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コラム一覧/空き家を放置すると罰金はある?過料がかかる場面と金額、相続した家の手続きの期限
雑草が伸び、雨戸が閉まったままの古い木造の空き家の玄関先と、郵便受けにたまった封書

公開:2026-10-25

空き家を放置すると罰金はある?過料がかかる場面と金額、相続した家の手続きの期限

空き家を放置しただけで罰金を払うことはありません。過料の対象になるのは、特定空家等への命令に従わないとき(50万円以下)や立入調査を拒んだとき、相続登記・住所変更登記・建物滅失登記を怠ったときなどです。過料と罰金の違い、科されるまでの流れ、罰金より重くなりやすい負担まで条文をもとに整理します。

1空き家を放置しただけで「罰金」を払うことはない

「空き家を放置すると罰金がある」と聞いて、不安になって調べている方も多いのではないでしょうか。全国の空き家は2023年に約900万戸あり[1]、実家を相続したものの手が回らないという人は少なくありません。

結論からいうと、空き家を放置しているだけで罰金を払うことはありません。金銭の制裁がかかるのは、市町村から特定空家等として命令を受けたのに従わないときや、市町村の立入調査を拒んだとき、相続登記などの期限のある手続きを怠ったときです。しかも、法律上は刑罰の「罰金」ではなく「過料」です[2]。

この記事では、空き家に関わる過料がどの場面で、いくらまでかかるのかを一覧にし、過料が科されるまでの流れと、過料より重くなりやすい負担を、条文と国の資料をもとに整理します。

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2過料がかかるのは「命令に従わない」ときなど限られた場面

「罰金」と「過料」は別のもの

罰金は、刑法などにもとづいて科される刑罰です。これに対して過料は、行政上の秩序を保つために科される金銭の制裁で、刑罰ではなく、刑法の総則や刑事訴訟法も適用されません[3]。空き家に関わる金銭の制裁は、この記事で紹介するものはすべて過料です。

特定空家等への命令に従わないと、50万円以下の過料

倒壊のおそれなどがある空き家は、市町村から「特定空家等」と判断され、まず助言・指導、改善されなければ勧告を受けます。勧告に正当な理由なく従わず、市町村が特に必要と認めると、期限を付けて改善を命じられます[2]。この命令に違反したときに、50万円以下の過料の対象になります[2]。特定空家等に指定されただけ、指導や勧告を受けただけでは、過料はかかりません。

市町村の調査を拒むと、20万円以下の過料

市町村は、特定空家等への措置のために必要な範囲で、所有者に報告を求めたり、職員を空き家に立ち入らせて調査したりできます。報告をしない、うその報告をする、立入調査を拒んだり妨げたりすると、20万円以下の過料の対象になります[2]。通知が届いたら放っておかず、日程の相談も含めて市町村に連絡しましょう。

3特定空家等への措置の件数(2015〜2024年度の累計)

  • 助言・指導42768 件
  • 勧告4153 件
  • 命令551 件
  • 行政代執行286 件

平成27年度(2015年度)〜令和6年度(2024年度)の、措置ごとの累計件数です。同じ空き家がどの段階まで進んだかを追った数字ではありません。過年度分の件数は、市区町村からの報告で修正されることがあります。

出典:国土交通省・総務省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について(令和7年3月31日時点)」を基に編集部作成

4空き家に関わる主な過料の一覧

場面過料がかかるきっかけ上限根拠
特定空家等への命令勧告に従わず命令を受け、命令に違反したとき50万円以下空家法 第22条第3項・第30条第1項
市町村の調査報告をしない・うその報告をした、立入調査を拒んだ・妨げたとき20万円以下空家法 第9条第2項・第30条第2項
相続登記相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請しないとき(2024年4月から義務)10万円以下不動産登記法 第76条の2・第164条第1項
住所・氏名の変更登記登記の名義人の住所・氏名が変わってから2年以内に申請しないとき(2026年4月から義務)5万円以下不動産登記法 第76条の5・第164条第2項
建物滅失登記建物を取り壊してから1か月以内に申請しないとき10万円以下不動産登記法 第57条・第164条第1項
浄化槽の届出浄化槽の使用を廃止した・休止から再開したのに、30日以内に届け出ないとき5万円以下浄化槽法 第11条の2・第11条の3・第68条

