1空き家の庭木・庭石、まず決めたいこと
実家が空き家になると、建物だけでなく、庭の木や石の扱いも決めなければなりません。全国の空き家は2023年に約900万戸あり[1]、管理者がいる空き家では、管理の内容として「外回りの清掃、草取り、剪定など」を挙げた世帯が79.5%で最も多くなっています[2]。庭の手入れは、空き家の管理の中心にある作業の一つです。
庭木と庭石の扱いは、大きく分けて「残す」「移す」「処分する」の3つです。家を残して使う・売る・貸すのか、解体するのかで、選ぶ方向が変わります。切る前には、隣の土地への枝のはみ出し、自治体の許可、切った枝の出し方を確かめておくと、あとで困りません。
この記事では、費用の目安ではなく「どう判断するか」に絞って、3つの選択肢の違い、庭木で起きやすい問題と国のルール、切る前の確認、解体と一緒に撤去する段取り、売却のときの扱いを整理します。
空き家の庭木・庭石の撤去をLINEで相談
庭木や庭石を残すか撤去するか、解体や売却とあわせてどう進めるかを一緒に整理しましょう。
2庭木・庭石は「残す」「移す」「処分する」の3つ
家を残して使う・貸す・売るなら、残すのが基本
家を残して住む、貸す、そのまま売るなら、庭木や庭石も残すのが基本です。ただし残す限り、剪定や草取りの手入れが続きます。空き家では手入れが遅れやすく、枝が伸びたままになると、隣の土地へのはみ出しや近隣とのトラブルにつながります。使う予定のない庭木は、先に切って低く整えておく選択もあります。
思い入れのある木や石は、移すことも考える
親が大切に育てた木や、代々受け継いだ庭石は、新しい家の庭や親族の家に移す方法もあります。庭木の移植や大きな庭石の移設は、造園業者や石材店などの専門業者に相談します。移せるかどうかは、木や石の大きさ、種類、置かれている場所によって変わるため、解体の予定が決まったら、早めに業者の判断を聞きましょう。
解体して更地にするなら、撤去して処分する
建物を解体して更地にして売る、建て直す、駐車場にするといった場合は、庭木や庭石も撤去して処分するのが一般的です。解体と一緒に撤去すれば、重機の手配や整地をまとめて進められます。庭に残す木や石があるかは、解体の見積もりを頼む前に決めておきましょう。外構全体の撤去と発注の分け方は、解体工事と外構撤去は一緒に頼むべき?費用・段取り・注意点を解説で解説しています。
3庭木・庭石:残す・移す・処分するの比較
| 選択肢 | 向いている状況 | 必要なこと | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 残す | 家を残して使う・貸す・そのまま売る | 剪定や草取りなどの手入れを続け、枝が隣の土地に出ていないか確かめる | 空き家では手入れが遅れやすく、枝のはみ出しや、立木の傾き・腐朽につながる |
| 移す | 思い入れのある木や石があり、移す先がある | 造園業者や石材店に、移せるかを相談し、時期と手順を決める | 木や石の大きさや種類によっては、移せないこともある。解体の工事の前に済ませる |
| 処分する | 解体して更地にする、建て直す、更地にして売る | 見積もりで本数や大きさを伝え、伐採・抜根・撤去と処分が含まれるかを確かめる | 風致地区などでは伐採に許可が必要な場合がある。切った枝や木の出し方は自治体で違う |
選択肢の整理(向いている状況・必要なこと)は編集部によるものです。公的資料が根拠になっているのは、立木の管理状態(国のガイドライン)、風致地区の許可制度(国土交通省)、切った枝の出し方が自治体で違うこと(鹿児島市の例)です。許可の要否や処分のルールは、庭がある市区町村の担当窓口で確認してください。
出典:国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」、同「公園とみどり:風致地区制度」、鹿児島市「剪定枝」を基に編集部作成
4空き家の庭木で起きやすい問題と、国のルール
隣の土地に枝がはみ出したときのルール
