1仏壇の行き先、まず決めたいこと
実家の片付けを進めていくと、最後まで決まらずに残るものの一つが仏壇です。国土交通省の実態調査では、今後5年程度、空き家として所有しておく意向の世帯(約32万3千世帯)のうち、その理由に「仏壇など他に保管場所がないものがある」を挙げた世帯が21.6%ありました(複数回答)[1]。仏壇など、ほかに保管場所のない家財の存在が、空き家を所有し続ける理由の一つになっています。
仏壇は、ふつうの家財と違い、気持ちの面でも宗教の面でも扱いに迷うものです。そのため、まず家族で意向を確かめ、菩提寺があれば相談し、そのうえで「引き継ぐ」「寺院や仏壇店に相談する」「自治体で処分する」「業者に依頼する」のどれにするかを選びます。この記事では、仏壇の行き先を決める順番と、処分方法ごとの注意点、家じまい全体の中で仏壇をいつ決めるかを、公的な資料をもとに整理します。宗教上の作法は宗派や寺院によって違うため、ここでは決まった正解を示さず、相談先と確認の進め方を中心に解説します。
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仏壇の行き先から、片付け・売却・解体の順番まで、一緒に整理しましょう。
2仏壇のことで家じまいが止まる前に、先に決めておきたいこと
家族の中で、誰が引き継ぐかを先に話す
仏壇は、実家を手放したあとも、誰かが手元で守るのか、区切りをつけて手放すのかを、家族で決める必要があります。名義や費用のことより先に、「誰かが引き継ぐ意思があるか」を確かめましょう。兄弟姉妹や親族がいる場合は、一人で決めて処分すると、あとから気持ちの行き違いが起きることがあります。実家の処分全体で意見が分かれやすい点は、兄弟で実家の処分がもめるときの進め方でも解説しています。
菩提寺と宗派を確かめる
菩提寺(先祖の供養をお願いしている寺院)がある場合は、仏壇のことを決める前に、まず相談しましょう。仏壇を処分するときに、僧侶に読経してもらう「閉眼供養」(「魂抜き」「お性根抜き」などとも呼ばれます)を行う方もいます。これは宗教上の儀式で、行うかどうか、どのように行うか、費用をどうするかは、宗派や寺院、家の考え方によって違います。菩提寺がわからない場合は、親族に聞くか、お墓や過去帳、法要の案内などから手がかりを探します。
仏壇の中のものは、本体と分けて考える
仏壇には、本体のほかに、位牌や仏具、遺影などが入っていることがあります。仏壇本体と、中のものでは、扱いを分けて考えるのが基本です。位牌の扱いも、菩提寺や仏壇店に相談しましょう。手元に残すもの、供養をお願いするもの、処分するものを、あらかじめ家族で分けておくと、遺品整理の業者に依頼するときにも、処分してはいけないものを取り違えずに済みます。

3仏壇の行き先:引き継ぐ・寺院や仏壇店に相談・自治体で処分・業者に依頼の比較
| 選択肢 | 向いている状況 | 必要なこと | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 家族が引き継ぐ・手元で守る | 親族に、引き継ぎたい人がいる。仏壇を手放すことに気持ちの整理がつかない | 引き継ぐ人と置き場所の確認。運び出しの方法の相談 | 家の事情で引き取れない場合がある。引き取り前に、親族の同意を確かめる |
| 寺院・仏壇店に相談する | 供養をしたうえで手放したい。菩提寺がある。自分で処分の方法を決めにくい | 菩提寺や、仏壇を扱う店への相談。供養や引き取りの方法・費用の確認 | 方法や費用は、寺院や店によって違う。事前に内容と金額を書面や口頭で確かめる |
| 自治体のごみとして処分する | 仏壇が小さく、解体や運び出しができる。費用を抑えたい | 自治体のごみの分別・出し方の確認。必要な場合は、解体や装飾品の取り外し | 自治体によって、粗大ごみで出せる、解体が必要、収集していない、と扱いが分かれる |
