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コラム一覧/定年後に実家を売却するベストタイミングとは?退職前後で考える判断基準
退職金の書類や家の鍵、実家の将来を考える定年後の暮らしのイメージ

公開:2026-07-23更新:2026-07-28

定年後に実家を売却するベストタイミングとは?退職前後で考える判断基準

定年退職を控えて実家の売却時期に迷う方へ。退職金の使い道、年金生活に入る前後の資金計画、確定申告のタイミングなど「定年」特有の論点をふまえ、在職中・退職直後・年金生活が落ち着いてからの3段階で判断のポイントを整理します。

1定年退職と実家の処分、同じ時期に重なっていませんか

「あと数年で定年」「実家をそろそろどうにかしないと」——この二つの悩みが同時に押し寄せてくる方は少なくありません。定年退職は、収入や生活リズムが大きく変わる数少ない節目であり、退職金の受け取り、年金受給の開始、再雇用の有無など、家計に関わる出来事が集中する時期でもあります。実家の売却をこの節目に合わせて考えることには、退職金という資金の使い道が明確になる、平日にも時間の余裕ができて手続きに動きやすくなるといった利点がある一方、退職前後で所得の状況が変わるため、確定申告や翌年度の住民税への影響を考えておく必要もあります。総務省「住宅・土地統計調査(2023年)」によれば、全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%と過去最多を記録しており[1]、実家を空き家のまま持ち続けている世帯は珍しくありません。この記事では、定年退職という具体的なライフイベントを起点に、①在職中(定年前)、②退職直後、③年金生活が落ち着いてから、という3つの段階でどのように実家売却のタイミングを判断すればよいかを整理します。

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260歳以上の約3割が住み替えを意識している

60歳以上の人のうち、住み替えの意向がある(状況次第で将来的に検討したい人を含む)と回答した割合は約3割にのぼります。住み替えを考える理由としては、健康・体力面での不安や、現在の住宅の住みづらさ、交通や買い物の不便さといった利便性の課題が上位に挙がっています。

3なぜ「定年前後」に実家売却を考える人が増えるのか

定年退職の時期に実家の処分を考える背景には、いくつかの事情が重なっています。まず、高年齢者雇用安定法により、定年が65歳未満の事業主には「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかによる65歳までの雇用確保措置が義務付けられており[2]、継続雇用や再雇用制度を利用して働き続ける人が増えています。その結果、現役時代の終わりと親の高齢化・介護のタイミングが以前より近づきやすくなっています。また、退職金というまとまった資金が入るタイミングは、解体費用や諸費用に充てるかどうかを考える一つの区切りにもなります。加えて、内閣府の調査でも60歳前後の世代で住み替えを意識する人が一定数いることが示されており、実家の売却は「親の家をどうするか」だけでなく「自分自身のこれからの住まい方」を考え直す機会にもなっています。一方で、在職中は平日の役所対応や内覧対応に時間を割きにくく、退職直後は退職金の受け取りと売却益が同じ年に重なることで翌年度の税負担に影響する可能性もあるため、どのタイミングにもメリットと注意点があります。

4退職前後 3つのタイミング別の特徴

タイミングメリット注意点
在職中(定年前)給与収入があるうちに準備を進められ、当面の生活資金への影響を抑えやすい/親や自身の判断能力があるうちに手続きを主導しやすい平日の役所・金融機関対応や現地確認の時間を確保しにくい場合がある
退職直後(退職金受け取り後)時間の余裕ができ、内覧対応や役所手続きに動きやすい/退職金の使い道の一つとして解体費用や諸費用への充当を検討しやすい退職金の受け取りと売却益が同じ年に重なると、翌年度の住民税や社会保険料の算定に影響する可能性がある(専門家に確認が必要)
年金生活が落ち着いてから年金を含めた収入の見通しが立ってから、無理のない資金計画で判断できる先延ばしにする分、建物の老朽化が進んだり、親の相続が発生したりと状況が変わるリスクがある