空き家の庭木の枝が境界線を越えて隣の土地に出ているとき、民法では、隣の土地の所有者は、庭木の所有者(空き家の所有者)にその枝を切らせることができます[3]。2023年4月1日の改正で、庭木の所有者に切るよう催告しても相当の期間内に切らないとき、所有者やその所在を知ることができないとき、急迫の事情があるときは、隣の土地の所有者が自分で枝を切り取れるようになりました[4]。境界線を越えた根は、切り取ることができます[3]。
法務省の資料では、隣の土地の所有者が自分で切り取った費用は、基本的に庭木の所有者に請求できると考えられるとされています[4]。空き家の庭木は、訪れるたびに境界の近くを確かめましょう。
空家法のガイドラインが挙げる立木の状態
空家法に基づく国のガイドラインでは、管理不全空家等や特定空家等かどうかを判断する参考として、立木の状態が挙げられています。管理不全空家等の例は、立木の伐採や補強がされておらず腐朽が認められる状態や、枝の剪定がされておらず枝などのはみ出しが認められる状態です。特定空家等の例には、倒壊のおそれがあるほどの著しい立木の傾斜や幹の腐朽、周囲の建築物の破損や通行の妨げのおそれがあるほどの著しい枝のはみ出しがあります[5]。該当するかどうかは、立木の状態や周辺への悪影響などを踏まえて総合的に判断されます。庭木の手入れも、空き家の管理の一部です。特定空家等に指定された場合の流れは、特定空家に指定されたらどうなる?回避策と対処の手順で解説しています。
手入れが難しければ、先に切る・管理を頼む
遠方に住んでいて、年に数回しか訪れられない場合は、使う予定のない庭木を先に切って低く整えておくと、管理の負担が減ります。自己管理と委託の違いは、空き家の管理費用は年間いくら?内訳と自己管理・委託の比較で比べられます。

5庭木を切る前に確認すること
風致地区など、伐採に許可が必要な場所がある
風致地区は、都市の風致(水や緑などの自然的な景観)を保つために、都市計画で定められる地域です。この地区では、建築物の建築や宅地の造成のほか、木竹の伐採も、事前に許可を受ける行為の一つとされています[6]。法律では、規制の内容は、地方公共団体の条例で定めるとされています[7]。
許可が必要になる木の高さや、許可が要らない場合は、自治体によって違います。庭のある場所が風致地区かどうかは、市区町村の都市計画の担当窓口で確かめられます。大きな木を切る前に、窓口に伝えておくと安心です。
切った枝や木の出し方は、自治体で違う
切った枝や木の処分のルールも、自治体によって違います。たとえば鹿児島市では、剪定した枝はごみステーションに出せず、申込みによる戸別収集、決まった大きさの枝の工場への持ち込み、剪定業者などへの処分の依頼のいずれかで出します[8]。業者が剪定した枝は、市では収集していません[8]。
自分で切って出すのか、業者に処分まで頼むのかは、庭の広さや木の数で決めましょう。大きな庭石や太い幹、根は、ごみの担当窓口に、品目と大きさを伝えて確かめてください。
相続した庭は、家族で方針を決めてから
相続で引き継いだ庭では、「思い入れのある木だから残したい」「手入れできないから切りたい」と、家族の考えが分かれることがあります。切った木は戻せないため、庭木や庭石の写真を撮り、残したいものを解体の前に家族で話し合っておくと、あとでもめにくくなります。相続人が複数いる場合の解体の合意の取り方は、相続人が複数いる空き家の解体、合意の取り方と注意点で解説しています。
6解体と一緒に撤去するときの段取り
見積もりで、庭木・庭石の数と大きさを伝える
解体を頼むときは、見積もりの時点で、庭木の本数と高さ、庭石の大きさ、残したいものを伝えます。見積書では、庭木や庭石の撤去が建物本体とは別の項目になっているか、伐採・抜根・処分が含まれているか、追加費用が出る条件が書かれているかを確かめましょう。現地を見てもらうと、重機が入れるかも判断してもらえます。
庭石や木の根は、地中にも続いている