金額は上限で、実際の額は裁判所が決めます。登記の申請義務は、正当な理由がある場合は過料の対象になりません。条文は2026年10月時点のe-Gov法令検索で確認しています。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法・不動産登記法・浄化槽法(e-Gov法令検索)を基に編集部作成

5相続した空き家は「手続きの放置」にも過料がある

相続登記は、相続を知った日から3年以内

相続で家や土地を取得した人は、相続の開始と取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります[4]。この義務は2024年4月1日に始まりました[5]。それより前に相続した不動産も対象です。2024年4月1日より前に相続で取得したことを知っていた不動産で、まだ登記していないものは、2027年3月31日までに登記する必要があります(取得を知ったのが2024年4月1日以降なら、その日から3年以内)[5]。期限や手続きは、空き家の相続登記義務化にどう対応する?期限・過料・手続きを解説で詳しく整理しています。

住所や氏名が変わったら、2年以内に変更の登記

2026年4月1日からは、登記の名義人の住所や氏名が変わったときも、2年以内に変更の登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象になります[4]。2026年4月より前に住所が変わっていて登記を直していない場合は、2028年3月31日までに変更の登記をする必要があります[6]。実家を相続したあとに引っ越す場合も、忘れないようにしましょう。

解体・浄化槽の手続きにも期限がある

空き家を解体したら、取り壊してから1か月以内に建物滅失登記を申請する義務があり、怠ると10万円以下の過料の対象です[4]。申請の方法や、名義人が亡くなっている家の場合の書類は、建物滅失登記とは|解体後1か月以内の手続き、亡くなった親名義の家と固定資産税の関係で解説しています。浄化槽のある家では、使用を廃止したら30日以内の届出が必要で、届け出ないと5万円以下の過料の対象になります[7]。浄化槽の手続きは、空き家の浄化槽はどうする?撤去か休止かの判断と、使わない間の義務・手続きで解説しています。

6過料はいきなり科されるわけではない

特定空家等には助言・指導、勧告、命令の順に措置が進み、勧告で住宅用地特例が外れ、命令に従わないときに過料の対象や行政代執行になることを表した図

命令違反の過料は、指導・勧告・命令の段階を踏む

特定空家等への命令違反に対する50万円以下の過料は、助言・指導、勧告、命令という段階を踏んだあとで、命令に違反したときが対象です。市町村の報告の求めや立入調査を拒んだときの20万円以下の過料は、これとは別に定められています[2]。国土交通省・総務省の調査では、2015年度から2024年度までの累計で、特定空家等への助言・指導が42,768件だったのに対し、命令は551件でした[8]。命令の件数は、助言・指導の件数より大幅に少なくなっています。ただし、この件数の比較だけでは、それぞれの空き家がどの段階で改善されたかまでは分かりません。

命令の前には、意見を伝える機会がある

市町村は、命令を出す前に、命じようとする内容と理由を書いた通知書を所有者に渡し、意見書や有利な証拠を出す機会を与えなければなりません[2]。遠方に住んでいてすぐに対応できない、相続人どうしで話し合っている途中といった事情があれば、この段階までに市町村に伝え、改善の予定を相談しましょう。

登記の過料は、催告を受けても登記しないときに

相続登記や住所の変更登記の過料は、登記官が義務違反を把握するといきなり科されるのではなく、まず登記をするよう催告します。期限までに登記がされなければ、登記官が裁判所に通知し、裁判所が過料を科すかどうかと金額を決めます[9][6]。正当な理由があれば過料の対象にはなりません[4]。

7罰金より重くなりやすい、放置のほかの負担

勧告を受けると、固定資産税の軽減が外れる

特定空家等として勧告を受けると、その土地は、住宅が建つ土地の固定資産税を軽くする「住宅用地特例」の対象から外れます[10]。過料のかからない勧告の段階で、毎年の税負担が増える可能性がある点に注意が必要です。特例の仕組みと外れたときの税額の考え方は、空き家と住宅用地特例|解除されると固定資産税はどれくらい増える?で解説しています。

