1解体を依頼する前に、残置物をどうするか決めていますか
結論から言うと、残置物(家財・家電・不用品など)の処理責任は、解体で生じる廃材とは違い、基本的に建築物の所有者等(施主)に残るとされています[1]。解体業者に処分をまとめて依頼すること自体は珍しくありませんが、見積もりに含まれていなければ追加費用が生じる場合がありますし、処分の仕方次第では法的なリスクにもつながりかねません。
実家の解体を控えた方から「荷物が多すぎて片付けが終わらない」「体力的に運び出しが難しい」「時間がなくまとめて業者に任せたい」という声をよく聞きます。遠方に住んでいて訪問回数が限られる場合や、高齢の親に代わって手続きを進める場合は特に、「解体と一緒に処分してもらえないか」と考えるのは自然な流れです。
本記事では、残置物を残したまま解体を依頼する場合に確認しておきたい処理責任の所在、注意すべき法的なリスク、費用の目安、見積もり時に確認したいポイントを整理します。
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2解体で出る廃材と残置物、処理責任は同じではない
| 区分 | 内容 | 処理責任 |
|---|---|---|
| 解体工事で生じる廃材 | コンクリートがら・木くずなど、建物の取り壊しで生じる廃棄物 | 解体工事を請け負った元請業者 |
| 残置物 | 家具・家電・衣類・不用品など、施主が片付けずに残した家財 | 建築物の所有者等(施主) |
※ 元請業者は、解体で生じる廃材の排出事業者にはなれても、施主が残した残置物の排出事業者にはなれないとされています。実家など個人が所有する住宅の残置物は一般廃棄物に該当するのが基本で、店舗・事務所等の事業用建物では種類・性状により一般廃棄物・産業廃棄物のいずれかに分かれます。
出典:環境省「建築物の解体時等における残置物の取扱いについて」(2018年6月22日付通知)を基に編集部作成
3残置物を放置すると法的なリスクにつながることがある
廃棄物処理法が定める投棄禁止と罰則
廃棄物処理法第16条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めています[2]。この規定に違反した場合、第25条第1項第14号により、行為者には5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります[2]。法人の代表者や従業員等が、法人の業務に関してこの違反行為をした場合には、第32条第1項第1号により、行為者に加えて法人にも3億円以下の罰金が科される可能性があります[2]。
残置物を残していることと不法投棄は別の問題
残置物が家の中に残っているという事情だけで、この罰則が直ちに適用されるわけではありません。所有者に刑事責任が生じるかどうかは、実際にどのような行為・関与があったかによって個別に判断されます。ただし、残置物の処理責任は建築物の所有者等にあるとされているため[1]、処分を業者に依頼する場合も、適正なルートで処理されているかを確認しておくことが望ましいといえます。
一般廃棄物と産業廃棄物で処理のルートが異なる
実家など個人が所有する住宅の残置物は、一般廃棄物として扱われるのが基本です。一方、店舗・事務所など事業用の建物の場合は、残置物の種類や性状によって一般廃棄物と産業廃棄物のどちらかに分かれます。産業廃棄物処理業の許可は産業廃棄物を対象とした許可であり、一般廃棄物に該当する残置物の処分まではカバーできない点に注意が必要です[1]。
4残置物撤去費用の目安
| 建物・間取り | 残置物撤去費用の目安 |
|---|---|
| 一戸建て | 20万円〜50万円程度(残置物が大量の場合は50万円〜60万円以上になることも) |
| マンション・アパート(1R・1K) | 3万円〜8万円程度(税別) |
| マンション・アパート(1DK・1LDK) | 5万円〜12万円程度(税別) |
| マンション・アパート(2DK・2LDK) | 8万円〜18万円程度(税別) |
| マンション・アパート(3DK・3LDK) | 15万円〜30万円程度(税別) |
※ 上記は残置物撤去のみを単体で依頼した場合の費用目安です(一戸建ての金額は税込・税別の別が明記されていません)。解体工事の見積もりに残置物撤去費用が含まれているか、別途請求されるかは業者によって異なるため、見積もり時に内訳を必ず確認してください。
出典:株式会社クラッソーネ「残置物撤去の費用は?」を基に編集部作成
5解体と残置物処分をまとめて依頼するときに確認したいポイント
残置物の処分費用が解体費用に含まれているか、別途請求されるのかを見積もり段階で明確にしておくことをお勧めします。荷物の量や種類(家電・危険物の有無など)を業者に伝えたうえで、書面で内訳を確認しておくと、後から想定外の追加請求を受けるリスクを減らせます。解体費用の全体像を先に把握しておきたい場合は、解体費用シミュレーター(別ウィンドウで開きます)で概算を確認する方法もあります。
一般家庭の残置物は自治体のルールに沿って処理する
実家など個人が所有する住宅の残置物は、一般廃棄物として扱われるのが基本です。自治体のごみ収集ルールに沿って自分で搬出するか、市区町村の許可を受けた一般廃棄物処理業者に処分を依頼する方法があります。解体業者が残置物の処分まで対応する場合も、実際に収集・運搬・処分を担う先が、自治体のルールに沿った適正な処理体制を備えているかを確認しておくと安心です。
家電(テレビ・冷蔵庫など)は家電リサイクル法の対象
エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)の家電4品目は、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)に基づき、収集運搬料金とリサイクル料金を負担して処分する仕組みになっています[3]。解体業者がそのまま引き取れない場合もあるため、対象品目が残っている場合は事前に業者に伝えて対応可否を確認しましょう。
産業廃棄物に該当する場合は排出事業者としてマニフェストを確認する
店舗・事務所等の事業用建物の残置物で、産業廃棄物に該当するものがある場合、その排出事業者は元請業者ではなく建築物の所有者等(施主側)です[1]。産業廃棄物の処理を委託する際は、排出事業者である施主側がマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する義務を負います[2]。委託先が産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可を持っているかを確認したうえで、処分終了後に返送されるマニフェストの写しで適正に処理が完了したことを確認しましょう。無許可の業者や、許可のない協力会社への委託は、適正処理の確認自体ができなくなるおそれがあります。
6よくある質問
Q1残置物を片付けずに解体を依頼すると、追加費用はどのくらいかかりますか?