| 遺品整理の業者に依頼する | 実家が遠い、量が多いなど、家族だけでは進めにくい | 作業範囲、費用の内訳、仏壇や位牌の扱いを事前に確かめる。許可の有無の確認 | 処分する物と残す物を先に分けておく。無許可の回収業者は利用しない |
選択肢の整理(向いている状況・必要なこと)は編集部によるものです。公的資料が根拠になっているのは、自治体によって仏壇の扱いが違うこと、家庭の廃棄物は市区町村が案内するルールで処分する必要があり、その回収を業者に頼むときに無許可の回収業者は利用できないこと、遺品整理サービスで見積もりや作業内容の確認が必要なことです。供養の要否や方法は、宗派や寺院によって違います。
出典:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」を基に編集部作成(東大阪市・明石市・東久留米市のごみの案内、国民生活センターの資料も使用。これらのURLは本文と参考資料を参照)
4処分・引き取りの方法ごとの考え方
自治体で処分する:仏壇の扱いは自治体で違う
仏壇を自治体のごみとして出せるかどうかは、自治体によって違います。たとえば東大阪市では、仏壇を大型ごみとして扱い、原型がわからないように解体して出すよう求め、解体できない場合は宗派の寺院、神社、仏壇店に相談するよう案内しています[2]。明石市では、仏壇は「収集できません」とされ、販売店または明石クリーンセンターに相談するよう案内しています[3]。東久留米市では、令和3年6月1日から、装飾品等を取り除いた木製の仏壇と神棚を、粗大ごみとして収集できるようになりました[4]。
このように、同じ仏壇でも、お住まいの自治体や時期によって扱いが変わります。実家のある市区町村の「ごみ分別検索」や、粗大ごみの受付窓口で、仏壇の扱いを確認してから進めましょう。解体や装飾品の取り外しが必要なことがあるため、自分で運び出せるか、手間と時間も考えておきます。
寺院・仏壇店に相談する:供養と引き取りをまとめて頼める場合がある
自治体で収集していない場合や、供養をしたうえで手放したい場合は、菩提寺や、仏壇を扱う店に相談します。自治体の案内でも、解体できない仏壇は寺院や仏壇店への相談が挙げられています[2]。供養や引き取りの方法、費用は寺院や店によって違います。金額や内容は事前に確かめ、納得してから依頼しましょう。
業者に依頼する:許可と見積もりの内容を確かめる
家財の片付けとあわせて、遺品整理の業者に仏壇の処分を頼む方法もあります。環境省は、ご家庭のごみは市区町村の責任の下で適正に処理する必要があり、市区町村の許可や委託を受けずに回収業者が家庭のごみを収集することは認められていないとして、無許可の回収業者を利用しないよう呼びかけています[5]。また、産業廃棄物処理業や古物商の許可では、家庭の廃棄物を回収できません[5]。処分する家庭のごみの回収を頼む場合は、市区町村の許可や委託を受けているかを確かめ、遺品整理の依頼先と、実際に回収する業者が違うときは、回収する業者についても確認しましょう。あわせて、仏壇をどう扱うかも確かめます。
国民生活センターには、遺品整理サービスについて、料金の追加請求やキャンセル料、処分しないはずの遺品の処分などの相談が寄せられています[6]。同センターは、複数の事業者から見積もりを取り、作業内容と費用の内訳を確認すること、残す遺品と処分する遺品をあらかじめはっきり分けておくことを勧めています[6]。見積もりの見方は、遺品整理の見積もりの注意点で、費用の目安は、遺品整理の費用相場で解説しています。
5家じまいの流れの中で、仏壇をいつ決めるか
売却や解体の前に、仏壇の行き先を決めておく