※ 最適なタイミングは家族構成・資産状況・親の状態により異なります。税金・年金への影響は個別事情によって変わるため、税理士や年金事務所など専門家への確認をおすすめします。

出典:内閣府 令和6年版高齢社会白書(高齢期における住み替えに関する意識調査)を参照し、退職前後の一般的な特徴を編集部がまとめた比較表

5売却だけでなく、実家の選択肢を広く整理する

実家の今後を考えるとき、選択肢は「売却」だけではありません。①仲介での売却:時間をかけて希望に近い価格を目指せますが、古い建物では買い手が見つかりにくいこともあります。②古家付きのまま、または解体して更地での売却:建物の状態によっては解体した方が買い手を見つけやすい場合があります。③賃貸として活用:立地によっては貸家として収益化できますが、修繕や管理の手間が続きます。④空き家バンクへの登録:自治体によっては移住希望者とのマッチングを支援する制度があります。⑤当面は維持し、方針を先送りする:固定資産税や管理の手間は続くため、いつまで維持するかの見通しを持っておくことが大切です。どの選択肢が合うかは、建物の状態、親族の意向、そして退職前後の資金計画によって変わります。まずは複数の選択肢を比較できる状態にしておくことが、後悔しない判断につながります。

6クラッソーネで実家の売却・解体をまとめて相談する

実家の処分は、売却・解体・買取のどれが自分たちに合うのか、一人で比較検討するのは負担が大きいものです。クラッソーネでは、解体工事の実績とワンストップ支援を活かし、売却・解体・買取といった選択肢を横断して相談できる窓口を用意しています。定年前後で時間の使い方が変わるタイミングだからこそ、まずは概算費用や進め方を確認し、退職金の使い道や資金計画に無理がないかを整理することから始めるのがおすすめです。LINE公式アカウントに登録しておくと、進め方に迷ったときに気軽に質問しやすくなります。

7定年前後で実家を売却する際の費用・手順・注意点

実家の売却を具体的に進める際は、次の流れで確認するとスムーズです。

①名義・権利関係の確認:登記簿謄本で名義人を確認します。相続済みで共有名義になっている場合は、共有者全員の合意形成が必要です。

②複数社からの概算査定:売却・解体・買取それぞれの概算費用と想定期間を比較します。建物の状態によっては解体した方が有利な場合もあります。

③資金計画の整理:退職金の受け取り時期と売却代金の入金時期が近い場合、当面の生活資金と長期的な資産配分のバランスを見直しておきます。

④契約・引き渡し:仲介・買取いずれの場合も、契約不適合責任の範囲や免責の条件は契約書で必ず確認します。

⑤確定申告:不動産を売却して譲渡益が出た場合は、原則として翌年2月16日から3月15日の確定申告期間内に申告が必要です[3](確定申告書等作成コーナーやe-Taxでの作成・提出も可能です)。相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たすと譲渡所得の特別控除を受けられる特例があります[4]。控除の上限は3,000万円ですが、耐震性や売却時期などの適用要件が細かく定められているため、対象になるかどうかは税理士など専門家に確認することをおすすめします。

また、退職金や年金の受給と不動産の売却益が同じ年に重なると、翌年度の住民税や国民健康保険料の算定に影響することがあります。具体的な影響は世帯の状況によって異なるため、断定はできませんが、事前に市区町村の窓口や税理士へ相談しておくと、思わぬ負担増に慌てずに済みます。

8よくある質問

Q1定年前と定年後、どちらが実家を売却しやすいですか?
A

一概には言えません。在職中は資金面の余力を保ちながら準備できる一方、平日の対応時間が限られます。退職後は時間の余裕ができますが、退職金と売却益が重なる年の税負担には注意が必要です。ご自身の状況に合わせて、専門家にも相談しながら判断することをおすすめします。

Q2退職金を実家の解体費用や諸費用に充てても良いですか?
A

選択肢の一つとして検討する方はいますが、退職金は今後の生活資金でもあります。解体や売却にかかる概算費用を先に確認したうえで、生活資金と切り分けて計画することをおすすめします。