行政代執行の費用は、所有者が負担する

命令に従わない場合、市町村が所有者に代わって解体などを行う行政代執行に進むことがあります[2]。かかった費用は所有者に請求され、払わなければ税金の滞納と同じ方法で徴収されることがあります[11]。解体の費用を自分で払うのと同じか、それ以上の負担になりかねません。詳しくは空き家の行政代執行の費用は誰が払う?で整理しています。

倒壊などで人に損害を与えれば、賠償の責任も

屋根や外壁が落ちて通行人や隣家に損害を与えると、過料とは別に、所有者として損害を賠償する責任を問われることがあります。近隣への影響や責任の範囲は、空き家の近隣トラブルの記事で解説しています。自分の空き家が周りにどれくらい迷惑をかけていそうかは、空き家の迷惑度診断(別ウィンドウで開きます)で確かめられます。

8よくある質問

Q1空き家を放置しているだけで、罰金を払うことはありますか?
A

ありません。空家法で金銭の制裁がかかるのは、特定空家等として命令を受けて違反したとき(50万円以下)と、市町村の報告の求めや立入調査を拒んだとき(20万円以下)で、いずれも刑罰の罰金ではなく過料です[2]。ただし、相続登記などの手続きを期限までにしない場合は、別に過料の対象になります[4]。

Q2過料と罰金は何が違いますか?
A

罰金は刑罰です。過料は、行政上の秩序を保つために科される金銭の制裁で、刑罰ではなく、刑法の総則や刑事訴訟法は適用されません[3]。空家法や不動産登記法で空き家の所有者にかかるのは、過料のほうです。

Q3特定空家等に指定されたら、すぐに過料がかかりますか?
A

指定されただけでは、過料はかかりません。命令違反の過料(50万円以下)は、指定のあと、助言・指導、勧告、命令と段階を踏み、命令に違反したときにはじめて対象になります。ただし、市町村の報告の求めや立入調査を拒むと、これとは別に20万円以下の過料の対象になります[2]。ただし、勧告の段階で固定資産税の住宅用地特例が外れるため[10]、指導を受けた時点で早めに対応することが大切です。

Q4相続登記をしていないと、すぐに10万円を払うことになりますか?
A

いきなり科されるわけではありません。登記官がまず登記をするよう催告し、期限までに登記がされない場合に裁判所へ通知され、裁判所が過料を科すかどうかと金額(10万円以下)を決めます[9]。2024年4月1日より前に相続で取得したことを知っていた不動産は、2027年3月31日までに登記すればよいとされています(取得を知ったのが2024年4月1日以降なら、その日から3年以内)[5]。

Q5遠方に住んでいて、自治体から指導の通知が届きました。どうすればよいですか?
A

まずは通知に書かれた窓口に連絡し、いつまでに何をすればよいかを確認しましょう。命令の前には意見書を出す機会もあります[2]。すぐに解体や修繕ができない場合でも、売却・解体・管理の委託など、改善の予定を伝えることが大切です。

Q6相続した空き家を買取してもらう手続きは?
A

一般的には、相続登記で名義を相続人に変えたうえで、買取業者に査定を依頼し、条件に納得できれば契約して引き渡します。相続登記は2024年4月1日から義務になっています[5]。放置を続けて特定空家等の勧告や命令を受ける前に、手放す方法を検討しておくと選択肢が広がります。

9あわせて読みたい関連記事

10まとめ:過料の前に、勧告と期限を見逃さない

空き家を放置しているだけで罰金を払うことはありません。過料がかかるのは、特定空家等として命令を受けて従わないとき、市町村の調査を拒んだとき、相続登記や住所の変更登記、建物滅失登記などの期限のある手続きを怠ったときです。

一方で、過料のかからない勧告の段階でも、固定資産税の軽減が外れることがあります。命令に従わなければ、行政代執行の費用を請求されることもあります。自治体から通知が届いたら早めに連絡し、相続した家の手続きの期限も確認しておきましょう。どこから手をつければよいか迷ったら、家じまいの相談窓口(別ウィンドウで開きます)で全体の進め方から相談してみてください。