残置物撤去のみを依頼した場合の費用目安は、一戸建てで20万円〜50万円程度、マンション・アパートは間取り別に税別3万円〜30万円程度とされています[4]。ただし、この金額は残置物撤去単体の相場であり、解体工事と同時に依頼した場合に追加費用が発生するかどうかは、もともとの見積もりに残置物処分が含まれているかによって異なります。見積もり時に内訳を確認することをお勧めします。
Q2残置物の処分を業者に任せれば、施主には責任がなくなるのですか?
そうとは限りません。解体で生じる廃材の処理責任は元請業者にある一方、残置物の処理責任は建築物の所有者等にあるとされています[1]。処分を業者に依頼すること自体は可能ですが、適正な処理体制を備えた業者かどうかを確認しておくと安心です。
Q3残置物をそのまま置いていくと、不法投棄になるのですか?
残置物が家にあるという事情だけで、不法投棄の罰則が直ちに適用されるわけではありません。廃棄物処理法第16条に違反して廃棄物を捨てた場合、第25条第1項第14号により、行為者には5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります[2]。所有者に刑事責任が生じるかどうかは、実際の行為や関与によって個別に判断されます。
Q4家電(テレビ・冷蔵庫など)が残っている場合はどうすればいいですか?
エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)の家電4品目は、家電リサイクル法に基づき、通常の残置物とは別に収集運搬料金・リサイクル料金を負担して処分する仕組みになっています[3]。解体業者がそのまま引き取れない場合もあるため、対象品目が残っている場合は事前に業者に伝えて対応可否を確認しましょう。
Q5解体業者から「まとめて処分しておきます」と言われたら、そのまま任せて大丈夫ですか?
一般家庭の残置物であれば一般廃棄物として扱われるため、自治体のルールに沿った処理体制(市区町村の許可を受けた一般廃棄物処理業者への委託等)を業者が備えているかを確認しておくと安心です。事業用建物などで産業廃棄物に該当する残置物がある場合、排出事業者は施主側であり、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する義務も施主側にあります[2]。委託先の許可の有無に加え、処分終了後に返送されるマニフェストの写しで処理完了を確認しましょう。無許可の業者や許可のない協力会社への処分委託は、適正処理の確認自体ができなくなるおそれがあります。
Q6見積もりの時点で、他に確認しておくべきことはありますか?
残置物の処分費用が解体費用に含まれているか、別途請求されるのかを明確にしておくことをお勧めします。荷物の量や種類(家電・危険物の有無など)を事前に伝え、書面で内訳を確認しておくと、後から想定外の追加請求を受けるリスクを減らせます。
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8まとめ:残置物は「誰が」「どう処分するか」を先に決めておく
解体を依頼する際に残置物を残したままにすること自体は珍しくありませんが、処理責任は基本的に施主側に残ること、残置物の種類によって処理のルートが異なること、処分の仕方次第では法的なリスクにつながりかねないことは、事前に押さえておきたいポイントです。まずは、①残置物の量と種類を把握する、②一般家庭の残置物であれば自治体のルールに沿った処理体制かを確認する、③家電や産業廃棄物に該当するものがあれば専用の手続き・許可の有無を確認する、という順で進めると、後々のトラブルを避けやすくなります。残置物の処分方法に不安がある場合は、解体と合わせて相談できる窓口を早めに活用することをお勧めします。