仏壇の行き先が決まらないまま、家の売却や解体の話を進めると、引き渡しや着工の直前になって慌てることがあります。家を手放す時期から逆算して、「いつまでに仏壇をどうするか」を先に決めておきましょう。解体では、家の中に残った物を誰がどう処分するかを決めておく必要があります。残置物の扱いは、解体工事で残置物をそのままにするとどうなるかで解説しています。
売却の場合、建物の中に家財が残ったままの状態で相談できる買取業者もあります。仏壇のような扱いに迷う物があるときは、査定を頼む段階で、そのことを伝えておきましょう。現状のまま引き渡す場合の注意点は、空き家をそのまま買取してもらう現状渡しの注意点で整理しています。
親族には、決めたことだけでなく、決める過程も伝える
仏壇は、親族それぞれに思い入れがあるものです。処分すると決めたあとで伝えるより、「どうするか考えている」段階で声をかけ、意見を聞いておくと、気持ちの行き違いを防ぎやすくなります。遠方に住む親族がいる場合は、写真を送って状態を共有し、手元に残したいものがないかを聞いておきましょう。
迷うときは、実家全体の進め方から整理する
仏壇だけを先に決めようとして、行き詰まることもあります。その場合は、家の売却・解体・管理のどれにするかという全体の方針から整理すると、仏壇をいつまでに決めればよいかが見えてきます。実家が空き家になったときの最初の動き方は、実家が空き家になったときの最初の30日でやることで解説しています。
6よくある質問
Q1仏壇を処分するとき、魂抜き(閉眼供養)は必要ですか?
閉眼供養は宗教上の儀式で、行うかどうか、どのように行うかは、宗派や寺院、家の考え方によって違います。菩提寺がある場合は、まず相談しましょう。自治体のごみとして出す場合の扱いは、自治体ごとに違うため、案内を確認してください[2]。
Q2仏壇は粗大ごみで出せますか?
Q3仏壇の処分には、いくらかかりますか?
方法によって大きく違い、一律の金額はありません。自治体のごみとして出す場合の手数料は自治体ごとに決まっています。寺院や仏壇店、業者に頼む場合は、内容と金額が違うため、事前に確かめて、複数の相手に比べましょう。
Q4不用品回収の業者に、仏壇を頼んでも大丈夫ですか?
家庭の廃棄物の回収を業者に依頼する場合は、市区町村の許可や委託を受けている業者か確認する必要があります。環境省は、無許可の回収業者を利用しないよう呼びかけています[5]。依頼する前に、許可を確認し、仏壇をどう扱うかも確かめましょう。
Q5家を売るときや解体するときは、仏壇を先に片付けておく必要がありますか?
引き渡しや解体の前に、仏壇を含めた家財の扱いを決めておく必要があります。買取では、家財が残った状態で相談できる業者もありますが、条件は業者によって違うため、査定の段階で伝えておきましょう。
Q6相続した空き家を買取してもらう手続きは?
一般的には、相続登記で名義を相続人に変えたうえで、買取業者に査定を依頼し、条件に納得できれば契約して引き渡します。相続登記は2024年4月1日から義務になっています[7]。仏壇などの家財が残っている場合は、そのことも査定のときに伝えておきましょう。
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8まとめ:仏壇は、家族の意向と菩提寺への相談から
家じまいで仏壇を決めるときは、まず家族で、誰が引き継ぐかを確かめ、菩提寺があれば相談します。そのうえで、「引き継ぐ」「寺院や仏壇店に相談する」「自治体で処分する」「業者に依頼する」のどれにするかを選びます。自治体のごみとしての扱いは、東大阪市・明石市・東久留米市のように、自治体によって違います。業者に頼む場合は、許可の有無と見積もりの内容を確かめましょう。
仏壇の行き先は、家を売る・解体する時期から逆算して、早めに決めておくと、あとの段取りが楽になります。どこから手をつければよいか迷ったら、家じまいの無料相談(別ウィンドウで開きます)で、全体の進め方から確認してみてください。