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参考資料

  1. [2] 空家等対策の推進に関する特別措置法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127

    根拠: 市町村長は特定空家等の所有者等に助言・指導(第22条第1項)、勧告(同第2項)を行い、正当な理由なく勧告に従わず特に必要があると認めるときは命令できる(同第3項)。命令の前には意見書を出す機会がある(同第4項)、命令に違反した者は50万円以下の過料(第30条第1項)、市町村長の報告の求めに応じない・虚偽の報告をした者、立入調査を拒み・妨げ・忌避した者は20万円以下の過料(第9条第2項、第30条第2項)、命令に従わないときは行政代執行法に従い代執行できる(第22条第9項)

  2. [8] 空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について(令和7年3月31日時点) / 国土交通省・総務省

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001984996.pdf

    根拠: 平成27年度〜令和6年度の累計で、特定空家等への助言・指導は42,768件、勧告は4,153件、命令は551件、行政代執行は286件(令和7年3月31日時点)

  3. [3] 罰則について(第7回「収容・送還に関する専門部会」資料3) / 出入国在留管理庁(法務省) / 2020-02-17

    原典URL: https://www.moj.go.jp/isa/content/930004796.pdf

    根拠: 秩序罰は行政上の秩序維持のために過料をもって科される金銭罰で、刑罰ではなく、刑法総則・刑事訴訟法の適用はない

  4. [4] 不動産登記法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123

    根拠: 相続により所有権を取得した者は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず(第76条の2)、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料(第164条第1項)、所有権の登記名義人の住所・氏名に変更があったときは2年以内に変更の登記を申請しなければならず(第76条の5)、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料(第164条第2項)、建物が滅失したときは滅失の日から1か月以内に建物の滅失の登記を申請しなければならず(第57条)、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料(第164条第1項)

  5. [9] 相続登記の申請義務化に関するQ&A / 法務省 / 2025-03-27

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html

    根拠: 相続登記の過料は10万円以下の範囲で裁判所が決める。登記官が義務違反を把握すると催告し、期限内に登記がなければ裁判所に通知し、裁判所が過料を科する裁判を行う、相続人が極めて多数で戸籍の収集に時間を要する場合、遺言の有効性などが争われている場合、重病の場合、経済的に困窮している場合などは、一般に正当な理由があると認められる

  6. [5] 相続登記の申請義務化について / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

    根拠: 2024年4月1日から相続登記の申請が義務化された、2024年4月1日より前に相続で取得した不動産は、2027年3月31日まで(取得を知った日が2024年4月以降ならその日から3年以内)に相続登記が必要

  7. [6] 住所等変更登記の義務化に関するQ&A / 法務省

    原典URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00694.html

    根拠: 住所等変更登記の義務化は2026年4月1日からで、変更日から2年以内。2026年4月1日より前の変更で登記していないものは2028年3月31日までに変更登記が必要、過料は裁判所が決める。登記官が義務違反を把握すると催告し、期限内に登記がなければ裁判所に通知する

  8. [7] 浄化槽法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000043

    根拠: 浄化槽の使用を廃止したとき・休止後に再開したときは30日以内に届け出る義務があり、届け出ないと5万円以下の過料(第11条の2第2項、第11条の3、第68条)

  9. [10] 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 / 国土交通省

    原典URL: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html

    根拠: 特定空家等に係る土地について市町村長が勧告をした場合、当該土地は住宅用地に係る固定資産税の課税標準の特例の対象から除外される

  10. [11] 行政代執行法 / e-Gov法令検索

    原典URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000043

    根拠: 代執行に要した費用は義務者から徴収でき(第2条)、国税滞納処分の例により徴収できる(第6条)

  11. [1] 令和5年住宅・土地統計調査 / 総務省統計局 / 2024-04-30

    原典URL: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html

    根拠: 2023年の全国の空き家数は約900万戸

監修・著者情報

空き家先生 川口哲平

愛知県名古屋市出身。現在は鹿児島県屋久島町在住。京都大学農学部卒業後、セキスイハイム中部株式会社で住宅営業に従事し、最優秀営業賞を受賞。2011年に株式会社クラッソーネを創業し、代表取締役CEOに就任。解体工事のDXや空き家問題の解決に取り組むとともに、全国空き家対策コンソーシアム代表理事として、自治体や企業と連携した空き家対策を推進している。

著者:クラッソーネ(別ウィンドウで開きます)編集部