Q3実家の売却益と退職金が同じ年にあると、税金はどうなりますか?
A

所得の種類や金額によって扱いが異なり、翌年度の住民税や社会保険料に影響する可能性があります。具体的な税額の試算は税理士等の専門家に確認することをおすすめします。

Q4年金を受け取りながら実家を売却すると、年金額に影響しますか?
A

不動産の譲渡所得と公的年金の扱いは制度上異なりますが、在職中の給与収入がある場合の年金の扱いなど、個別の制度確認が必要な論点もあります。心配な場合は年金事務所や日本年金機構の窓口で確認してください。

Q5確定申告はいつまでに行えばよいですか?
A

所得税の確定申告期間は原則として翌年2月16日から3月15日です[3]。不動産の売却で譲渡益が出た場合はこの期間内に申告が必要になるため、余裕をもって書類を準備しておきましょう。

Q6親がまだ実家に住んでいる場合、定年前から準備を進めてよいですか?
A

可能です。ただし処分ありきで進めるのではなく、親の意向を確認しながら「将来どうしたいか」を家族で共有することから始めるとよいでしょう。定年後に慌てないためにも、方針の擦り合わせだけでも早めに行っておくと安心です。

Q7定年前後に相続した実家を買取してもらう手続きは?
A

相続登記を済ませたうえで[5]、買取業者に査定を依頼します。提示条件に納得できれば売買契約・引き渡しという流れで、退職前後の忙しい時期でも仲介より短期間で手続きを終えやすいのが特徴です。税務の取り扱いは税理士に確認することをお勧めします。

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10まとめ:退職前後の3段階で、無理のないタイミングを選ぶ

定年後に実家を売却するベストなタイミングは一つに決まっているわけではなく、①在職中、②退職直後、③年金生活が落ち着いてから、のそれぞれにメリットと注意点があります。

  • 全国の空き家は900万戸・空き家率13.8%と過去最多(総務省2023年)[1]
  • 60歳以上で住み替えを意識する人は約3割(内閣府 令和6年版高齢社会白書)[6]
  • 相続した実家の売却では、一定の要件を満たすと譲渡所得の特別控除を受けられる特例がある(国税庁)[4]。控除の上限は3,000万円です。
  • 確定申告は原則翌年2月16日から3月15日(国税庁)[3]

これらを踏まえると、大切なのは「退職金の使い道」「翌年度の税負担」「親や家族の意向」を早めに整理し、自分たちの資金計画に無理のない時期を選ぶことです。まずは複数の選択肢の概算費用を比較するところから始めてみてください。

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参考資料

  1. [1] 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 2023年の全国の空き家数は900万戸、空き家率は過去最多の13.8%

  2. [2] 高年齢者の雇用 / 厚生労働省

    原典URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page09_00001.html

    根拠: 高年齢者雇用安定法により、定年が65歳未満の事業主には65歳までの雇用確保措置(定年の引き上げ・継続雇用制度の導入・定年制の廃止のいずれか)が義務付けられている

  3. [3] No.2020 確定申告 / 国税庁 / 2025-04-01

    原典URL: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm

    根拠: 所得税の確定申告期間は原則として翌年2月16日から3月15日で、確定申告書等作成コーナーやe-Taxで作成・提出できる

  4. [4] No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 / 国税庁 / 2025-04-01

    原典URL: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

    根拠: 被相続人の居住用財産(空き家)を売却し、要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例がある

  5. [6] 令和6年版高齢社会白書(高齢期における住み替えに関する意識調査) / 内閣府 / 2024-06-21

    原典URL: https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/html/zenbun/s1_3_2.html

    根拠: 60歳以上で住み替えの意向がある(状況次第で将来的に検討したい人を含む)と回答した割合は約3割、住み替えを考える理由は、健康・体力面の不安や現在の住宅の住みづらさが上位に挙がる

  6. [5] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 相続登記は2024年4月1日から義務化された

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部