024年4月1日から相続登記の申請が義務化された

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部