庭石は、地上に見えている部分より大きいことがあり、庭木の根も地中に広がっています。解体の工事中に、地中から大きな石や古い基礎、井戸などが見つかることもあります。見つかったときの流れは、解体工事で地中埋設物が見つかったらどうなる?で解説しています。地中の状況が気になる場合は、アスベスト・地中埋設物リスクチェック(別ウィンドウで開きます)で事前に確認できます。
残したいものは、工事の前に引き取る
移したい木や石、親族が欲しいものがあるなら、解体の工事が始まる前に持ち出します。工事が始まってからでは、撤去が済んでいることもあります。残すものに目印をつけ、写真を撮っておくと、現場でも間違いにくくなります。
7売却のときの庭木・庭石の扱い
売るときは、残すか撤去するかを先に決める
建物を残して売る場合、庭木や庭石を残したまま引き渡すのか、売る前に撤去するのかで、買主とのやり取りが変わります。不動産会社や買取業者には、庭木の本数と状態、すでに撤去したものがあればその内容を伝えておきましょう。解体と買取のどちらが向くかは、空き家 解体 買取 どちらがお得?費用・手間・税金で比較で比べられます。
手入れが追いつかないなら、現状のまま相談する方法も
庭が荒れていて撤去まで手が回らない場合は、撤去せず、現状のまま査定や買取を相談する方法もあります。条件は業者によって違うため、庭の状態を伝えたうえで確かめましょう。現状のまま買い取ってもらえるかは、空き家 そのまま買取 現状渡しはあり?費用と注意点を解説で整理しています。
8よくある質問
Q1空き家の庭木は、必ず切らなければいけませんか?
Q2隣の人に庭木の枝を切られたら、費用は請求されますか?
法務省の資料では、隣の土地の所有者が自分で枝を切り取った費用は、基本的に庭木の所有者に請求できると考えられるとされています[4]。実際の扱いは個別の事情で変わるため、請求を受けたら、弁護士などの専門家に相談してください。
Q3風致地区かどうかは、どこで分かりますか?
風致地区は都市計画で定められ、規制の内容は自治体の条例で決まります[7]。庭のある市区町村の、都市計画の担当窓口で確かめられます。
Q4切った枝は、燃えるごみに出せますか?
自治体によって違います。たとえば鹿児島市では、剪定した枝はごみステーションに出せず、戸別収集の申込みなどが必要です[8]。空き家がある市区町村のごみの担当窓口で、出し方と大きさの決まりを確かめましょう。
Q5庭石や庭木を、解体の前に誰かに譲ることはできますか?
親族や知人に譲ったり、造園業者や石材店に相談したりする方法があります。移せるかどうかは、木や石の大きさや種類、場所によって変わります。工事が始まると撤去済みになっていたり、工程の調整が難しくなったりするため、解体の見積もりを頼む前に相談しておきましょう。
Q6相続した空き家を買取してもらう手続きは?
一般的には、相続登記で名義を相続人に変えたうえで、買取業者に査定を依頼し、条件に納得できれば契約して引き渡します。相続登記は2024年4月1日から義務になっています[9]。庭木が伸びていたり、庭石が多かったりする場合は、査定の時点で庭の状態を伝えておきましょう。
9あわせて読みたい関連記事
10まとめ:庭木・庭石は「残す・移す・処分する」を決め、切る前に確かめる
空き家の庭木・庭石は、家を残すなら「残す」、思い入れのあるものは「移す」、解体して更地にするなら「処分する」が基本です。庭木の枝が隣の土地に出ると、民法のルールで切るよう求められることがあり、立木の傾きや枝のはみ出しは、空家法のガイドラインが空き家の状態を判断する例として挙げています。
切る前に、風致地区などで伐採に許可が必要かと、切った枝の出し方を自治体の窓口で確かめましょう。解体と一緒に撤去するなら、見積もりで庭木の本数・高さと庭石の大きさを伝え、残したいものは工事の前に引き取ります。どこから手をつければよいか迷ったら、家じまいの無料相談(別ウィンドウで開きます)で、全体の進め方から確認してみてください。








